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シリコン量子ドットを一日で徹底解説!初学者にもわかりやすく解説します。
セミナー趣旨
量子ドットは、大きさが数nmからなる発光性の半導体ナノ結晶です。2023年のノーベル化学賞が、量子ドットの研究者に授与されたのは記憶に新しいことと思います。量子ドットを用いた大型TVは、世界中で販売され始めています。一方、流通品は主にインジウム系量子ドットで、また研究で主力の量子ドットはカドミウム系、ペロブスカイト系量子ドット(鉛を含む)となっており、重金属を含みます。従って、汎用的な材料で、毒性がなく、重金属フリーのサステナブルな発光体が世界中で模索されています。
シリコンは重金属ではなく、その原料は砂・石です。シリコンは太陽電池、スマートフォン、車の電子部品をはじめ、現代社会の根幹を支える半導体です。一方、シリコンは発光体としての性質はあまり優れてなく、実用化には至っておりません。その理由は、シリコンの発光は近赤外線領域で、また発光効率は0.01%程と低く、発光材料には向いておりませんでした。しかし、ナノサイズ(量子ドット)になると、発光の量子収率は近年90%まで上昇しました。更に、量子閉じ込め効果と表面効果により、発光波長は可視光全般(400-800 nm)までに及びます。
本セミナーでは、シリコンの量子ドットについて、5hかけて徹底的に紹介します。はじめに、量子ドットとLEDの基礎について説明します。次にバルクシリコン、ナノシリコンの構造と光物性について説明します。最後に、最先端のシリコン量子ドットの合成・構造・物性、そしてそれらを用いたLEDの製造法・構造・特性について説明します。また、それらの耐久性についても紹介します。時間が許せば、もみ殻を原料にしたシリコン量子ドットの合成とLEDの開発についても、紹介します。
受講対象・レベル
本テーマにご関心のある化学、材料、素材、電気・電子、通信、医療機器のメーカーの研究・開発、
ならびに新規分野を開拓・発掘される業務のご担当者など。
必要な予備知識
豊富な画像を用いて、初学者からもわかるような講義ができるように、努めたいと考えています。
習得できる知識
・量子ドットの基礎知識
・量子ドットLEDの基礎知識
・シリコン量子ドットの合成・構造・機能
・シリコン量子ドットLEDの製造法・構造・特性
以上、重金属フリーとなる量子ドットとそのLEDについて、最新の知識が得られます。
セミナープログラム
1. 背景 ―量子ドット・LED・溶液プロセスまでー
1.1 エネルギーに関する現状と課題
1.2 量子ドットの構造と性質
1.3 P型半導体とN型半導体
1.4 PN接合
1.5 LEDについて
1.6 溶液プロセスについて
2. バルクシリコン
2.1 シリコンの製造法
2.2 シリコンの構造
2.3 シリコンのバンド構造
2.4 バンド構造の見方
2.5 バンドギャップの生成
2.6 電子と正孔
2.7 フェルミ準位
2.8 有効質量
2.9 真性半導体と化合物半導体
2.10 バンド間遷移(直接遷移と間接遷移)
3. ナノシリコン
3.1 ナノシリコンの歴史
3.2 シリコン量子ドットの歴史
3.3 ナノシリコンの構造と光物性
3.4 量子サイズ効果
3.5 有効質量近似
3.6 表面効果
3.7 表面リガンドの影響
3.8 SバンドとFバンド
4. シリコン量子ドットの合成・構造・物性
4.1 トップダウン法とボトムアップ法
4.2 電気化学的手法
4.3 ボールミル法
4.4 レーザーアブレーション法
4.5 プラズマ合成法
4.6 液相還元法
4.7 焼結法
4.8 化学エッチング法
4.9 青色発光するシリコン量子ドット
4.10 緑色発光するシリコン量子ドット
4.11 赤色発光するシリコン量子ドット
4.12 シリコン量子ドットの耐久性
4.13 その他:各手法で得られたシリコン量子ドットの構造と物性
5. シリコン量子ドットLEDの製造・構造・特性
5.1 アノードとカソード
5.2 フォトルミネッセンス(PL)とエレクトロルミネッセンス(EL)
5.3 順構造と逆構造
5.4 LEDの製膜法
5.5 正孔輸送層と電子輸送層
5.6 電流電圧特性
5.7 外部量子効率
5.8 表面構造とLEDの効率
5.9 その他のデバイス1(ソーラーウインドウ)
5.10 その他のデバイス2(量子ドットフィルム)
5.11 その他のデバイス3(センサー、バイオマーカーなど)
6. まとめと展望
※途中、お昼休みと小休憩を挟みます。
セミナー講師
広島大学 自然科学研究支援開発センター 研究開発部門(物質科学部)副センター長
大学院先進理工系科学研究科(化学プログラム) 教授 博士(理学) 齋藤 健一 氏
■ご略歴
学習院大学大学院(自然科学研究科)博士前期課程修了、総合研究大学院大学(数物科学研究科)博士後期課程修了 博士(理学)を取得。
その後、日本原子力研究所、大阪大学工学部での博士研究員、千葉大学助手、広島大学助教授を経て2011年より広島大学教授。
Stanford大学客員研究員、学習院大学客員教授、大阪公立大学客員教授、JSTさきがけ研究員などを歴任。
趣味はジョギング、食べ歩き、庭仕事など。
■ご専門
Materials science、物理化学、光機能化学、エネルギー科学。特に、量子ドット、量子ドットLED、
導電性高分子の研究をはじめ、次世代型太陽電池、超臨界流体、水素製造、メカノケミストリー、プラズモニクス研究などに従事。
■本テーマ関連学協会でのご活動
分子科学会(運営委員)、日本化学会(物理化学ディビジョン幹事)、日本化学会中国四国支部(事務局長、地区幹事、庶務幹事)、
Springer-Nature社 Scientific ReportsのEditorial Board, Inte、分子科学討論会、高圧討論会、化学反応討論会、
International Symposium on Silicon chemistryなど実行委員を歴任。
セミナー受講料
1名47,300円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき36,300円
*学校法人割引;学生、教員のご参加は受講料50%割引。
受講について
- 感染拡大防止対策にご協力下さい。
- セミナー会場での現金支払いを休止しております。
- 新型コロナウイルスの感染防止の一環として当面の間、昼食の提供サービスは中止させて頂きます。
- 配布資料は、当日セミナー会場でのお渡しとなります。
- 希望者は講師との名刺交換が可能です。
- 録音・録画行為は固くお断り致します。
- 講義中の携帯電話の使用はご遠慮下さい。
- 講義中のパソコン使用は、講義の支障や他の方の迷惑となる場合がありますので、極力お控え下さい。
場合により、使用をお断りすることがございますので、予めご了承下さい。(*PC実習講座を除きます。)
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