このたびの新型ウィルスで、中国からの部品輸入が一部停止してしまい、ほとんどの受注品が今後1ヶ月ほど完成せず、出荷できない状況です。
有給休暇の溜まっている作業者には、この際消化するように伝えましたが、そうでない社員も多く、これまでなかなかできなかった教育活動にこの期間を使おうと思います。
時間を有効に利用するために、留意する点があればアドバイスをお願いします。
【これは事務局が作成した架空の、しかし有用な質問です】
1.まず、その期間中に会社継続できる期間を検討する.
2. その期間で何を教育するかを検討する.
3. 業務再開に機会を想定して教育内容を検討するか、再開できない前提でで教育するかで内容は変わってくる.以下、継続を前提に回答する.
①これまでの業務上の課題を整理する。
②その課題を題材に教育プログラムを設計する。
③教材開発を行う(集合教育と個人教育(デジタル技術を使ったリモート教育)別に開発を行う.
④教育プロセスにおける指導側と受講側のコミュニケーション方法を設計と運営法の検討
⑤プログラムの評価法の設計と結果の情報提供(指導側と受講側)法の検討
4. 業務継続不可を前提に行う場合
キャリアデザイン教育を基本とし個人としてどのように生きて行きたいかを前提にそれを実現するための知識と技能の習得プログラムの設計。その際にテーマとすべきは、「イキイキ・ワクワク」、「自分らしく」、「楽しく」、そして「いい加減に」など。
以上
|
Oscar 様
クリーン化技術アドバイザーの清水です。
生産が停止したことで、空き時間を従業員の教育活動に活用したいということですね。
・はじめに
私は、クリーン化セミナーでは、クリーンルームの定義も説明しています。
管理する項目は沢山ありますが、その中に差圧という項目があります。
クリーンルームを持つものづくりの現場では、基本的には室圧を高くし、ゴミが寄ってこないようにする。ただ病原菌の研究や、伝染させたくない病気の場合、研究室、或いは隔離病室の室圧を下げ、室外に排出させないよう安全を確保しています。
過去、中国でSARSという病気が発生した時、日本に上陸したらどうなるか、室圧を下げた病室での隔離、治療ができるところがどのくらいあるかを調べたところ、ほとんどない(報道では)ということで大騒ぎになったことがありました。幸いその時は日本には上陸しなかった、という話を参考にしてきました。
ただ、今回は津波のように押し寄せ、堤防を乗り越えてしまいました。
油断大敵、用意周到、念には念を、石橋を叩いて渡る、災害は忘れた頃にやってくる、喉元過ぎれば熱さを忘れる、など先人の言葉が思い出されます。
今回、そのことに直面し、経営者や管理職の方は、会社や社員のことを中心に考えていると思います。
また、社員、作業者は自分の家庭のことなど生活に直結している身近なことへの不安や対応などに目が向いています。
いざ生産再開となった時、離れてしまったベクトルを合わせるのが大変だと思います。
このロスは最小限に抑えたい。
いざという時の対応を日頃からしておくことが大切ですが、平穏な日々が続くと先ほどの言葉のように油断してしまいます。
今回は様々な面で生産活動も長期に渡って止まってしまいます。この空いた時間を活用した従業員教育ですが、今、何をすべきか冷静に考え、整理、優先順位づけをしたいです。
どうしても悲観的にとらえてしまいますが、そのことに終始せず、こんな時だからこそ、会社、社員が結束し、生産再開に備えたいです。
今回の新型ウィルスによる様々な問題は、考え方によっては生きた教育の場にすることもできます。またとない機会として、前向きにとらえたいです。
例えば、教育の一環として
・作業標準書の見直し
会社の規模からすると、日常的には繁忙な状態が続いていたのではないでしょうか。
気が付いていても日常の生産活動の中ではなかなか手を付けられないということはなかったでしょうか。
この空いた時間にやりにくさ、効率、品質改善など多面的に作業標準書を見直す。
誰が見てもわかりやすい標準になっているか。勘、コツは記されているか。
若手社員などで標準書の作成経験がない人に対しても、経験の場としていく(継承)。
自分たちが手を加えた標準であれば、愛着も生まれるでしょう。(参画意識の醸成)
・工場の立ち上げの手順を作る
通常、工場には照明、設備、人の体温など熱源があるので、クリーンルームの有無に限らず上昇気流が発生しています。
工場内で発生した小さなゴミは、その気流により上昇し天井付近に滞留します。
工場を停止すると、室温が下がり、浮遊ゴミは落下、堆積します。
これは長期連休などでは経験があるでしょう。連休明けは清掃を入念にしていると思います。
今回はその期間が長いので、その他微小な地震、風などによる建物の振動も含め、その量は多いと推測します。工場再開時何を、どこから、どのようにやるのかを明確にしておきたい。
これは社員の気持ちを常に繋いでおく、会社のことも少しは意識してもらうということも狙いにありますが、これをやっておくことで工場再開の時が来たら、効率的な立ち上げ、生産開始を可能な限り迅速に行うためです。
ただ、一斉清掃から始める場合、必ず事前に安全教育をしておくことが大切です。
今回は長期の停止ですので、気持ちも体も慣れるまでに時間もかかるでしょう。微小災害が起きることも考え、未然防止をしておくべきです。
これも、社員にも考えてもらうなど、参加の機会が欲しいです。
また、いつもできない会社への提案などもしてもらったら良いと思います。
社員、従業員の声を聴く、双方向の関係ができるでしょう。ベクトルが合うことは、ものづくり基盤、ひいては会社の体質強化に繋がります。
危機的な状態だからこそ必要なことです。
社内のまとまり、団結、人財の育成などに役立つと思います。
・立ち上げ標準の見直し
作成した非常時の工場立ち上げ標準を実際に使ってみて、不具合があれば修正し完成度の高いものにしておく。実際にやってみる、めったにないチャンスだと捉えたい。
立ち上げが可能になってから右往左往する、或いは手当たり次第に着手するより効率よくできるでしょう。立ち上げロスの極小化です。
社員、作業者も早く日常に戻ることができるでしょう。
この他、3月は棚卸などやらなければいけないこともあるので、品物が動かないのであれば、先行してやっておくなど、これからのテーマ、障害になると思われることも排除し、生産稼働がスムーズにできるよう道を開けておきたい。
経営的なこともあるので、会社、社員の情報交換をきちんとすれば、相互理解も進むでしょう。
このような危機的状態に遭遇した時に、企業体質が軟弱であれば、影響は大きいと思います。
会社、現場の基盤強化について考える機会にしたいです。
部長が気になっていることは他にもあるでしょう。それらも含め、レーダーチャートにして評価してみるのも良いかもしれません。それで補強すべき項目が明確になるかもしれません。
作業者などにも加わってもらうと、別な見方や取り組む方向も明確になるかもしれません。
いろいろ記しましたが、正解はないです。自社に必要なものは何か、その参考になれば良いと思います。
|