今まで、何処でも誰でも使えるTRIZツールづくりを試行してきました。その過程で、抽象化思考の苦手な人が、意外に多いようです。現場では、課題だけでなく、発明原理の活用にも抽象化思考が求められます。この最新版は、各々の感性に合せ、無意識的に拡大(抽象化)/縮小(具体化)できるよう工夫しました。つまり、原理名、言い換えた分かり易い文言、サマリー、サブ原理の図解、異分野適用例の5段階の視点でアイデア出しします。
1.高濃度酸素利用原理の概要
酸素を積極的にりようしようとする考え方です。例えば、人工呼吸の口移しで酸素を注入したり、疲労回復に酸素を吸引したりします。
図1. 38高濃度酸素利用原理のイメージ図
2. サブ原理の種類と図解事例
a.大気中の空気と酸素を増加させた空気に取り替える考え方
酸素吸入(さんそきゅうにゅう)とは、空気よりも高濃度の酸素を人為的に吸入することです。航空機の酸素マスクもその例です。
図2. 酸素マスク
b.純粋な酸素を使う考え方
高気圧酸素治療装置は、2絶対気圧まで加圧し、100%酸素を吸入する高気圧酸素治療装置です。高圧酸素環境で傷を治療し、嫌気性バクテリアを殺菌して治癒を助けます。
図3.高気圧酸素治療装置(参考文献:東京医科歯科大学HP)
c.電離放射線やイオン化酸素を使う考え方
銀イオンや銅イオンは、抗菌消臭効果を持っています。しかも、人体への毒性がなく、飲食物の殺菌処理に有効です。
図4.銀イオンの殺菌効果
d.オゾンを使う考え方
オゾン洗濯機は、今まで洗えなかったぬいぐるみ、バック、帽子、靴等を洗濯可能にしました。
図5.オゾン洗濯機
3. HW、SW及びビジネス等分野での適用例
・高温溶接に純粋酸素を利用
・OSのバージョンアップ
・高級品ブランドを立ち上げる
4. 40の発明原理の主な活用法
a.慣習的に使われている方法
問題が発生したときは、パニックになったりして精神的な余裕がないようです。矛盾問題として捉え、課題を抽象化してから矛盾表から発明原理を検索するには、かなりの訓練が必要です。推薦したいのは40の発明原理に日ごろから親しんでおくこと。あるいは、真の目的または根本原因を確認後、関連しそうな発明原理を全部スキャンして発想すること。TRIZそのものを理解していなくても、藁にもすがりたい人には、強力なヒントとなります。
b.矛盾Matrixから発明原理を抽出する方法
矛盾 Matrix表の縦横の軸には、39×39の特性(パラメータ)が配置されています。課題を抽象化して、縦軸から「改善する特性」、横軸から「悪化する特性」を選ぶと、両者の交点に「発明原理(principle)」が提示されます。 この発明原理をヒントに解決策を発想します。例えば,改善する特性で「移動物体の体積」、悪化する...
特性で「移動物体の面積」を選ぶと、矛盾 Matrix表の交点に、「01分割原理」「04非対称原理」「07入れ子原理」「17他次元移行原理」を確認できます。
参考文献
1. Darrell Mann 他:TRIZ実践と効用(1)体系的技術革新(創造開発イニシアチブ)
2. 粕谷茂:図解これで使えるTRIZ/USIT(日本能率協会)
3. 粕谷茂:SEのスピード発想術(技術評論社)
◆関連解説『TRIZとは』