よろしくお願いします。中堅企業の製造業でISO9001の事務局・管理責任者を兼任しています。8.5.1 f)の妥当性確認は、はんだ付け工程の場合、必須なのかという質問です。
はんだ付け作業者は全員資格認定し、3年更新しているので手はんだに対しては実施していると言えますが、設備に関して、表面実装工程(前工程)では、妥当性確認を行っていますが、組立工程(後工程)において、自動半田付装置(DIP)・自動スポット半田付け装置に対して行っていません。
外観検査・出荷抜取検査をする前に、絶縁耐圧検査、電気的特性検査、電気的動作検査、点灯検査等の、それぞれの製品に合わせた検査を行っているのですが、
①”検査をしています”と証言するだけでは、妥当性確認をしているとは判断されないのでしょうか。
②「妥当性の確認」と題して、自動半田付装置(DIP)・自動スポット半田付け装置の機械の機種名が記され、確認後の印が入った書面が証拠として必要でしょうか。
③はんだ付け工程は、9001では、特殊工程にあたるので、妥当性の確認は、どんな検査をしているなどは関係なく、必須になるのでしょうか?
社内依頼の説明用に、納得される根拠・理由が必要なので教えて頂けないでしょうか。
具体的なはんだ付け工程に関して専門的な知識を有してはおらず、今回のご質問の文章のみから判断できる範囲で回答させていただきます。
まず、箇条8.5.1 f)で示される“妥当性確認”とは、プロセスの妥当性、すなわち、自動半田付装置(DIP)・自動スポット半田付け装置が適切にはんだ付けされることを指します。
従って、この装置を使っていれば適切にはんだ付けされる、ということを確認する必要があります。
ご記載いただいたとおり、「検査をしています」というのは、あくまで組立品の総合検査(ブラックボックス検査)であって、はんだ付け工程そのものの検査ではありません。
その上で、3つのご質問に回答いたします。
①“検査をしています”というだけでは妥当性確認をしているとは言えません。
②確認後の印(もしくは何かしらの性能確認をした証拠)が入った文書化された情報が必要になります。
例えば、日々(あるいはロット)の稼働前、稼働後の両方でテストピースで確認してチェックを付けるなどの方法が必要かもしれません。
③はんだ付け工程が特殊工程に当たるかどうかは自社で決めることになります。ただし、はんだ付け工程は品質を保証する上で重要工程になると思われますので、組立品の総合的な検査(ブラックボックス検査)にかかわらず、妥当性確認をするべき工程として認識する方が自然と考えられます。
ここまでは杓子定規的な回答でしたが、現実的な対応としては、以下のような考え方があろうかと思います。
妥当性確認が容易でない場合、なおかつ、対象の装置が原因となる品質不良の発生が極端に低い(ほぼない)場合です。
マニュアル等に「絶縁耐圧検査、電気的特性検査、電気的動作検査、点灯検査等で不良が発見された場合には、自動半田付装置(DIP)・自動スポット半田付け装置の確認を行う」等明記することで、不良の流出防止が徹底できていること、重要工程として認識していることと、発生源の特定が迅速にできることが分かれば、審査員としては問題ないと判断すると思われます。
また、各検査にて発見し得る不良の現象と推定原因の一覧表を作成しておくことも、製造工程を管理下に置いていると判断できる材料にもなり得ます。
以上、ご参考になれば幸いです。
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ISO認証審査の時に、“監査のため”に行う作業は無いと思います。ISO9001は2015年に改訂されていて、製造業務の管理方式も少し変えることが出来ると思います。
まず、①「検査しています」の言葉のなかに、作業員の資格認定と3年毎の更新に含まれていると思います。(意地悪い)審査員として質問を考えると、資格認定のために能力確認テストは行っていますか?
あるいは3年以内に職務変更・復帰で能力の低下は確認できますか?
しかし、これは当日の応答で確認できる項目です。
また、半田の状態確認する事で、品質確認もできると思います。これの母材側の色や状態が含まれます。
②「妥当性の確認」は、半田付け装置の機種名の書面で行っていますが、この装置に連なる手引書・取扱説明書などで示すことが出来るでしょう。その書類で該当する半田条件を明確されたものと、運用記録を示して行うと思います。これも口頭確認ができると思います。
③「特殊工程」は、9001:2015年改訂でなくなっています。「8.5.1 製造及びサービス提供の管理」は、該当する要求事項は「8.5.1 f 」は①、②が行っているので回答ができると思います。
ISO9001の本質は、顧客の為に、求められる製品を確実に提供する能力実証の為にあり、また、説明責任を発揮してください。また事務局は、その為に審査員に説明する必要があります。
①「検査をしています」は、半田工程の検査において品質保証を行うための項目を示し、実記録で明示してください。
②「妥当性確認」は、装置の取扱説明・手順書や技術での基準の明示、半田の実行が適切であること製造計画(品質保証体系図)・手順書で説明し、そのように実行していることを確認できる記録を提示します。また必要に応じて抜き取り検査・破壊検査を行います。
妥当性確認には、半田装置、半田工程の適切性確認(テストピース)、及び作業員の能力評価のためのテスト等が該当します。
③自動半田装置は、的確に装置を用いれば「特殊工程」ではないと思います。作業者の能力を評価するために、②の妥当性確認で行います。
これらのことで、審査対応(応答の事例)が出来ると思います。
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