スクリーンメッシュ スクリーン印刷とは(その5)

 

【関連解説:印刷技術】

 前回のその4に続いて解説します。
◆スクリーン印刷とは 【連載記事紹介】

1. スクリーンメッシュ

 
 スクリーンメッシュには、大きく分けて合成繊維メッシュと金属繊維メッシュがあります。高品質スクリーン印刷の目的では、合成繊維は、ポリエステルメッシュ、金属繊維は、ステンレスメッシュが使用されます。
 
 
 スクリーンメッシュは、線径、メッシュ数、メッシュ厚み、そしてメッシュ強度を把握して選択してください。メッシュピッチ、メッシュ開口(μm)、開口率は、線径とメッシュ数の値から算出できます。
 
 ポリエステルメッシュの線径のカタログ値は、織網前の線径であり、織網後は、写真のように線材が扁平し、線幅が約20%程度大きくなります。このため、メッシュ開口率も約20%程度小さくなります。ステンレスメッシュは、織網しても線径が変わらない為、カタログ値と同じです。なお、ステンレス以外の材質のメッシュでも、線径、メッシュ数、メッシュ厚み、メッシュ強度で選択することは同じです。
 
 スクリーンメッシュの強度は、線材の単位断面積当たりの強度に1本当たりの断面積と単位幅あたりのメッシュ数を乗ずることで推測できます。スクリーン印刷の最も重要なメカニズムであり、適正化を最初に考えるべき「版離れ」を実現するために、十分な強度のスクリーンメッシュを心がけてください。
 
 私は、ステンレスメッシュは、線径28μmの325メッシュ(BS325)を基準として、他のステンレスメッシュの強度を推測するようにしています。この値を「強度指数」と呼び、スクリーン版のテンションやクリアランス量の適正化の標準としています。これらの標準は、私が過去に42インチPDPの印刷を行った経験から設定したものです。ポリエステルメッシュは、線径40μmの250メッシュを標準としています。
 
 

2. スキージ

 
 スキージは、他の印刷にはなく、スクリーン印刷だけにある特徴的なものです。スキージの存在で、スクリーン印刷は、他の印刷に比べ、低い印圧での印刷ができるため、厚い膜厚での均一な積層印刷が可能になります。
 
 スキージの英語のスペルは、Squeeze ではありません。Squeegeeです。前者は、絞り出すという意味で、後者は、窓ガラスを拭くゴムのヘラの意味です。スキージは、インキ・ペーストを絞り出す、押し出すものではなく、スクリーン版上の余分なインキ・ペースト掻きとるものです。掻きとることで、基材に接触したスクリーンメッシュ開口部のインキ・ペーストがメッシュと分離し、基材上に均一に転写されるのです。
 
 スキージには、次の三つの働きがあります。
 
  ① スクリーン版を介して基材に均一な接触圧力を加える。
  ② スクリーン版の余分なインキ・ペーストを掻きとる
  ③ 版開口部のインキ・ペーストに対し、下向きの吐出圧力を加える。
 
 スキージは、適度な弾力性があるゴム製でなければいけません。メタルマスクのような硬質のスキージでは、スクリーンメッシュ開口部のインキ・ペーストを押し出すことはできません。また、スキージは、インキ・ペーストに含有されている溶剤に対して耐性がなければいけませ...
ん。そして、スキージエッジは、*機械研磨で直線に仕上げされなくてはいけせん。
 
 スキージは、以上の要件を満たし、上の三つの働きができるような適切な形状でなければいけません。以上のことを考慮すれば、おのずから適正なスキージ形状、品質が決定します。
 
 *スキージは、機械研磨でエッジを直線にしたあと600~1000番のサンドペーパーで0.2mm程度の「面取り仕上げ」をして使用することをお薦めします。
 
 次回は、印刷条件と粘度の測定について解説します。
 
  

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