異形部品挿入工程に4台の古いロボットが稼働していますが、この工程のアンバランス・ロスが
解消出来ません。
古いロボットのため、ロボットごとに扱える部品が限定されるので、生産性が上がりません。
逃げ手として、バランスをくずす部品のロボットによる挿入をあきらめて、手作業にしています。
しかし、これでは、効果的な自動化を進めようとする方向からはずれてしまっています。
現場を見て頂いて、専門家のご意見を賜り、アンバランス・ロスをゼロに近づける対策を打つべき
ところですが、何とか設備投資をしないで、この工程の生産性を上げる方法はないものでしょうか。
このような情報不足の質問で恐縮ですが、お答えを頂き、次の動きに進めたいと思いますので
宜しくお願いします。
伊藤コンサルティングの伊藤と申します。
ご質問にありました「異形部品挿入工程」が御社生産ラインの「ボトルネック」ということでしょうか?
生産ラインのスループットは「ボトルネック」で決まります。
まずは本当に「異形部品挿入工程」がボトルネック工程かどうかを見極めていただき、もし、他に仕掛が溜まっているような工程がありましたら(コントロールして敢えて溜めているのであれば別ですが)、「異形部品挿入工程」がボトルネック工程ではない可能性がありますので、その際は真のボトルネック工程を改善する方が先となります。
ご質問では「ロボットのアンバランス・ロス」とありますが、生産ラインの能力改善は「全体最適化」の観点で考えることが必要であり、「部分最適化」に拘ってしまうと、本当に必要なことを見失ってしまう危険があります。
それを踏まえ、「異形部品挿入工程」がボトルネック工程ということでしたら、まず各ロボットの生産能力を詳細に山積みし、各ロボットの生産能力が最大となるような組み合わせで生産計画を作成します。その上で、一番能力の低いボトルネックのロボットに対して、他の手段(ご質問の中にもありました手作業や一部外注化など)との組み合わせを検討し、各ロボットの生産能力のアンバランスの解消を図り、「異形部品挿入工程」の生産能力を向上させます。
ご参考になれば幸いです。
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異形電子部品挿入・装着機、半導体の生産システム、治工具設計、ロボット開発などを実施してきた経験から感じたことを述べます。この場は手法を主に紹介しているサイトですので、その視点で整理したいと思います。結論としては、主に段取り見直しによるボトルネック工程の改善となります。理論的には、簡単そうですが、現場感覚としては難易度は高いと思います。与件では、漠然とした条件しか示されていません。ここでは、段取りプロセスを主体として、よくあるパターンを想定して、できるだけ具体的にまとめてみました。参考にしてください。
(1)現状分析を実施する。
・ロボットの部品供給時、部品交換時のロスタイムを測定する。
・異形部品挿入ロボットの部品の種類ごとのタクトタイムを測定する。
・異形部品挿入ロボットのスピードを可変できないか確認する。
・異形部品挿入ロボットのトラブル内容、トラブル頻度等から稼働率を算出する。
・その他気になったことを確認する。
(2)異形部品挿入ロボットの改善できるトラブル対策を実施し、まず、稼働率を上げることを考える。
(3)内段取りの外段取り化を図る。
・例えば、電子部品のスティック等への詰め替えが、異形部品挿入ロボットのロス時間になっていたら、事前に準備しておく。
(4)内段取りの短縮化を図る
・電子部品等を最短距離で搬送できるように変更し、スティックやリール等を交換する時間を短縮する。
・もし、ロボットが複数部品対応可能なら、タクトタイムのバランスを考慮した挿入順序に変更する。
(5)外段取りの短縮化を図る。
・電子部品のスティック等への詰め替え等の事前準備などに、自前の治工具を製作して短縮化する。
(6)上記の対策を実施した上で、どうしても発生するボトルネック工程のみを人海戦術で作業を行う。
・この場合にも、内段取りの外段取り化、内段取りの短縮化、外段取りの短縮化は必ず実施する。
(7)それでも、人手不足のばあいには、外注化を検討する。
回答者:ぷろえんじにあ代表 粕谷茂
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