Advanced 40の発明原理: 38 高濃度酸素利用原理 (酸素・オゾンを使う、高付加価値にする:Strong oxidants)

 今まで、何処でも誰でも使えるTRIZツールづくりを試行してきました。その過程で、抽象化思考の苦手な人が、意外に多いようです。現場では、課題だけでなく、発明原理の活用にも抽象化思考が求められます。この最新版は、各々の感性に合せ、無意識的に拡大(抽象化)/縮小(具体化)できるよう工夫しました。つまり、原理名、言い換えた分かり易い文言、サマリー、サブ原理の図解、異分野適用例の5段階の視点でアイデア出しします。
◆40の発明原理、キーワード説明ページへのリンク
 

1.高濃度酸素利用原理の概要

 
 酸素を積極的にりようしようとする考え方です。例えば、人工呼吸の口移しで酸素を注入したり、疲労回復に酸素を吸引したりします。
 
                
                図1. 38高濃度酸素利用原理のイメージ図
 

2. サブ原理の種類と図解事例

 

a.大気中の空気と酸素を増加させた空気に取り替える考え方

 
 酸素吸入(さんそきゅうにゅう)とは、空気よりも高濃度の酸素を人為的に吸入することです。航空機の酸素マスクもその例です。
 
                
                      図2. 酸素マスク
 

b.純粋な酸素を使う考え方

 
 高気圧酸素治療装置は、2絶対気圧まで加圧し、100%酸素を吸入する高気圧酸素治療装置です。高圧酸素環境で傷を治療し、嫌気性バクテリアを殺菌して治癒を助けます。
 
               
            図3.高気圧酸素治療装置(参考文献:東京医科歯科大学HP)
 

c.電離放射線やイオン化酸素を使う考え方

 
 銀イオンや銅イオンは、抗菌消臭効果を持っています。しかも、人体への毒性がなく、飲食物の殺菌処理に有効です。
 
                
                     図4.銀イオンの殺菌効果
 

d.オゾンを使う考え方

 
 オゾン洗濯機は、今まで洗えなかったぬいぐるみ、バック、帽子、靴等を洗濯可能にしました。
 
               
                      図5.オゾン洗濯機
 

3. HW、SW及びビジネス等分野での適用例

 
     ・高温溶接に純粋酸素を利用
     ・OSのバージョンアップ
     ・高級品ブランドを立ち上げる
 

4. 40の発明原理の主な活用法

 

a.慣習的に使われている方法

 
 問題が発生したときは、パニックになったりして精神的な余裕がないようです。矛盾問題として捉え、課題を抽象化してから矛盾表から発明原理を検索するには、かなりの訓練が必要です。推薦したいのは40の発明原理に日ごろから親しんでおくこと。あるいは、真の目的または根本原因を確認後、関連しそうな発明原理を全部スキャンして発想すること。TRIZそのものを理解していなくても、藁にもすがりたい人には、強力なヒントとなります。
 

b.矛盾Matrixから発明原理を抽出する方法

 
 矛盾 Matrix表の縦横の軸には、39×39の特性(パラメータ)が配置されています。課題を抽象化して、縦軸から「改善する特性」、横軸から「悪化する特性」を選ぶと、両者の交点に「発明原理(principle)」が提示されます。 この発明原理をヒントに解決策を発想します。例えば,改善する特性で「移動物体の体積」、悪化する...
特性で「移動物体の面積」を選ぶと、矛盾 Matrix表の交点に、「01分割原理」「04非対称原理」「07入れ子原理」「17他次元移行原理」を確認できます。
 
参考文献
    1. Darrell Mann 他:TRIZ実践と効用(1)体系的技術革新(創造開発イニシアチブ)
    2. 粕谷茂:図解これで使えるTRIZ/USIT(日本能率協会)
    3. 粕谷茂:SEのスピード発想術(技術評論社)
 
 

◆関連解説『TRIZとは』

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