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QUESTION 質問No.537

5因子2水準の実験

生産統計・SQC |投稿日時:

5因子2水準で交互作用を取り上げない場合、L8直交表よりもL12直交表で実験をし、分散分析した方が良いでしょうか?

理由としては、交絡防止と誤差自由度による検定精度向上と思われるためです。

よろしくお願い致します。



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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

村島技術士事務所の村島です。実験計画法、品質工学、多変量解析、信頼性工学、品質管理全般のコンサルタントをしています。
 御質問の回答としては、以下のようになります。

 5因子2水準で交互作用を取り上げないのであれば、L12のほうが適しています。L12なら、どんな割付をしても、各列に均等に2因子間の交互作用が入りますから、出てきた結果は主効果のみの差であるので、相対的な因子の主効果優劣がそのまま出るという意味で、頑健性の高い因子、水準の発見に役立ちます。
 L8では、実質上は、ご心配の通り、必ず、どこかに交互作用が交絡します。又、誤差自由度はかなり小さくなって、検定保留になる場合が多いです。
 L12をお勧めします。
以上、よろしくご検討ください。




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

お応えしますが、返答例の一つして参考程度にして下さい。

割り付けは、2水準5因子ですから(2^5)で総当たり32個の実験位なります。全実験が実施不可能ならば、この一部実施法として直交表で限定された実験から最適解を誘導します。

直交表のL8とL12の特徴(得失:メリット/デメリット)を整理すると下記のとうりです。
L8:実験数が少ない、交互作用が特定の列に現れる。誤差の自由度(7-5)がすくない。
L12:実験数がやや多い。交互作用が他列に一部(同じ)交絡する。誤差の自由度(11-5)とやや多い。

この3点からは
1:実験数、2:交互作用と交絡 3:分散分析(検定)
で比較すると問いに対し優劣が交錯して”解”は決めかねます。

そこで、トトさんが、統計部門で研究者の教育部門の講師、と技術開発支援の研究支援者の2種と仮定します。簡単な実験で2^5 でL8,L12の実験をしたとしてください。(紙飛行機、4駆などデータを作れます)

1:講師ならば⇒結果の解析と最適化手順の解説をするが目的となります。
  どの直交表を使うかは、研究者次第として、L8,L12の割り付けと結果で、実験数、要因効果図、分散分析、最適条件を比較すれば、講師の役割は完了します。(ここで直交表実験から最適組み合わせ候補の予測値と確認値を比較します。ここで重要なことは、最適候補の確認値が、実験したL8,L12より大きい(応答が大きいほうがいいなら)ことが当然期待されています。 少なくとも【直交表L8,L12の最良値<最適候補の確認値】ができていることです。できていれば講習会は成功です。

2:研究支援ならば⇒研究現場で使っていける方法を伝授することが目的となります。
 教える内容は解析、要因効果、分散分析、最適化の手順は「1:」と同じです。ここで、【直交表L8,L12の最良値<最適候補の確認値】となれば、研究者も研究活動で使ってくれます。

【実際の最適化の問題】
 実際の最適化事例(品質工学事例)を調査しますと62%の事例で【直交表L8,L12の最良値<最適候補の確認値】が成立していません。(2020年度の品質管理誌の交互作用の交絡状況の論文があります)
これが成立しない方法は、教えられても研究で使わないことになります。

一般的ですが、解析手順外に教育の中で下記内容を提示します。
1:要因効果図が想定と同じか??
   研究者は実験対象にある因果関係(モデル:回帰構造式)を想定しております。もし、予想違いがあれば下記3点が理由です。
 1):予期できなかった事実の発見 2):交互作用効果(L8)  3):選択した直交表特有の交絡(L12)

1)2)は割り付けた因果関係内で起きていますが、3)の交絡は、因果関係外の効果が結果に反映しています。このように考えますと混合系直交表の「ほぼ均等分散」はあらたな最適条件の予測違いの原因になります。
 要因効果の想定違いがL8で大きいときには、出現する交互作用列から要因を予想できます。この解析を次の実験でするように立案していきます。
実験事実と関係しない混合系直交表の交絡効果を含むL12は最適選択の誤りリスクがあります。 品質工学で混合系直交表は交絡が最適条件選択でリスクが少ないと推薦されていますが、その実態は、異なっています。例えば、立林著(日科技連)「入門タグチメソッド」p26の要因効果図の第8列は、空き列ですが他列からの交絡でR1(第2列)とほぼ同じ大きさがあります。前記論文は、系統的な観察から混合系直交表のリスクを記載しております。ご一読をおすすめいたします。

【救済策】最適条件を要因効果の組み合わせ以外に、要因効果の想定外から原因とされる因子水準を追加してL4程度の実験をしますと、直交表最上値以上の確認値が出てきます。この方法を併用することを推薦します。
 要因効果図は、主効果以外に交互作用が重複していますので、1個の最適選択にリスクがあります。研究者と議論しながら補完(リスク回避)をすると最適解の見逃しを回避できます。
 お問いあわせは、交絡と検定精度(誤差自由度)の得失ですが、それらが研究プロセス(最適化)のどの場面で必要とされるかをご判断してお考え下さい。

 良いセミナーになることを期待しております。









ANSWER
回答No3 | 投稿日時:

トト様


村島先生と森のコメントには違いがあり、混乱されるかもしれません。
少しばかり追加させていただきます。
以前は、交絡は「一定の割合で他列に入り込む」とされてきました。
交絡は、因子間の科学的な因果関係でなく、使った直交表の構造特性に由来(起因)する効果です。この(第3)効果を含めた要因効果で水準選択をするのが混合系直交表であることご理解ください。

 混合系直交表の実際例で、最適条件の予測値と確認値に違いがあり、その原因として、「(ほぼ)均一の交絡」ではないようです。

従来の交絡に関する知見は、田口と宮川(論文と日科技連)と富士ゼロックス問答集にあり、列分配に言及しておりますが、実際での設計現場での問題点を取り上げておりません。

品質管理学会(2020)に、実施事例での他列に入り込む交絡問題に関する(査読すみ)論文が公開されております。 これらを読んでいただき、ご自身で教育内容の鑑み、テキストとしての適正を再検証されることをお薦めいたします。