1. “問題”と“課題”の意味の違いとは
仕事で、“問題”や“課題”という単語(言葉)を使うことがあると思います。テレビやラジオのニュースでもこれらの単語(言葉)を使うことがあります。例えば、“◯◯の問題がある(◯◯の問題があります)”や“◯◯が課題である(◯◯が課題となっています)”などと使います。
ところで、“問題”と“課題”の意味の違いは何でしょうか。辞典でこれらの単語の意味を調べてみました。
【問題】
① 問いかけて答えさせる題。解答を要する問い。
② 研究・議論して解決すべき事柄。
【課題】
題、また問題を課すること。また、課せられた題、問題。
『出典:広辞苑(第5版)』
わかったような、わからないような・・・・・、問題と課題との関係を考えると、問題があり課題があるように思います。すなわち、何か困った状況にあることが問題です。その解決を課せられることが課題という意味です。
2. 技術士第二次試験での“問題”と“課題”について
技術士第二次試験では、筆記試験の合格者に対して技術的体験論文を提出させる制度が過去にありました。この制度は、面接試験で、技術的体験論文の内容に関する質問をするために設けられました。
技術的体験論文とは、簡単に言うと、「これまでに行った業務の中から2つを選びその概要をまず書く。次に2つの中から1つを選び以下の事項について書く」というものです。3,000字以内ですべてを書きます。
(1) あなたの立場と役割
(2) 業務を進める上での課題及び問題点
(3) あなたが行なった技術的提案
(4) 技術的成果
(5) 現時点での技術的評価及び今後の展望
ここで注目すべきは「(2)業務を進める上での課題及び問題点」です。この設問では、課題と問題を書かせます。前述した「問題があり課題がある」という考え方を基本にするとこの設問は「課題と問題」になっています。すなわち、課題が先になっています。これはどのように理解すればよいのでしょうか?
例えば、次のような流れを前提としているのかもしれません。
*地球温暖化が進行しているため、2100年には地球の平均気温が最悪4.8度上昇すると予測されている。その結果、世界各地で異常気象などが発生する可能性が高い(問題A)。
*地球温暖化対策のため、2020年以降の新たな温室効果ガス排出削減目標として、日本は2030年までに、温室効果ガスを2013年度比で26%削減しなければならない(課題)。
*現在、我が国では、温室効果ガスの削減対策が浸透しているため、我が国にとってこの削減目標達成のハードルは高い(問題B)。
つまり、試験では、上の例で考えるならば、「この“課題”と“問題B”を書く」という意味でしょうか? もし、このような流れを考えたうえで課題と問題...
を書かせるならば、これは、受験生にとってまさに難しい“課題”です。
課題と問題との違いを認識して論文を書かなければならないのですから・・・。
幸い、平成25年度から試験制度が変わり、現在は、この技術的体験論文を提出させる試験制度は廃止されました。
しかし、平成31年度から技術士第二次試験の内容が変わり、以下のような問題が出題されます。
◆「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力
◆「選択科目」に関する問題解決能力及び課題遂行能力
これは、「問題を見つけ、それに対する課題を抽出し、その課題を解決する能力を問うこと」という目的で出題されるのでしょうか?