品質工学や実験計画法のコンサルをしている村島です。ご質問は複数に分かれているように思えます。
①「感度の式の1/n(Sm-Ve)のカッコを外すと1/n・Smは(平均)^2となるので上記の例でいえば100です。従って何故Veを引いているのか理解できません。」
⇒SN比の分子のm二乗は、平均値の二乗(期待値)であって、二乗の平均値ではありません。100というのは、平均値の二乗ではないのです。二乗の平均値です。平均値の二乗と二乗の平均値との間には、
V(y)=E(y^2)-{E(y)}^2 の関係が成立しますから、
m^2={E(y)}^2=E(y^2)-V(y)
よって、そのあと、以下のように書かれていますが、これはこれで正しいのです。
②「すなわち、平均値もバラツキをもっており、そのバラツキ分である平均値の分散を引いて純粋なm^2にしているのではないでしょうか。そうすることでSN比の本来の基本式SN比η=m^2/σ^2にしていると解釈しています。間違っていますでしょうか?」
⇒間違っていません。
③「Veを引く意味はあまりないので省略してもいい」と書かれておりましたが、私の解釈では、大きな誤差であろうと、小いさな誤差であろうと、それによるデータの分布が正規分布から崩れていようと、平均値は中心極限定理により正規分布するので1/n・Sm(平均値の2乗)のばらつきである分散Ve/n=(σ/√n)^2は意味があり、特に品質工学では調合誤差で繰返しはあまり取らず、1実験当たりのデータ数が少ない事が多いので、Smが小さくVeが大きい場合、あるいはnが少ない場合はVeを省略する影響は無視できないと思うのですが間違っているでしょうか?」
⇒間違っていません。調合誤差のような通常、大きな誤差を伴うものは分母のσ^2で評価しますが、分子のVe(実験間誤差、測定誤差)は小さいです。かといって、何に対して大きいか、小さいかというのは、本来、きちんと分散分析によって判定すべきものであります。そういう手順を踏まないのなら、小さいと思われようが、大きければ余計に、引いておいた方が無難です。Veを引かないと、影響が大きく出る場合のほうがリスク大です。引きましょう。
以上です。
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すいません。補足的なご質問がありましたので、回答させていただきます。
「100というのは、平均値の二乗」ではないか? そのとおりです。
ここでいっているのは、期待値のことです。平均値そのものではありません。私はよく間違えます。すいません。数式でみていただいたほうがいいです。
よろしくお願いします。
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さらに、すいません。補足質問の最初のほうです。結論から言えば、匠さんの考えであっているのだと思います。数式でいえば、以下のようになります。
E(Sm)=nm^2+σ^2
E(Ve)=σ^2
よって、真の平均mの二乗の推定値は、
m^2=(Sm-Ve)/n
ということになります。日本語でやりとりすると、ややこしいですが、こういうことです。
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