現場での問題の見つけ方 儲かるメーカー改善の急所101項(その71)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ 現場での問題の見つけ方

 大事故が起きてしまった後の現場検証で「明らかに予兆があったのだが、誰もそれを正しく認識しなかったので、その結果、今回の大事故につながった」といった分析結果が出ることは多いようです。有名なハインリッヒの法則[1]はまさにこのことを言っています。

 

 工場内のモノについても同じことがいえるでしょう。全社的な問題は現場に必ず現れています。ただし、担当者はそれが問題だと気付いていないことが多いのです。あるいはみんなが異常な状態に慣れてしまって、何の疑問も持たなくなっているのかもしれません。

 例えば、ある購買担当者は部品を切らさないようにと、早め多めに買うことに罪悪感を感じていません。切れた場合、責任をとれないのだから多めに買っておくことは仕方がないという考えです。別の生産管理者も同様、多めに作っておこうとする傾向があります。もし途中で不良が出たら出荷に間に合わないので、多めに作ることは当然という考え方を持っているようです。

 彼らに悪気は全くありません。しかし結果として在庫が増えてしまい、保管場所がなくなり、管理や運搬が増え、キャッシュが減るのですから経営に悪影響が出てしまいます。

 

 すぐ使わないモノが現場にあれば、買い方に問題があります。すぐに動かない中間品や完成品があれば、作り方に問題があります。それらが小さいうちに早く、現場・現物で発見して改善をしないと、取り返しのつかないことになってしまいます。

 もっとチョビチョビギリギリに買える方法はないでしょうか? もっと生産ロットを小さくして在庫を減らす方法はないでしょうか? 生産部門だけではなく調達部門、技術部門、管理部門のみんなが現場で現物を前に議論をしましょう。

 

[1]ハインリッヒの法則:ハインリッヒが唱(とな)えた、事故、災害の発生率のことです。1件の重大な事故、災害が発生したとするとその背後には29件の微小な事故、災害がある。さらにその背後には300件のヒヤリ・ハットがあるということを指摘しています。

 

今回の言葉   

************************...

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ 現場での問題の見つけ方

 大事故が起きてしまった後の現場検証で「明らかに予兆があったのだが、誰もそれを正しく認識しなかったので、その結果、今回の大事故につながった」といった分析結果が出ることは多いようです。有名なハインリッヒの法則[1]はまさにこのことを言っています。

 

 工場内のモノについても同じことがいえるでしょう。全社的な問題は現場に必ず現れています。ただし、担当者はそれが問題だと気付いていないことが多いのです。あるいはみんなが異常な状態に慣れてしまって、何の疑問も持たなくなっているのかもしれません。

 例えば、ある購買担当者は部品を切らさないようにと、早め多めに買うことに罪悪感を感じていません。切れた場合、責任をとれないのだから多めに買っておくことは仕方がないという考えです。別の生産管理者も同様、多めに作っておこうとする傾向があります。もし途中で不良が出たら出荷に間に合わないので、多めに作ることは当然という考え方を持っているようです。

 彼らに悪気は全くありません。しかし結果として在庫が増えてしまい、保管場所がなくなり、管理や運搬が増え、キャッシュが減るのですから経営に悪影響が出てしまいます。

 

 すぐ使わないモノが現場にあれば、買い方に問題があります。すぐに動かない中間品や完成品があれば、作り方に問題があります。それらが小さいうちに早く、現場・現物で発見して改善をしないと、取り返しのつかないことになってしまいます。

 もっとチョビチョビギリギリに買える方法はないでしょうか? もっと生産ロットを小さくして在庫を減らす方法はないでしょうか? 生産部門だけではなく調達部門、技術部門、管理部門のみんなが現場で現物を前に議論をしましょう。

 

[1]ハインリッヒの法則:ハインリッヒが唱(とな)えた、事故、災害の発生率のことです。1件の重大な事故、災害が発生したとするとその背後には29件の微小な事故、災害がある。さらにその背後には300件のヒヤリ・ハットがあるということを指摘しています。

 

今回の言葉   

************************************************
 すぐに使わないモノがあれば買い方に、すぐに動かない中間品があれば、作り方に問題があると考えよ。
************************************************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

 日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
在庫管理をAIで効率化!効率化の成功事例と導入ポイント

【目次】 近年、人工知能(AI)の進化は目覚ましく、さまざまな業界での活用が進んでいます。その中でも、在庫管理は特にAIの恩恵を受け...

【目次】 近年、人工知能(AI)の進化は目覚ましく、さまざまな業界での活用が進んでいます。その中でも、在庫管理は特にAIの恩恵を受け...


中国工場の実状を知る、部品・材料について 中国工場の品質改善(その26)

【第2章 中国工場の実状を知る】 【日本工場と中国工場の違い】  前回のその25に続いて解説します。  ここでは、3M(人、設備、材料)それぞれ...

【第2章 中国工場の実状を知る】 【日本工場と中国工場の違い】  前回のその25に続いて解説します。  ここでは、3M(人、設備、材料)それぞれ...


商売繁盛に向けた「ものづくり改善」(その2)

    【商売繁盛に向けた「ものづくり改善」連載目次】 1. 視座の高さを変えて「流れ」を見る 2. 製造―営業 連携 ...

    【商売繁盛に向けた「ものづくり改善」連載目次】 1. 視座の高さを変えて「流れ」を見る 2. 製造―営業 連携 ...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
業者の規模による評価の違いとは 中国企業の壁(その51)

        日本品質を目指している中国企業A社では、前年の製品品質データをまとめたところ、大きな損失を出した3件の顧客クレームの主要因が外部から...

        日本品質を目指している中国企業A社では、前年の製品品質データをまとめたところ、大きな損失を出した3件の顧客クレームの主要因が外部から...


作業者任せの作業速度 物流業としての原価低減の取り組み(その3)

  ◆ 倉庫内労務費コストを削減する  前回のドライバーの人件費改善では、輸送行為の内のロス時間削減として、現場での「待ち時間」を考えま...

  ◆ 倉庫内労務費コストを削減する  前回のドライバーの人件費改善では、輸送行為の内のロス時間削減として、現場での「待ち時間」を考えま...


熱硬化性樹脂の成形金型 伸びる金型メーカーの秘訣 (その14)

 今回取り上げる金型メーカーは、株式会社Pです。同社の事業はさまざまな面で、珍しい点が多いのです。まず同社が製造する金型は、樹脂の成形金型ですが、熱可塑性...

 今回取り上げる金型メーカーは、株式会社Pです。同社の事業はさまざまな面で、珍しい点が多いのです。まず同社が製造する金型は、樹脂の成形金型ですが、熱可塑性...