1.参考テキストなどでは、管理限界線(UCL、LCL)は3σと近似すると示されています。
実際に検証データから解析用管理図作成でUCL(X^^+A2R^)、LCL(X^^-A2R^)を作成したのですが、その数値と3σが一致しませんでした。
その理由は工程能力がないからなのかと推察しましたが、どういった理由からなのでしょうか。
あるいは一致しなくとも、管理限界線の3等分範囲は3σ範囲として捉え判断して良いのでしょうか。
2.管理用管理図作成時の基準(X0)は検証データの平均値であり図面等で示された規格値を適用するものではない。これは、工程の安定度、推移による変化を出来栄えにより管理していくものであることから平均値を取っている、との理解でよろしいのでしょうか。
村島技術士事務所の村島です。品質工学、多変量解析、QC7つ道具の数理などで、設計開発、工程の改善などのコンサルを実施させていただいております。
ご質問の1ですが、よくある誤解です。3シグマといっても、全デ-タの3シグマを指しているのではなく、群平均の3シグマをいっています。又、このシグマは、統計量R(レンジ)から推定します。この二つの誤解があって、通常計算される3シグマと合わないのです。この辺の、詳細な説明は、本サイトの村島の解説記事の「管理図の数理-3シグマにならない!」でご質問そのものに、お答えしていますので、ご参照ください。
ご質問の2は、半分当たっています。規格を適用したのでは、工程変動がいくら大きくても、規格幅がもっと広ければ、相対的に問題にならないので、管理指標になりません。逆に、工程変動が小さいのに、規格幅がさらにそれより小さくなると、(規格幅を基準にすると)、大きな問題になってしまいます。よって、工程の変化を見たいのであれば、規格に対する余裕度ではなく、管理限界線から判断することになります。
一方、この管理限界線は群平均値とR(レンジ)から、算出します。半分当たっていると申し上げたのは、平均値だけでなく、レンジが重要な安定性の評価基準になっているということです。
以上のことは、本サイトの「解説記事」に詳細説明があると前述しましたが、オンデマンドのセミナ-で村島の「現場改善に役立つ数理手法10選」の第1回でも説明しております。
ご確認いただければ、幸いです。
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すいません。村島ですが、セミナ-名を間違えて、ご紹介してしまいました。現場改善の。。。ではなくて、「製造業にやさしく、役立つ数理的問題解決法10選」の第一回です。第一回は、管理図はじめ、Q7中心です。第二回は多変量解析、第3回は実験計画法と品質工学が中心です。
訂正して、お詫び申し上げます。
村島
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