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QUESTION 質問No.78

KPIとしてのNPSの導入事例を教えて下さい。

全体/その他ゼネラルマネジメント |投稿日時:
従業員、2000人規模で全国に小売店を展開している食品グループ会社です。
私はそこの管理運営会社で、CSR全般を担当している者です。
KPIとして、CS向上を掲げて取組み、2年経過しましたが、売上・利益の向上がみられません。
CS向上が最終利益との相関があるのか、社内で疑問視する声が上がっています。
そこで、CS向上に関連して、NPS(ネットプロモーター・スコア)を来年度から導入します。
KPIとしてのNPSの導入事例、NPS展開の留意点など、関連することを広範囲に教えて下さい。


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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

【背景】
経営のKPIとして、最近は株主志向のROEが注目されていますが、CSを採用されているというのは、目先の利益や限られたステークホルダーの利益を意識した指標でなく、企業価値創造の源泉である顧客視点からのKPIとして、優れた取り組みです.

CSが長期的利益につながるというのは、車業界では昔からJ.D.パワー社が有名で権威がある調査を行ってきました.例えば、アメリカにおけるホンダの台頭から始まった日本車の隆盛、その後デミングの指導で復活したフォードのCS度の向上は、いずれもその後のシェアーの先行指標となり、その復活に繋がって行きました.

しかし、その評価体系は外部秘とされ、当初は品質が主な要因と考えられていたが、それが信頼性となり、最近ではセールスまでの統合満足度が重要であると理解され始めております.ハードも、所有から、使用へ、さらに経験価値へと、顧客の価値観が変化し、サービスを実現するプラットフォームとして考えられるようになり、単にQCDやその拡張した指標をKPIとするのだけでなく、これらを統合したものがCSであるとの認識が広がってきた背景と言えるでしょう.

【NPSとは】
最近注目されるようになったのが、CSをKPIとする Promoters Score)です.NPSは、単にモノ造りだけでなく、いわば顧客を巻き込んだマーケティング概念とも結びついたもので、顧客に対し”究極の質問”をぶつけ、「あなたはこのプロダクツまたはサービスを知人に勧めますか?」と尋ねます.また「その度合いを10点満点で点数を付けて下さい」、つまり自分の顧客がその経験をどこまでエバンジェリスト(伝道師)になってくれているかと問うのです.

この11段階の評価結果を3のグループに分けます:
・0~9:推奨する立場(プロモーター)
・~7:推奨も批判もしない受動的な立場
・~0:批判的な立場
この推奨するの顧客の割合ら批判的な顧客の割合を引くことで得られる数値がNPS(ネットプロモータースコア)です:
・推奨者の割合 - 批判者の割合 = 推奨者の正味スコア(NSP)
例えば、推奨者が30%で批判者が20%であれば、NPSは10%となります.つまり、推奨者の割合から批判者の割合を単純に理解できることが利点で、結果は±100%の範囲となります.

しかし、そうした質問に加えて、「その評価の理由を教えて下さい」とオープンな質問を続け、文章で答えてもらいます.その結果、いくつかの典型的なCOV(Customer of Voice)を聴くことができます.

【利点】
従来のCS調査に比べ、主な利点は3つ挙げます:
1.従来のCS調査は、複数の評価項目を挙げてカスタマーに尋ね、それらの各項目に重みを付けて総合評価尺度を決めるやり方が多く、その構造が不明確でした.それは調査会社としては、それぞれの指標のランキングを発表できることと、総合ランキングのトップだけを発表して後は非公開とし、コンサルサービスに結びつけることができましたが、企業は、何をどのように改善したらよいかが判りません.
・NPSでは、独自に、自社の顧客とのタッチポイント、例えば、営業やご相談窓口等で、直接、具体的な評価の対象に関しその理由を尋ねて理解することが可能です.

2.従来は、業界毎に複数の調査をし、その評価基準は業界平均でした.また業界の最高値をベンチマークとして、競争戦略を組み立てるのが通常でした.しかし、それは、カスタマーの真に望むこととは限らないこと、また.サービス価値の本質は経験価値にあることから、従来のベストのケースを追い駆けても、その先にゆく経験価値を提案するイノベーションには結びつきませんでした.
・NPSでは、業界やブランドカテゴリーの平均を顧客の経験の中で重なり、あくまで顧客の期待度が評価の標準となります.そして、サービスの本質が持つ多様なニーズベクトルをくみ取ることが可能となります.

3.従来のCS調査では、複数の企業やブランドの経験者からのデータを必要とするため、調査が大規模となり費用が高額となり、新製品や新ブランドは安定した評価を得ることができませんでした.また調査の枠組みを決めたり立証したい仮説を設定し、回収率を上げ解析負担を下げるため、プリコードされた選択設問を多用しますが、こうした方法は、設計の失敗の罠に嵌る可能性もありました.
・NPSでは、最近のオムニチャンネルと言われる自社や自社と連携するエンドユーザとのマルチタッチポイントから、リアルタイムに大量なデータ取得が可能となってきました.そこでの顧客の評価基準には、過去のコンペチタを含めた経験も反映されており、また通常のジョブフローの中のルーチンワークの一環としてデータを採取することができます.これは大変重要なポイントで、ある答え易い選択肢に反応してもらい、その理由を尋ねる形で、回答率を上げ、オープン型で、カスタマの本音に迫ることが可能となっております.

【欠点】
主な欠点を3つ挙げます:
1.日本人は、極端な意見を避け、嫌うため、4から6ポイントに集中する傾向があります.そのため、欧米に比べ、NPSが辛めに出ることになり、評価区分を各1ポイント位下げた方がよいという考え方もあります.

2.あるブランドでのNPSの経験では、真のロイアルティの高い顧客では、辛めの評価をするという傾向もあります.それは、主観的なポイント評価故の”期待からのご意見”ともいうべきもので、コメントを注意深く分析する必要があります.

3.USではNPSを採用する企業が増えており、日本でもグローバル企業で採用が始まっています.ただ、昨今ビッグデータが注目され、機械学習やAI等の進化が伝えられていますが、日米共、量データと質データを統合的に解析できるデータ解析法の理論が発展途上で、そうしたソフトが活用されているとは言い難い状況です.

【展望】
・IoTの発展によって、サービスニーズに対するソリューションは、革新を続けております.例えば、食に関する対するニーズでも、関心、探索、選択、購入、決済、入手などのサービス実現プロセスは、情報流と物流のマッチング・チェーンが同期し、革新の波の唯中にいると言えます.
NPSは、そうしたサービスコンテンツ群と、カスタマー群がマッチングするトランザクションポイントで、こうしたデータ形式に沿ったデータはKFSとなって行きます.

・量を構成する背景にある質の事象との関係を理解するための新しいデータ分析法が、最近、日本で開発され、簡単に使えるようになってきました.例えば、”連環データ分析(Dual ComBine Analysis)”というセルフ・サービス・B.I.ソリューション等がそれで、適用例としいて、食や電子機器等への適用例があります.
NPSは、そうしたサービスコンテンツ群と、カスタマー群がマッチングするトランザクションポイントで、こうしたデータ形式に沿ったデータ自体がはKFSとなって行きます.