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QUESTION 質問No.506

cpkと実験計画法

生産統計・SQC |投稿日時:

質問お願い致します。cpkを高めるために実験計画法を使い得られたデータn30からcpkを求め、各因子の組み合わせからcpkが最適になるよう分散分析から求めることは可能でしょうか?1.分散分析の対象を寸法データじゃなく、cpkで分析しようと考えます。2.取り上げる因子は3水準の3因子なのでL9にて実験予定です。3.9通りの実験データn30のcpkで分散分析する場合のやり方は寸法データと同様で問題ないか。(例えば、A1水準での3つのcpkの平均は合計して3で除して問題ないかです)ご意見お願い致します。



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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

実験計画法、品質工学、多変量解析を専門とする、村島です。
ご質問のお答えですが、可能か、と言われれば可能です。ところが、ご質問の後半では、問題ないか? となっております。これに対しては、大いに問題あり、というのが答えです。
 「可能」というのは、分散分析では効果の加法性を仮定しているので、Cpkがたまたま加法性のあるデータであったならば、可能です。こうなる可能性もあるにはあります。たとえば、L9で水準幅を非常に小さくとった場合です。このとき、結果的には、全データの範囲が当然小さくなり、Cpkの大きな変化も起こりません。たとえば、Cpkが0.9から1.1ぐらいになるとかです。当然、得られるデータ範囲は狭いことから、情報価値(何を制御すれば改善できるか)は小さくなります。ただし、可能かと言われれば可能です。データ範囲が狭いため、特性値からくる交互作用が小さくなり、加法性が高まるからです。
 「問題ないか」ということに対しては、非常に大きな問題があります。そもそも、分散分析は、元来が加法性のある特性値に対して行うものです。加法性のある特性値を、因子効果に分解しているわけです。加法性がなければ「何をやっているのか」わかりません。加法性のない特性値の代表格は、掛算、割算モデルになっているものです。単純に、因子間の掛算、割算なら対数をとれば、可能性のある特性値に変換できます。
 Cpkの式は、平均値と標準偏差の分子分母の関数になっています。おまけに、規格が定数とはいえ、くっついています。よって、Cpkの対数をとっても、加法性のある特性値には変換不能です。この意味からは、大きな問題があります。簡単に言えば、解析結果に信用が置けないということです。
 又、使う直交表にも問題があります。L9は交互作用が不均一に入りますから、Cpkで、L9を行うというのは、交互作用(加法性の反対)を生む大きな原因です。又、この交互作用は分離できないので解析もできません。
 結論として、可能ですが、実際には大きな問題があるので、やめたほうがいいでしょう。
 同様の理由ですが、最後のほうの質問にCpkを合計して3で割るというのも、やってはいけません。加法性の観点から、意味のない解析になります。
 以上は、分散分析や実験計画法の加法性についての学習をなされば、すぐわかることです。非常に重要な基本事項であるのに、詳しく書いてある本がありません。よーく、読めばわかるレベルの本は多いですが。初心者が陥りやすい話であると思います。
 そういう意味で、すごく重要で、基本的ないい質問だと思います。