7、これからのモノづくり経営
◆ 日本が目指すモノづくり
日本の製品が世界を席巻していた時には「Made in Japan」はとにかく性能が良く、壊れないことを示す品質表示であったといえます。
40年も前の話になりますが、私は家族でアメリカに2年間住むことになり、基本的な家財道具を現地でそろえる必要がありました。まず近所の巨大なスーパーマーケットでアメリカブランドのテレビを買ったのですが、一目見て「映りがくっきりはっきりしていないなぁ…」という印象を持つようなものであり、その上ひと月しないうちに壊れてしまいました。
仕方なく中古の日本製テレビに買い替えたところ「映りは良いし壊れない」という大きな違いがありました。それ以外にも、現地で買う子供服は洗濯機で洗うとすぐにほつれが出てくるけれど、日本から持ってきた子供服は全く問題が起きないなど「やはり日本のモノはいいなあ…」と実感したものでした。そして驚いたことに、現地のアメリカ人の友人なども同様に「日本製のモノは品質が良い」と口をそろえて言っていたのを覚えています。
すなわち、その時は壊れないに代表される「機能品質」で評価されて売れていたことが分かります。ところが、今では機能品質というレベルなら、世界中のどこでも達成できるようになり、それが当たり前となっています。供給過剰で価格下落が止まらないデジタル製品はその最たる例でしょう。製品の機能性で戦っているうちは、世界を相手にした価格競争を強いられることになるのです。
中小メーカーが目指すべきことは、スペックや機能といったものを越えて「魅力があるから買う」と言われる次のステージのモノづくりに転換していくことでしょう。小さくてもブランドを育てれば魅力で売れるようになるからです。
自分たちが作っている製品をお客様がど...