生産管理システム導入後のトラブルとは

投稿日

 
 生産マネジメント
 
 今回は、製造業の情報システム部門を例として生産管理システムの導入後のトラブルについて解説します。
 
 「トップダウンで生産管理システムを導入して、現場でなかなか使用されず、効果が出ない」とはよく聞く事例です。多くの会社では、生産管理システムを導入したが、有効に活用できないということを生産および購買部門の方からお聞きすることが多いようです。
 
 この問題は、生産管理への理解不足が原因であると思います。
 
 私も生産管理の実務経験があり、生産管理ソフトウエアの開発に携わったことから「コンピュータは魔法の杖ではない。」と言ってきました。
 
 そのため、まずは、生産管理の教育が必要になると考えます。その一方、導入してしまったからには、その活用を考えていかなければなりません。一般的には、次のようなことを進めるべきではないかと考えます。
 

(1) 在庫量情報の精度を向上させること。

 なぜ在庫の精度が悪いのか、その原因を追究し、改善することです。在庫量の変動について考察して下さい。また、生産管理システムを導入する前に行っていた業務の中に、システム導入後止めてしまった業務がありませんか。それらの中にヒントがあるかもしれません。
 

(2) リードタイムの設定方法とその検証をすること。

 生産リードタイムと調達リードタイムの関係について考察して下さい。調達リードタイムを安定供給を目的に長期に見込んでいませんでしょうか。そして、ここに生産計画のためのバッファーとしての在庫量が加えられているはずです。この関係が、生産現場とシステム部門で同じく理解され、妥当であると判断されていますでしょうか。
 

(3) スケジューリングに対するタイムフェンスを設定しているか。

 生産現場で...
 
 生産マネジメント
 
 今回は、製造業の情報システム部門を例として生産管理システムの導入後のトラブルについて解説します。
 
 「トップダウンで生産管理システムを導入して、現場でなかなか使用されず、効果が出ない」とはよく聞く事例です。多くの会社では、生産管理システムを導入したが、有効に活用できないということを生産および購買部門の方からお聞きすることが多いようです。
 
 この問題は、生産管理への理解不足が原因であると思います。
 
 私も生産管理の実務経験があり、生産管理ソフトウエアの開発に携わったことから「コンピュータは魔法の杖ではない。」と言ってきました。
 
 そのため、まずは、生産管理の教育が必要になると考えます。その一方、導入してしまったからには、その活用を考えていかなければなりません。一般的には、次のようなことを進めるべきではないかと考えます。
 

(1) 在庫量情報の精度を向上させること。

 なぜ在庫の精度が悪いのか、その原因を追究し、改善することです。在庫量の変動について考察して下さい。また、生産管理システムを導入する前に行っていた業務の中に、システム導入後止めてしまった業務がありませんか。それらの中にヒントがあるかもしれません。
 

(2) リードタイムの設定方法とその検証をすること。

 生産リードタイムと調達リードタイムの関係について考察して下さい。調達リードタイムを安定供給を目的に長期に見込んでいませんでしょうか。そして、ここに生産計画のためのバッファーとしての在庫量が加えられているはずです。この関係が、生産現場とシステム部門で同じく理解され、妥当であると判断されていますでしょうか。
 

(3) スケジューリングに対するタイムフェンスを設定しているか。

 生産現場で計画の変更が多いということは、どのような原因によるものかを分析しておくことです。生産計画を立てる必要のない期間まで計画を立てて、固定化をさせてしまっていることはないでしょうか。また、計画の変更は、いつまで(どのくらいの期間)認めるのかも重要です。
 
・ ・ ・
 
 導入した生産管理システムを有効に活用するには、関係部門への教育とシステムの価値向上を常時行うことが肝要です。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

間舘 正義

製品を切り口に最適コスト追求のためのコスト・ソリューションを提供します。

製品を切り口に最適コスト追求のためのコスト・ソリューションを提供します。


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
自動化設備の生産性向上策

 自動化設備の生産性向上は、やみくもに対策をしてもなかなか効果は上がらないものです。異品種の部品組み立てに複数台のロボットが稼働している設備を例にして、自...

 自動化設備の生産性向上は、やみくもに対策をしてもなかなか効果は上がらないものです。異品種の部品組み立てに複数台のロボットが稼働している設備を例にして、自...


見える化のリスキリング【厳選記事紹介】

   見える化が重要と言っても、肝心なことは目で見えないもので、全てが数値化できるものでもありません。   改善を...

   見える化が重要と言っても、肝心なことは目で見えないもので、全てが数値化できるものでもありません。   改善を...


デュアルシステムとは(1) 【快年童子の豆鉄砲】(その90)

  1.中小企業が抱える課題、採用が難しい 今回から、表2-1 にある「喫緊の課題」の8番目「採用が難しい」の発生要因「学生に会社を理解...

  1.中小企業が抱える課題、採用が難しい 今回から、表2-1 にある「喫緊の課題」の8番目「採用が難しい」の発生要因「学生に会社を理解...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
3D加工における等高線加工と走査線加工、エンドミル条件を使い分けてますか

   今回は、CAD/CAMを使った3D加工において、主に仕上げ加工で使われる等高線加工と走査線加工について、同じ工具であっても、それぞれの主...

   今回は、CAD/CAMを使った3D加工において、主に仕上げ加工で使われる等高線加工と走査線加工について、同じ工具であっても、それぞれの主...


金型メーカーCAM工程の業務診断事例(その2)

   前回のその1に続いて解説します。 1. 3D 加工の等高線と走査線加工で、加工条件を変えているか  ここでいう3D加工とは、CAMで...

   前回のその1に続いて解説します。 1. 3D 加工の等高線と走査線加工で、加工条件を変えているか  ここでいう3D加工とは、CAMで...


管理の見える化 伸びる金型メーカーの秘訣 (その10)

 単工程としての機械加工業の中でも、比較的大きなロットサイズの旋盤加工を事業の中心とするメーカーが今回の事例企業です。こういった旋盤加工事業は、一見同じよ...

 単工程としての機械加工業の中でも、比較的大きなロットサイズの旋盤加工を事業の中心とするメーカーが今回の事例企業です。こういった旋盤加工事業は、一見同じよ...