今回は品質トラブルにより今まで行っていなかった作業が追加されたのですが、その作業頻度を減らしたいを課題にQCCを進めて行きたいと考えています。
問題解決型のQCストーリーは進めた事があり何となくコツは掴んでいるのですが、課題達成型は初めてなのでどのように進めたら良いか悩んでいます。
アドバイスや、課題達成型のQCストーリーのコツなどありましたら宜しくお願いします。
ISOの審査員兼コンサルをしています、SKコンサルティングの小林です。
QCCストーリーのコツについてですが、問題解決型のストーリーはコツをつかんでおられるのであれば、基本的には課題達成型でも同じと考えて下さい。QCストーリは、発表を主体で実施される場合が多いため、問題解決型が多いと思います。発表が主体でなく、達成度が主体で考えたいですね。
ストーリの基本は同じです。まずは、作業頻度を減らすという目的ははっきりしていますので、現状に対しどの程度減らすのか目標を決めて下さい。この目標値は自部署で決めてもよいですが、上司などの期待や希望があれば相談して決められればよいと思います。尚、作業頻度の削減は作業効率の向上とも共通の課題になると考えてよいと思います。
次に、作業分析を行います。現状の作業プロセス(工程)を明確にし、それぞれのプロセスが持っているリスクを抽出して下さい。QCツールでは、フローダイアフロムなどがいいでしょう。
そして、それぞれのリスクについて現状の対応策(手順や基準など)を明確にして下さい。そのうえで、書かれている品質トラブルによって追加された作業(プロセス)が、そのトラブルの発生に対する対応として適切か否かを判定してください。この判定は、この作業プロセスの追加後、トラブルの発生度を確認することからできます。トラブル発生の要因分析では、特性要因図やパレート図を作成されるとよいでしょう。
その後、追加作業の効果が間違いなければ、この作業の現状の頻度が全数対応なのか抜取のような間隔で行われているのかによりますが、この作業自体は必要な作業になります。
全数に渡って行われているのであれば、抜取に変更できないか、検討と可能であれば、テストを実施されるとよいでしょう。抜取としてのテストも、作業の内容によりますが、ロット単位か、時間単位か、又は変化点単位で行うとかが考えられます。そのうえで、抜取可能となれば、頻度は削減できます。
全数でなく、効果が確認できなければ、他の作業プロセスを考えることになります。この場合は、その作業は削減が無理ですので、先に明確にされた作業プロセスの中で、無駄なプロセスや重複プロセスなどがないか確認してください。
この製品の全体の作業プロセスを見直すことで、作業頻度だけでなく作業プロセスの簡略化や削減につながり、結果として目的である作業頻度の削減、即ち作業効率の向上につながります。QC活動は、発表を主体で考えると、QC道具の使い方などに苦慮されると思いますが、QCは改善が目的ですので、QCツールを使うことは必要ですが、分析の手段として使うということを念頭においてQCストーリを進めて下さい。
QCストーリーを作成するときは、まず、計画からです、当然計画は重要で必要ですが、ストーリーを進める中で、計画を変更される勇気も必要です。
書かれているように、課題達成が重要と考えたQCC活動を進めて下さい。
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モノづくり工場経営研究所の西水と申します。
ここ10年、ある企業様で、中堅社員向けに実施している『QC基礎・実践研修』に使用しているテキストから引用させて頂きます。
まず、ご自身も自信を持っておられます、「問題解決型QCストーリーの手順」から考えてみましょう。
●ステップ-1:テーマの選定
問題解決に取り組むテーマを決める。
●ステップ-2:現状の把握
テーマについて、問題を具体的にとらえ、現状の把握を行う。
●ステップ-3:目標の設定
問題を解決し、どのレベルまで改善をするのか、目標を決める。
●ステップ-4:活動計画の立案、作成
だれが、いつまでに、何をするのか、具体的に決める。
●ステップ-5:要因の解析
問題を引き起こしている原因を追究する。
●ステップ-6:対策の立案と実施
原因を解消、あるいは対処する案を検討・具体化し、実施する。
●ステップ-7:対策の効果確認
対策の効果を確認する。
●ステップ-8:標準化
効果のあった対策を標準化し、定着化する。
●ステップ-9:ステップ-1にもどる
ステップ-1~8を繰り返し、問題解決を継続的に行う。
続いて、ご質問の「課題達成型QCストーリー」のステップです。
●ステップ-1:テーマの選定
●ステップ-2:テーマ実現に向けた課題の明確化と目標の設定
●ステップ-3:活動計画の立案、作成
●ステップ-4:方策の立案、評価
●ステップ-5:最適策の追求
●ステップ-6:最適策の実施
●ステップ-7:効果の確認
●ステップ-8:標準化
という流れになります。
大きな違いは、「ステップー2」です。問題解決では実態分析、課題達成では課題設定という違いです。
課題達成型の場合は、課題(=問題を解決する取り組み)を設定することが求められますが、これらは分析結果から得られるモノではありません。
最近では、“『オープン・イノベーション』(他業界・他社・他者からの助言)という取り組みで、知見や情報やアイデアを収集し、課題として設定する”などの動きもあります。当方も、オープン・イノベーターのひとりです。(笑)
ご参考にして下さい。
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