よくある話ではあると思いますが、原因を追求すると作業者は自分が悪いと言って人の話になってしまいます。それをあえて真の原因究明のために原因を掘り進めると、結局は”車がなくなれば事故は起こらない”というような所に辿り着いてしまいます。
特性要因図などは使ってみるのですが、なかなかこれという要因=解決策にまで辿り付くことができません。
このように事に陥らないための原因究明方法やフレームワークがありましたらご教示いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
ご記載頂いた内容からすると原因の深掘りに至らない点をまず解決する必要があると思います。
手法としては、
「なぜなぜ分析(3~5回」実施を試みてみてはいかがでしょうか?
その際に、恐らく最終的にはご記載頂いている通り作業者のミス(確認不足、ケアレスミス、スキル不足)という解になると思いますが、
根本はそこではなく、作業者にミスを起こさせてしまうプロセス、作業環境に着目して改善に取り組むように進めて行ければと思います。
なぜなぜ分析する際にその点を考慮して洗い出すように指示すると効果があがります。
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問題発生は工程改善の肥やしだ、といつも考えています。原因究明の会議体を持つことになりますが、会議を進めるに当たっては、
①原因を究明することで、より優れた工程に改善するためのアイデアを募る場が会議の目的であることを最初に表明する。
②個人攻撃でななく、人的ミスであった場合にはなぜその人がミスを見逃してしまったのか、職場全体として、その人にミスをさせない環境を作るには何をするべきかを考える。
③考える手段として、要因特性図(フィッシュボーン)は有力なツールです。
④どんな意見でも(的外れな意見でも)それを汲み上げる(否定しない)ことと、真の原因にたどり着くまでに自由に意見が言える会議体の環境を作る(会議主催者の心がけ)。
が重要と思います。自信の経験談から云うと、「トラブルをチャンスととらえ、そこから学べることを皆で考えたい」という管理者の心意気が伝わればメンバーから貴重な情報が得られることが多かったように思います。
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問題解決で根本的原因を見つけ出す。
再発防止のためには、とても大切な活動ですね。
また、原因究明力が高まることで、予防/保全力も育つことも有り、組織内での教育指導も盛んに行われている様です。
その問題解決には、いくつかのルールのようなモノがあります。
例えば
・人のせいにはしない。
・異常と思われることだけを追及する。
などです。
ご質問の内容だと、この2つのルールがもしかしたら守られていないかもしれません。
【人のせいにしない】
人は間違えを起こすいきものです。ミスゼロを目指すことは大切ですが、どうしても避けられないものなのです。
しかし、人がミスを犯しやすい状況があります。
問題解決を進める場合「どのような状況でミスを犯しやすくなるのか?」について考えることが重要です。
例えば
・何かが見にくい状況だった。
・何かを運びにくい状況だった。
・情報がわかりにくい状況だった。
などなど、その人がエラーを起こした理由を追及することで、人のせいにすることを回避できます。
【異常と思われることを追及する】
例えば、「仕事が忙しいのは受注が増えたことが原因だ!」など、受注が増えることはよいことなのに、なぜか勘違いをして不具合の原因にするケースもあるようです。
受注が増えることは、よいことで異常ではありません。
五感を研ぎ澄まし、なにが異常かをしっかり見つめる(切り分ける)ことも大切です。
私は問題解決研修を行うとき、かならず上記について説明をします。
すると多くの方が「問題解決の落とし穴に落ちていた。」を新たな気付きを得られているようです。
問題の捉え方、解決の進め方を変えてみる。
ぜひ、試して見てください。
株式会社知識経営研究所 改善ファシリテーター坂田和則。
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初めまして、奥野と申します。
ご質問いただきました点につきまして、私の経験から回答させて頂きます。
フレームワークについては、すでに鈴木様、藤井様から提案があったように、なぜなぜ分析、特性要因図を使うのが一般的かと考えますし、私も通常はこの2つを使っています。
また、言わずもがなですが、必ず複数人で行うことが原則です。
検討する際に、私が気を付けていることは、
・人のせいにしない。「誰かが悪い」ということに原因を帰着させない。
→これも、言葉は違えどお二方が指摘されている通りです。
人の問題になることを避ける一つの方法は、例えば、作業者の行為を指示書に落とし込んでいるか、
その教育をおこなっているか、という点に着目して行うことです。
人が変わればその事象は発生しなくなるというなら、必ずそこにはノウハウがあるはずですから、
それを可視化し共有することが一つの対策になります。
・問題は単一の原因では発生しないことに留意する。
→不良は複数の要因が重なって発生しており、それらの要因のうちどれか一つでも発生しなければ、
不良は起こらなかった(もしくは、もっと軽く済んだ)ということが多いです。
の2点です。
なぜなぜ分析を行う際に、現象からひとつ目の階層の「なぜ」を書き出した際に、それとは逆の事象をあえて記載すると分析が進みやすくなる場合があります。例えば、発生した現象が「鉄骨が想定よりも早く割れてしまった」で、ひとつ目の「なぜ」が、「腐蝕性の環境だった」なら、「環境は必ずしも腐蝕性ではなかった(としたら?)」というような項目を並列して記載し、そこからなぜなぜを深化させていくことで、他の視点からも検討できるようになるだけではなく、第三者から見ても理解しやすくなる、ということもあります。ロジカルシンキングの一種だと思いますが、ご参考になれば幸いです。
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熊田技術士事務所 熊田と言います。
既に皆様からアドバイスがありましたが、追加です。
なぜなぜ分析をするときに、最初から技術面・人間面・管理面に分けて夫々分析するやり方があります。
"誰が悪いか?ではなく、何が悪いか?"を追求する事で真因に迫る・・・・
参考になれば幸甚です。
熊田
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事故や不良は「環境」と「不注意」が重なった時に発生しますが、ミスを起こした本人は自分の不注意を自覚しているために、どうしても原因をそちらの側面から見てしまいます。
また、なぜなぜ分析をやると必ず最後は「社長が悪い」になるというジョークがあるほど、仕組みの改善はなかなか難しいものです。
私が企業勤務時代には「私の不注意でした」という担当者が多く、人ではなくシステムに原因を見つけろ、と指導しましたが、現場レベルだとほとんどできなくて私が一緒になって考えていました。
現実的には簡単なケアレストラブルの対応策は、次のような「仕組み」に行き着く場合が多いです。
(1) チェックリスト作成のしくは改修
(2) マニュアル(手順書、規格)の整備、改訂
(3) 教育、トレーニングの新設もしくは改善
(4) ポカヨケ機構
(5) 見える化(表示、掲示)
(6) ダブルチェック(責任が不明確になるのであまり勧めない)
真の原因が分からなくても、ようは再発が防止できれば良いので、上記の中から効果がありそうなものを実施してはどうでしょう。
どうしても原因が欲しかったら、「上記の仕組みがなかった(不十分だった)」とします。実際には原因が一つではなく、複合していることが多いものです。
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問題が発生したときに原因究明について
不良を削減することを得ようとしたら、目標とする品質を明確にする必要があると思います。目標とした品質に対して、設計・仕様上あるいは、加工・組み立て作業場、製品提供上の齟齬があったと考えます。又は顧客や利害関係者のニーズ・期待に未達成があったと判断します。
このように考えると作業員や顧客や関係者の人の問題ではなくなると、感じられると思います。
不良というのは、得たい品質目標を製造現場や施工現場の各段階での未達成があったことであり、どれかの段階・仕掛製品等に「無理」があったと読みます。
品質目標にある「無理」を明確にしても、そこに作業員の問題点を洗い出しても解決に「無理」が出てきます。
品質マネジメントシステムでは、私見であるがそれぞれの製造現場や施工現場の責任者がマネジメントシステムを適用することが適切と思っています。
不良削減の為に、4.1 現場及びその状況を理解や4.2 利害関係者(次工程者)のニーズ及び記載の理解を検討します。
その後、5.2.1 製造・施工方針の確立を策定し、6.1 リスク及び機会への取り組み、6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定を行います。7.1 資源や7.2 力量、7.4 コミュニケーションなどを再確認します。
製造や施工の不良削減という「サービス」の作業活動に、8.3 製品及びサービスの設計・開発を適用して、定着することにより出来ると判断しています。
更に、環境マネジメントシステムも品質マネジメントシステムと同様に私見ですが、「著しい環境側面」は、「人及びそれらの相互関係」の製造・施工活動を取り組む明確にします。
ここでは、作業員や利害関係者(前工程・次工程者)の「人」に関する、「大きな」変化を得ることが出来る作業改善を考慮します。環境マネジメントシステムの6.1.2 環境側面を考慮して、製造・施工活動の手順を定めていきます。
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お悩みの内容は、現役時代品質関係を担当していた時に終始悩まされた内容で、お気持ち痛いほどわかります。
そういった状況の中、悪戦苦闘を続ける中で、私なりに行き着いた結論をご紹介しますので参考にして頂ければと思います。
立場上品質問題に直接関わることが出来なくなった時、過去を振り返ったところ、混迷を極めたケースは、多種多様の品質問題に解決手段からアプローチしますと、適した手法に行き着くまでが混迷を招いていることが分かったのです。
そこで、品質問題を“解決のための対応の種類”という観点に立って解析、分類したところ5種類となり、それぞれに適した解決策が見つかりスッキリしましたので、その内容をご紹介します。
一表にしますと一目瞭然なのですが、このサイトは図表の添付に対応していないとのことですので文章でご説明しますが、作表を前提にご説明しますので、説明に従って作表して頂ければと思います。
先ず区分ですが、大区分、中区分、小区分に分かれ、最終的に5種類(①~⑤)になります。
大区分は、不具合現象が何らかの形で原因と結びつくケース(現象系)と、一見原因のように見えるが真の原因はその背景にある職場の体質にあるというケース(体質系)の二つに区分されます。
次に中区分ですが、現象系の場合、不具合原因が不具合現象に直結しているケース(直結系)と不具合原因に多要因が絡んで複雑なケース(複雑系) の二つに区分され、体質系の場合、問題となっている体質が、設備に関わるケース(ハードウェア系)と人に関わるケース(ヒューマンウエア系) の二つに区分されます。
次に小区分ですが、中区分から入ります。
直結系には小区分はなく、多少の曲折はあっても、不具合現象と原因が直結している場合でそのまま ① です。複雑系には小区分があり、不具合原因が複数あってそれらが相互に絡み合って不具合原因となっている場合(②)と、不具合原因の要因が複数の工程に絡み合って不具合原因となっている場合(③)の二つです。
大区分の「体質系」は、不具合原因が職場の体質に関係している場合なんですが、体質が、設備計画、設備管理、保全など設備に関わる場合が「ハードウエア系」(④)と、人事管理、組織、教育など人に関わる場合が「ヒューマンウエア系」(⑤)の二つに区分されます。
文章説明で分かりにくいですが、以上で、不具合原因を5つに分類できましたので、それぞれに対する対応策をご説明します。
【対応策】
① 直結系
不具合原因が比較的単純で、一般的な品質管理手法によって原因に行き着くことが出来ますので、後は固有技術で解決することになります。
② 多要因系
不具合現象から不具合原因と思われる要因を上げて行くと、相互に関連する複数の要因が上がってくる場合で、重回帰分析や多変量解析により把握した、要因相互の相関や、全体に対する寄与率を基に対策を立案します。
③ 多工程系
不具合原因が一つの工程でケリがつかない場合で、関係する工程からメンバーを選んだプロジェクトチームにより解決することになります。
④ ハードウエア系
不具合原因が設備であることは確かなんですが、ここを直せばよいという明確な結論を出せない状態で、設備計画、設備管理、保全の体制が、現場の実情に合っておらず、体質的な不具合と言える状態です。対応策としては、TPM的根本的な体制見直しが必要となります。
⑤ ヒューマンウエア系
不具合原因が人のミスに関わる場合で、対策が、本人の注意力に頼らざるを得ない状況なのですが、職場に人のミスを誘発する体質的要因の存在が懸念される場合です。このケースが問題なのでは、その要因が漠然としていて掴みどころがなく、対策の打ちようがない点です。
対応策は、関係者に「何故ミスが起こるのか?」と問いかけて手に入れた内容を“言語データ”として、新QC七つ道具の「連関図法」や「親和図法」による解析によって手に入れた“要体質改善項目”を改善することです。
この項目は最後まで残り、悪戦苦闘の根源だったのですが、新QC七つ道具研究会への参画の機会をえたことで手に入れることが出来た上述の対応策が劇的効果を生み、ゼロクレームを達成することが出来たのです。
効果を生んだ最大の要因は、体質改善が出来たことなんですが、ミスをした本人を責めるのではなく、関係者全員の意識を「ミスを誘発する職場体質」に向けたことにより、体質改善が出来ただけでなく、人それぞれに内在するミス誘発要因に気付き、対応した点も大きかったというのが関係者の感想でした。
この「連関図法」と「親和図法」は、このものコムサイトに、拙著「新QC七つ道具の使い方」が紹介されていますので、それを参考にして頂ければと思います。
ただ、言語データの解析は簡単ではありませんので、挑戦されてお困りになられたときはご相談していただければと思います。
以上
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