【ヒューマンエラー対策の考察 連載目次】
工場のヒューマンエラー(ポカミス)対策がうまくいかない理由は、一体なんでしょうか、同じような不良が再発する、一つ一つ原因を潰しても次から次と類似の不良が発生するなど、なぜこのような状況が改善されないのでしょうか。だからと言って、ポカミスの原因を大脳生理学の分野に持ち込むのは大きな間違いです。誤認識や、判断ミスがなぜ起こるのか、これをいくら考えても回答は得られません。それよりも、人間はミスを犯すものという前提で、対策を講じます。
ミスを犯さないためには「ポカヨケ」「作業手順の教育」「検査工程を追加する」などの対策は、色々な解説書でも書かれている内容です。でも待ってください。そんな事は判っていても、「人の入れ替えが激しい」「人が不足している」「多品種少量生産で対策が追いつかない」などが現実の姿です。
『現場の実態を理解した上で、どうするのか。ここが重要なポイントです。』
◆ヒューマンエラー対策
そこで、ヒューマンエラー対策がうまくいかない理由を3つに分けます。
(1) 三現主義の放棄
現場は現場を熟知したプロの知見によって解明されるのであって素人が現場に行っても得られる情報はごくわずかでしかありません。「これはおかしい」と直感する感性、洞察力なくして、原因究明はできません。関連会社などへ管理の丸投げは、現場の責任放棄です。
(2) 問題の放置
日常業務のムリ・ムラ・ムダを現場ですぐに解決していくことすぐに解決できない難しい問題も、解決ルートに乗せて処理します。すべての問題は放置されることなく、管理状態に置くことです。解決のフォロー、支援は管理層の職務です。
(3) 正しい対策方法を知らない
解析手法は無理解のまま間違った内容で運用されているため、問題は解決しません。一般に実施されている「なぜなぜ...
分析」はすぐやめるべきです。正しい手法を選択し、正しく使う、これが鉄則です。
これらは、品質管理の根幹を成している事項であり、正しい品質管理活動が実施されなければ、物事は解決しないということです。
次回、その2は、ヒューマンエラー(ポカミス)の再発防止対策手順を解説します。