量産品を製造する際の手ハンダ作業工程にたいして、プロセスバリデーションの記録を残す必要性は理解できますが、数百万もするような特注の大型装置を1台製造する際に手ハンダ工程が発生してしまった場合、それに対するプロセスバリデーションの記録は必要なのでしょうか。
また、修理部門で量産品を修理する際に手ハンダ工程がある場合、それについてのバリデーション記録が必要になるのでしょうか。
ハンダ作業者は全員実技試験を受けており、3年毎に更新実技試験も行っております。
以上、よろしくお願いいたします。
アイソさんのご質問に回答します。
基本的に「バリデーション」はそれ以降の工程で検証(Verification)出来ない場合に必要になります。
一品物の大型設備の場合、半田工程の出来栄えをその後の検査(抵抗値や強度、安定性、外観など)で確認できます。
出来栄えをその後の検査で確認できない場合には、手作業はんだ工程のバリデーションが必要です。この回答は「溶接者のバリデーションは必要か」から引用しました。
バリデーションを実施すべきプロセス
殺菌プロセス
無菌処理プロセス
溶接プロセス
成形プロセス
押出し成形プロセス
無菌 バリアシステムの形成プロセス
凍結乾燥プロセス
熱処理プロセス
検証で満足出来るプロセス
手加工切削プロセス
溶液の色彩、混濁、pH試験
プリント基板の目視検査
布線作業及びその試験
個別に必要性の検討を要するプロセス
洗浄プロセス
入手による組立プロセス
NC切削プロセス
封入プロセス
|
審査員資格を保有する立場として、審査員が聞いて納得できると思われる回答をします。
ご質問の2つの場面において、それぞれプロセスバリデーションの記録は不要です。
いずれも、手ハンダ工程後に導通や目視などの確認検査を行うことができ、検査や手順書等のマニュアル、実務者の力量管理は必要になりますが、それらの文書化された情報があることでプロセス保証ができていると考えます。
条件としてもう一つあるとすると、それら手ハンダの工程が原因となる不良が発生および流出していないことが挙げられます。
不良が発生および流出していないのであれば、特別なことをする必要性はありません。
以上です。
|
「手はんだ作業のプロセスバリデーションの必要性について」ですが、プロセスバリデーションは、生産現場で使用する設備・装置が使用者の要求通りに、①据え付けられていることを確認(据付時適格性確認:IQ)し、②要求通りに稼働することを確認(稼働時適格性確認:OQ)の2つの確認が行われてきます。
この質問は、「特注の大型装置を1台製造する際」であり、据付前の確認は該当していないと判断しています。この装置を1台製造する際の「手ハンダ工程」の工程検査・目視検査は、“記録”しなくても良いのです。
しかし、「手ハンダ工程が発生」しているプロセスバリデーションの記録で、「据付確認項目」として含まれている場合は、記録は必要になるでしょう。業界によっては、当該製造過程で「設備・製造工程の管理が目標とする品質を達成するものであることを検証し、文書にすること」に関する事項は“記録”する必要があります。
ハンダの物質・物性やハンダ工程の発生物や作業環境に関する法規制、製品として安全性を確保するための異物品や法規制に関する事項、製品として廃棄する時に関する法規制など、様々な側面で検討したうえで、記録の是非を決めてください。
この装置の修理部門で、「ハンダ作業者は全員実技試験を受け、3年毎に更新実技試験」を行うのであれば、ハンダに関する知識を有し、実行する技量を持っておることを評価しています。
このような、修理部門で量産品を修理する際の手ハンダ工程がある場合、それに関してのバリデーション記録は必要になると判断します。ハンダの物性や環境法令や製品に関する法令及び廃棄に関する法規制など、多面的に記録の是非を確認してください。
一方、「ハンダ作業者は全員実技試験を受けており、3年毎に更新実技試験も行っております」ので、普通には記録必要と考えます。しかし、ハンダ作業者は新任時に一度だけ教育され、それ以降は「ISO構築時にハンダ作業者試験が導入」されてはいるが意味がある試験がない場合は“記録”はいりません。
一般的な、例えば家電製品の修理には、ハンダ作業の記録は作りません。が、B to Bの場合は、何かのプロセスバリデーションの記録は作っていると思います。
|