製造部のはんだ付け作業の妥当性確認で、はんだ設備の妥当性確認は毎年実施していますが、はんだ付け作業者への妥当性確認は、別に「資格認定報告書」というのがあり、3年に1回、更新時に確認しているから、という理由で、毎年の妥当性確認を省略するようになりました。
代々受け継いでいるマニュアルや規定には、上手く逃げていて「定期的に」と記載あるだけで、「3年に1回」とか「毎年」とかまでの細かい実施間隔まで言及していません。私は製造畑の人間でないので工場長に確認すると、一度習得したものが出来なくなるのはよっぽど目が悪いとかがない限り出来なくはならないから3年に1回でいいのではないか、との回答でした。(ISOに対する知識は一般的で、反感は持たれていませんが特別深い造詣があるわけでもない方です。
当事業部のトップが反感を持っておられる方の為、ISO担当としては事を進めるのに1つ1つ慎重に進めています)
しかし、産休・育休後に復帰する人、退職して再入社する人などもいますし、私としては毎年して下さいと言いたい所なのですが、作業追加になるため、規定を変えるにしても外圧からの根拠がないとなかなか動けないのでお尋ねします。
はんだ付け作業の妥当性確認について、設備と作業者、それぞれ毎年実施しなくて大丈夫なのでしょうか?
補足1 投稿日時:2022/07/07 15:41
妥当性はISO9001の要求事項を満たし十分なレベルであること、有効性は望ましい成果を達成している で、9.3.1によると、異なるもののようなのに、8.5.1f)における対応として、はんだ付け作業者に対する再教育の有効性評価(毎年)と、力量一覧表(毎年)の結果をもって、妥当性確認している、と代用することは可能なのでしょうか。品証に、現在、毎年の妥当性確認を省いていることに対する理由づけとして不良発生件数を問い合わせましたが、逆に教育訓練の有効性を持って、問題ないと考えますとの回答が来て困っています。
始めまして、奥野と申します。
管理責任者をご担当とのこと、ご苦労様です。
ISOの観点では、「3年に1回確認すること」を規定とすることには問題はないと思いますが、3年間変わらない合理的な理由を問われることになると思います。
ISOの条文に出てくる「定期的に妥当性確認を行う」という要求は、製品の品質を保証するために行うべきである、という文脈で書かれていると考えます。定期的に妥当性を行うことが必要となる作業は、それぞれの会社でお決め頂いたら良いものと思いますが、その期間や妥当性確認の内容を決めるポイントは、「妥当性確認を行わないとどういう品質リスクが生じるか」です。例えば、今回お示しのはんだ付け作業の資格認定を3年に1回行うことにする、とします。その場合、その3年間の間、はんだ付け工程で発生する不良のリスクを、会社として許容する、ということになります。
そのリスクが高ければ高いほど、たとえば、はんだ付け不良によって製品を回収し全数検査しなければならなくなることが予想されるような場合、そのリスクを低くするために期間を短縮する、ということになるかと思います。
また、資格認定の観点では、資格を認定するために、一般的にはその業務に関する知識を、必要に応じて、知識に加えて実作業経験を加味した条件を課すことになると考えます。実作業経験を条件に入れている場合は特に、当然作業をやっていないブランクがあると技量は落ちますから、ブランクの期間を定めて、それを超える場合は再試験とするのが良いかと考えますし、知識についても同じことが言えます。また、はんだ付けによる何らかの不良が起き、その原因が作業者にある場合も、再教育・再試験を行う、というのが通常の管理方法かと考えます。
これらは、最初に申し上げております通り、製品の品質を保証するために行うものですから、どのレベルで行うものかは状況によって異なります。数ヶ月のブランク後復帰した人がそのままはんだ付けを行い、不良品を作ってしまうリスクを許容するかどうか、ということになります。
私の個人的な見解で恐縮ですが、はんだ付けの工程は、ISO9001の8.5.1項f)の内容に従うもの、すなわち、はんだ付けという工程は「製造及びサービス提供のプロセスで結果として生じるアウトプットを,それ以降の監視又は測定で検証することが不可能な場合」に含むべき、製品の品質に大きく影響する工程だと考えます。貴社においてはんだ付け作業に起因する品質不具合が多いと判断される場合は、不具合を減らす一つの手法として、認定見直しの期間の短縮を提案されても良いのではないでしょうか。
以上、ご参考まで。
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管理責任者と事務局のご担当をされており、トップがISOに反感を持たれているとのことで、システムの改善には関するご苦労、お察しいたします。
今回ご質問の件につきまして、ISO9001の審査員の立場で、敢えて専門的な言葉は可能な限り省きながら回答させていただきます。
結論から言えば、現状の3年に1回更新する運用でも問題ないかと思われます。
3年に1回の運用で問題がある、たとえば、資格制度が運用できていないせいで品質不良を発生させているのであれば見直すべきですが、問題ないのであれば作業を増やす必要はありません。
「重点指向」の考え方がこれに当たり、問題の程度に応じた取り組みをしなさい、というのがISOの基本的な考え方です。
少なくとも審査では、不良が発生していなければ「有効に運用されている」と判断されます。
反対に、不良が発生しているのであれば、更新頻度の問題はもちろんですが、資格認定の方法そのものも検討しなければいけません。
マニュアルや規定に記載されている、「定期的に」の解釈次第ではありますが、本件についてはマニュアルや規定を変更するのではなく、運用面として、産休・育休明けの従業員、再入社の従業員は更新の対象とするようにすれば良いように思います。
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
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奥野です。補足1について回答させていただきます。
はんだ付け作業の妥当性確認とは、作業者がはんだ付け作業をできるか、ということを確認することですから、はんだ付け作業の手順を知っていること、そしてその通りに作業ができること、の2点に対する評価が必要と考えられます(自動車の免許を取得するために筆記試験と実技試験があるのと同じ、と考えていただければ良いかと思います)。この2点の評価があれば、審査員などの第三者は、当該作業者の力量を正確に把握することができます。
このことから、お示しの2つの評価文書(「ハンダ付け作業者に対する再教育の有効性評価」と「力量一覧表」)に、①教育内容を認識しているか、および②教育内容を踏まえて作業が行われているか、の2つの観点で評価が行われ更新されていれば、代用可能であると考えます。
特に②については、一般的には実技試験を行いその結果を評価する、ということになりますが、試験実施の負荷が高くなるため、実技試験を行う代わりに、実作業の結果(例えば、不良発生個数や不良率)で代用することも可能と考えます。
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