◆中小製造業の利益の出るトヨタ式生産管理のポイント1
◆関連解説『トヨタ生産方式とは』
生産管理システム(仕組み)の構築は、ものづくり企業の浮沈を決定する最も重要な仕事です。従来のシステムや方法をそのまま踏襲するのではなく企業のビジネス戦略や工場の業務プロセスの検討結果をベースとして、システム(仕組み)を再デザインが必要です。例えば、今、生産管理方式で最も注目を集めているのは、トヨタ生産方式(プル型生産方式)です。
プル型生産は言わずと知れたトヨタ生産方式を実現する為の手法であり、後工程からの引き取りにあわせて、前工程が生産を開始する生産方式です。現在はこのプル型生産がモノ造りの理想のように言われていますが、多品種少量、受注生産型ではプル型は効果が出ません。
1.トヨタ式生産が多品種少量生産に向かないわけ
実は、プル型生産が成立する為には、色々な前提条件があるのです。代表的なものを上げると
● 生産の平準化(量の平準化、種類の平準化)が出来ていること
● 定量在庫を決めて管理することが出来ること
● ある程度の期間安定的に商品を製造出来ること
などが上げられます。しかし現実的には生産の平準化が出来る企業はあまり多くなく、月次や週次の生産変動に悩まされている企業がほとんどなのです。なぜ自動車産業などでこのプル型生産が成り立っているのかについては、詳しく解説しませんが、前提条件からプル型生産が成り立たない企業が取り組んでも、うまく行くはずがありません。よく下請け企業で、在庫を抱え、カンバンで引き取り要求が来たら、その在庫の中から出荷し、親企業では、ジャストインタイムで組立を行っているというような笑えない話を耳にします。プル型生産の大きな問題点は、変動が大きい製品では、リードタイムが返って長期化すること、在庫が一定量以下に減らないということを上記の例は証明しているのです...