【製品設計:ミス防止対策 連載目次】
今回は、設計品質を検証する「デザインレビュー」についてです。デザインレビュー(DR)は一般に「有識者からの指摘事項中心」のレビューで、指摘事項を再確認し、抜け漏れをフォローする形で実施されています。設計の検討不足、抜け漏れを防ぎ、過去の不具合を二度と発生させないことは設計品質マネジメントの基本です。そのためのデザインレビューは効率的かつ客観的に行われる必要があります。
1. デザインレビューの問題点
多くの企業が上記のプロセスを効果的に実施できておらず、自信を持って、DRを実施したから問題は出ないと言いきれない部分があります。設計者は、設計チェックリスト(設計ノウハウで構成されたもので、デザインレビューで一般に用いるリスト)を準備してDRに臨みます。ただこのチェックリストに大きな問題があるのです。
チェックリストは、多くの企業で作成されていますが、ことあるごとに追加されたり、陳腐化して現状に合わない項目が残っていて、蓄積量が多くなりすぎ、逆にレビューモレが発生してしまう、という現象も挙げられます。設計ノウハウや再発防止策を蓄積されてはいるのですが、それらが体系的に整理・分類されていないことや、キーワードなどが設定されておらず、検索や選別がしにくいことがデザインレューでのチェックモレが発生する要因となっています。また、有識者から、また製造部門やサービス部門などの見方からの指摘事項を得ると言っても、有識者がなかなか集まらず、時間も限られていることからレビュー内容も十分とは言えず、形だけのデザインレビューとなっています。
2. 効果の上がるデザインレビューとは
効果の上がるデザインレビューを実施するにはどうすればいいでしょうか、しかし、これを実施すれば万全という特効薬は残念ながらありません。レビューのメリットの一つは、欠陥や問題の早期発見による修正コストの低減ですが、欠陥や問題の検出は、レビュー会議に先立って設計者の責任で実施すべきものです。従って、設計者自身が、何をレビューしてもらいたいのかを明確にしておく必要があります。そして、自ら実施した設計プロセスの説明、それを採用した根拠・比較検討データーなども示せるように準備を整えることが重要です。設計作業は、一つ一つ根拠を明確に示せるかどうか、それを選択した判断基準が重要となります。
設計の欠陥や問題の検出作業の密度を高めること、レビュー会議でも短時間で、問題や欠陥の有無を確認することを意識します。つまり、設計者の設計に対する考え方が正しいかどうかを判断してもらう場と考えるべきなのです。最近の傾向として、DRで3次元データを使うことが有効であり、分かりやすくより突っ込んだ議論ができることが期待できます。視覚的に理解しやすいし可動部の動きの表現も可能。説明のための...
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DMU(デジタルモックアップ)機能で、部品のぶつかりや、組立順序の確認など組立性を検証が可能となってきました。また、流動解析、応力解析など各種のCAEツールの普及も相まって、2D図面だけでは洗い出すことができない、不具合を事前に洗い出し、対策できるようになり、これらの解析結果を、デザインレビューで抜け漏れが無いかどうかを確認することで、より効果が得られるようになります。しかし、最近の傾向として組込みソフトを含む電子制御機能の比重は高まっており、この部分の潜在バグをいかに事前に検出するかが課題となっています。