Q&Aサービスは終了いたしました。過去のQ&Aの閲覧のみ可能となっております。
新規に質問をする場合は上記「コミュニティ」より投稿してみましょう。


QUESTION 質問No.621

誤差因子無し 望目特性・望大特性

全体/その他品質工学(タグチメソッド) |投稿日時:

ある電子部品の耐久性評価のために誤差因子を設定せずに、L9直行表にて試験を行いました。※短期間での評価のため誤差因子は無しで設定

出力(測定結果)が大きい程望ましいケースでも望大特性ではなく、望目特性を使うのが望ましいとテキストで見かけましたのですが、理由がよく理解できなかっため、望大・望目の両パターンでSN比と感度を計算しました。
その際に下記記載の疑問が生まれたので、ご教示いただけないでしょうか。。。。
SN比・感度の計算は社内フォーマットに当てはめて算出しています。

【誤差因子無し 望大特性について】
試験結果を望大特性に当てはめて算出した場合、SN比のみが結果として表示され、感度が表示されませんでした。
望大特性では出力(測定結果)が大きくなることを想定して、バラつきに関しては抑制出来ない認識で合っていますか?

【誤差因子無し 望目特性について】
同様に望目特性の計算フォーマットに当てはめた結果、
SN比が出てこず、感度のみが計算結果として出てきました。
これは誤差因子が無いからでしょうか?

SN比が出てこず、感度のみが表示される場合は感度が最大になるような
水準を選べば最適水準となりますでしょうか?

そもそもの質問で恐縮なのですが、誤差因子無しでL9試験を行うこと自体可能なのでしょうか?

理解が浅く申し訳ありませんが何卒ご教示の程よろしくお願いいたします。







spacer
ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

品質工学、多変量解析とQC7つ道具まで、幅広いコンサルを実施している村島技術士事務所の村島です。ご質問の件、初心者がよくやる実験パターンなので、注意が必要です。
①まず、ご質問のL9直行表というのは、ありません。L9直交表です。
②誤差因子がなくても、データが2個以上あれば、SN比の計算は、形式的には可能なので、お使いのプログラムから類推して、計算上の問題はないと思われます。(社内のフォーマットというのが、いまひとつ不詳ですが)
③誤差因子なしの望大特性解析についてですが、「やらないよりはマシ」な程度です。望大特性の期待値を詳細に調べればわかりますが、SN比に反映されるのは、ほとんどが平均値の効果です。バラツキの効果は、平均値の4乗に逆比例して入るので、ほとんどないに等しいです。このため、望大特性での解析には、必ず、多くの誤差因子を入れないといけません。いれても、4乗に逆比例分しか効果をカウントしません。結論から言えば、バラツキに関しては情報不十分となります。品質工学の使い方からすると、不適切となります。
④誤差因子なしの望目特性について、感度のみしか表示できないというのは、ありえません。感度を算出するときにも、必ず、誤差分散を差し引くので、誤差分散があるかぎり、SN比も形式上は計算されるはずです。どういうプログラムなのかわかりませんが、見直す必要があります。
⑤そもそも、誤差因子なしでL9を使うということについてですが、絶対やってはいけません。誤差因子があっても、L9は役に立ちません。L9は交互作用が特定列に入る典型的な直交表で、ここへ3個以上の制御因子をわりつけると、分解しているつもりの因子効果は交互作用と交絡するので、全く信用できません。それなら、2個だけにすればいいのですが、2個だけなら、なにも、直交表を使わなくても、単純組合せでよいことになって、工数上も得しません。L9の実践的な存在意義はないばかりでなく、間違いのもとです。時間がかかっても、L18が推奨されます。L18なら誤差因子をわりつけなくても、まだ、再現性については信用できます。
 以上ですが、詳細な説明は、「ものづくり.com 村島」から検索して、セミナーの「実践的SQC習得オンデマンドセミナー -効率的品質管理のための統計的手法の基本と応用- 全6回の第5回「Ⅴ.実験計画法とタグチメソッド」をご参照ください。




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

くろださん

QE Compassの細川と申します
実験の詳細までわかりませんので,的確ではないところもあるかもしれませんが、コメントいたします.

望大特性でも望目特性で解析した方が良い理由は,望目特性の方が技術的な情報量が多いからです.例えば接着剤でほしいものは接着力ですから望大特性ですが,望目特性として解析することによって,ロバスト性と接着力の二つの技術情報を得ることができます.ここでロバスト性とは接着力の安定性です.例えば,接着対象の違いなどがノイズ因子として挙げられます.このノイズ因子の水準が変わってもいつでも接着力は一定であることが理想です.このロバスト性をSN比で定量化します.一方の接着力は平均値(感度)としてSN比とは別で解析します.

多くの場合、ロバスト性と平均値を改善する制御因子は異なります.それを一緒にして望大特性にしてしまうと技術情報が減るだけではなく加法性がなくなり,結果的に交互作用の影響が大きくなって,要因効果図を信頼できないケースも出てきてしまいます.

この事例では耐久性評価とのことなので、初期と劣化後があると思います.そうであればN1=初期,N2=劣化後として計測特性を電子部品のほしい目的特性にすれば望目SN比を計算する意味があるはずです.

それと効率性を考えてL9実験を実施したと推測します.L9でも交互作用が十分に小さければ正確な技術情報を得ることができます.交互作用の寄与が大きいと要因効果図の傾向が不自然な山谷や第1あるいが第3水準のみが異なる値になることが多いです.これも交互作用の寄与の判断方法ですが,より正確には確認実験をお勧めします.

参考になれば