医薬品製造におけるリスクマネジメントの本質と活用事例

<編著者> 宮嶋 勝春 ナノキャリア(株) <著者> 檜山 行雄 国立医薬品食品衛生研究所 前田 芳周 ナノキャリア(株) 一色 信行 キッセイ薬品工業(株) 安田 昭仁 日本新薬(株) 松村 行栄 品質マネジメント アドバイザー [元エーザイ(株)] 高島 平幸 フィラーシステムズ(株) [元アステラス製薬(株)]

構成

B5判並製本 201頁

価格

38,500円 (税抜 35,000円) 1点 在庫あり

商品説明

医薬品製造におけるリスクマネジメントの本質と活用事例
【 製造現場におけるRisk Management 実施上の課題やRisk 評価事例 】

~具体的にどのようにRisk に向き合えばよいのか~

発刊日  2019年3月28日

【本書は,Risk に対する取り組みについて筆者らの経験を基に解説・事例紹介しています】
※ここで紹介する事例を参考に,自社で実施する場合にRisk の漏れ防止にご活用ください※

# リスクマネジメントに関する査察における指摘事項
多くはRisk Managementの対象に関する問題であり,SOPにおいて記載されていることが実際に行われていないことやRisk Communicationに関する問題である。
一方で、Risk 評価の質についての指摘はほとんどない。
しかし,申請や一変時にRisk 評価が不十分と判断された場合,照会事項が増えることが容易に予想される。

# 具体的にどのようにRisk に向き合えばよいのか戸惑っていませんか?
公表されている事例の多くは開発段階でのRisk 評価が中心ですが、
本書では製造現場における問題を取り上げました。
本筆者が経験した医薬品製造工場の交叉汚染にかかわるRisk 評価の事例を中心に紹介

事例1:委受託製造先を決める場合のRisk 評価
事例2:交叉汚染防止のためのRisk 評価
事例3:試験室における高活性物質暴露に関するRisk 評価
事例4:微生物混入に関するRisk 評価
事例5:洗浄バリデーション時のRisk 評価
事例6:製造設備(圧縮空気)のRisk 評価事例

# これまでもRisk 評価はやっていた?
これまでの取り組みとガイドラインが求めている取り組みは何が異なっているのか

# Risk に対する理解や社内における共有化,そしてRisk 評価の質をどのように確保するかが大きな課題
QRMプロセスにおいてはQRM 文書を基軸としたリスクコミュニケーション,チームレビューの重要性が示されている

内容紹介

目次
第1章 医薬品開発・製造におけるリスクマネジメントの重要性
はじめに
1.ICHにおける「品質リスクマネジメント」ガイドライン作成の経緯
2.適用事例紹介
 2.1 製剤開発におけるリスクアセスメントの例
 2.2 GMPにおける品質リスクマネジメント適用例
3.QRM導入に対するヒント
4.品質リスクマネジメントの一般課題


第2章 リスクマネジメントの基礎
はじめに
1. Risk とは何か(Risk の意味)
 1.1 Risk とは何か,Danger などとはどう違うのか
 1.2 Risk の大小をどう表すか
 1.3 すべてのRisk を取り除くべきか(Risk 受容)
 1.4 Risk 評価は1 回で終わるのか?
2. なぜ,いまRisk なのか
 2.1 米国における医薬品開発の問題と新たな政策
 2.2 それで何が変わるのか
 2.3 これまでもRisk 評価はやっていた?
  2.3.1 だれが評価を行ったのか
  2.3.2 記録はあるのか
3. Risk Management を理解する
 3.1 Risk Assessment
  3.1.1 予備危険分析(Preliminary Hazard Analysis:PHA)
  3.1.2 欠陥モード影響解析(Failure Mode and Effect Analysis:FMEA)
  3.1.3 欠陥モード影響致命度解析(Failure Mode, Effect and Criticality Analysis:FMECA)
  3.1.4 故障の木解析 (Fault Tree Analysis:FTA)
  3.1.5 ハザード分析と重要管理点 (Hazard Analysis and Critical Control Point:HACCP)
  3.1.6 潜在危険及び作動性の調査(Hazard and Operability Study:HAZOP)
 3.2 Risk Control
 3.3 Risk Review
 3.4 Risk Communication
4. 課題は何か
 4.1 Risk 評価の質をいかに担保するか(メンバー選択)
 4.2 Risk をいかに社内で共有するか
まとめ


第3章 リスクマネジメントのSOP 作成ポイント
はじめに
1. エラーを防止するためにどうするか
 1.1 ヒューマンエラー/ ヒューマンファクターを理解しよう
 1.2 人にかかわるRisk とは何か
 1.3 エラーマネジメントが重要
2. SOP はどうあるべきか
 2.1 SOP の目的
 2.2 SOP 作成上の留意点
 2.3 SOP と製造指図書とMaster Batch Record
 2.4 SOP のあるべき姿
3. Risk Management に関するSOP
 3.1 SOP の構成
 3.2 作成上の留意点
4. 効果的な教育訓練をどうするか
 4.1 査察で何がチェックされるのか
 4.2 シミュレーションを活用する
5. Data Integrity は大丈夫か
 5.1 Data Integrity とは何か
 5.2 Data Integrity に関するガイドライン
 5.3 無通告査察とData Integrity
まとめ


第4章 リスクマネジメントとプロセスバリデーション
はじめに
1. Process Validation の歴史
2. Process Validation 実施における5 つのポイント
3. Worst Case Approach とProcess Validation
 3.1 原薬GMP ガイドラインにおけるworst case
 3.2 PIC/S GMPガイドラインにおけるworst case
 3.3 洗浄バリデーションにおけるworst case
  3.3.1 薬物などの溶解度から見たworst case
  3.3.2 含量の異なる製品(同一薬物を含む場合)から見たworst case
  3.3.3 装置の構造から見たworst case
  3.3.4 洗浄確認場所に関するworst case
  3.3.5 薬物の毒性に基づいたworst case
  3.3.6 生産計画上のworst case
まとめ


第5章 リスクコミュニケーションとリスクレビューの基本的な考え方
はじめに
1. 品質リスクマネジメント(ICH Q9)と医薬品品質システム(ICH Q10)
2. リスクコミュニケーション
 2.1 リスクコミュニケーションとは
 2.2 リスクコミュニケーションの対象
 2.3 リスクコミュニケーションの手段
  2.3.1 リスクコミュニケーションにおける文書化のポイント
3. リスクレビュー
 3.1 リスクレビューとは
 3.2 リスクレビューの目的とポイント
 3.3 レビューチームと意思決定者
4. 製品ライフサイクルにおけるリスクコミュニケーションとリスクレビュー
 4.1 開発段階
 4.2 技術移転段階
  4.2.1 技術移転開始段階
  4.2.2 承認申請段階
  4.2.3 工業化検討段階
 4.3 承認申請段階
 4.4 生産段階
おわりに


第6章 医薬品工場におけるリスクアセスメントの具体的事例
第1 節 医薬品製造現場におけるリスク評価の事例
はじめに
1. Risk Management に関する査察における指摘事項
2. Risk 評価法とRisk の大きさをどう表すか
3. Risk 評価の事例
 3.1 事例1:委受託製造先を決める場合のRisk 評価
 3.2 事例2:交叉汚染防止のためのRisk 評価
 3.3 事例3:試験室における高活性物質暴露に関するRisk 評価
 3.4 事例4:微生物混入に関するRisk 評価
 3.5 事例5:洗浄バリデーション時のRisk 評価
 3.6 事例6:製造設備(圧縮空気)のRisk 評価事例
まとめ

第2 節 生産移管に向けた研究開発段階におけるリスク評価の事例
はじめに
1. リスクアセスメントの流れ
2. QTPP とCQA の設定
3. MA とPP の洗い出し
4. 初期リスクアセスメント(p-CMA の抽出)
5. 実験計画法やチャレンジテストによるCMA の特定
6. ブレインストーミングによるp-CPP の抽出
7. 実験計画法やチャレンジテストによるCPP の特定
8. 工業化研究の実施によるリスクの検証,管理戦略(案)の策定
9. 技術移転
10. バリデーション
11. 継続的なコミュニケーション


第7章 是正措置及び予防措置システムと品質リスクマネジメント-逸脱処理を例に-
1. 医薬品品質システム
 1.1 医薬品品質システムの要素と手法
 1.2 是正措置及び予防措置と品質リスクマネジメント
2. 是正措置及び予防措置
 2.1 是正措置及び予防措置のプロセス
  2.1.1 CAPA の調査
  2.1.2 CAPA の評価
  2.1.3 CAPA の修正
  2.1.4 CAPA のレビュー
 2.2 品質リスクマネジメント
 2.3 QRM のプロセスを使用したCAPA
  2.3.1 CAPA の調査
  2.3.2 CAPA の評価
  2.3.3 CAPA の修正
  2.3.4 CAPA のレビュー
おわりに


第8章 査察とリスクマネジメント
はじめに
1. FDA とリスク管理
2.  ここ数年のWL(Warning Letter)に見る指摘の傾向と,我々が日頃から留意すべきこと
 2.1 最近のWL(Warning Letter)に見る五つのポイント
  2.1.1 CSV の不備
  2.1.2 生データの信頼性(Data Integrity をこう訳している)
  2.1.3 過去の精算が不十分
  2.1.4 品質部門の機能不全
  2.1.5 査察時に対する非協力的態度
 2.2 生データの信頼性(Data Integrity)について
 2.3 レビューの考察
3. 査察中の査察官の視点
 3.1 査察官も事前準備をしている
 3.2 やりたいようにやるという査察官もいるが,結局はそれなりの順序に従って進めている
 3.3 査察の主目的を理解する
 3.4 査察官の思考回路を理解する
4. Form483を発行されないための準備といくつかのポイント
 4.1 FDA サイトからわかる指摘事項トレンド情報を活用する
 4.2 日頃から心がけておくこと
  4.2.1 Job Description - Roles and Responsibilities を作成しておく
  4.2.2 Quality Unit 品質保証・管理機能を整備しておく
  4.2.3 Coaching Training の経験を持っておく
  4.2.4 Management Review をきちんと実施しておく
  4.2.5 CAPA・異常逸脱に対する意識をワンランクあげておく
  4.2.6 Global Quality System - Change Control, Complaint Handling, Safety Information,
       Internal/External Audit Collaboration
  4.2.7 最新のFDA Webサイトの記事を読んでおく
 4.3 Inspection Readiness 査察準備
 4.4 通訳に対する準備と事前調整
 4.5 自らの経験から感じるリスクポイント
  4.5.1 Data Integrity に関わる問題は,Criminal Investigation につながる可能性がある
  4.5.2  ICH Q10, ISO 9001やISO 13485に記載されているように,
      今では,品質(マネジメント)システムのなかで,経営者の責任が非常に重いことを認識すべき
  4.5.3 医薬品と医療機器の査察の違いはあるのか?
  4.5.4 FDA は,グローバルなしくみ・対応についての社内手順・記録を求める
5. Form483による指摘(Observation)とそのリスク
 5.1 どのような指摘事項がWL(Warning Letter)発行につながるか
  5.1.1 苦情対応がしっかりなされていない
  5.1.2 市場に対する自主回収時の苦情対応がしっかりなされていない
  5.1.3 異常・逸脱に対する処置,CAPA がきちんと対応できていない
  5.1.4 査察中に何らかのデータのManipulation が疑われる
  5.1.5 Quality Unit が機能していない
  5.1.6 固有技術が未達
  5.1.7 その他
6. Form483に対する回答書の作成ポイント
 6.1 指摘事項に対する最善の回答とは?
 6.2  査察後のクロージングでFDA 査察官と約束した内容は,その約束日時と共に拘束力を持っているか?
 6.3 Systematic Approach の習得
7. WL(Warning Letter)が発行されたしまった時の対応
おわりに