作業者任せの作業速度 物流業としての原価低減の取り組み(その3)

更新日

投稿日

SCM

 

◆ 倉庫内労務費コストを削減する

 前回のドライバーの人件費改善では、輸送行為の内のロス時間削減として、現場での「待ち時間」を考えました。今回は、倉庫における労務費です。物流業にとって、ドライバーの人件費改善と並んでロスを削減しながら下げていくべきコストは労務費です。

 比較的簡単な作業につきましては、正社員からパート労働者に置き換えることで賃金コストを削減しているものと思われます。この方法も一つのやり方だとは思いますが、同一労働同一賃金であることを考えると、今までの正社員の賃金が高すぎたと考えられないこともありません。労働契約上の単価差ではなく、むしろ作業の中に含まれるロスを削減することで、労務費を下げることを考えるべきではないでしょうか。

 筆者からみると、このロスは各社に共通していえる「大きな削減余地」であると思われるのです。しかも意外と物流業者はその点に気づいていません。それだけにここを責めることによって、物流業における原価を低減させ、他社に対するアドバンテージを得ることが可能になると思われます。

 ではその「大きな削減余地」はどこに隠れているのでしょうか。また各社の管理者はなぜそれに気づいていないのでしょうか。その点についてお教えしましょう。それは「作業の速度」と「作業のペース」です。物流業の場合、大抵の会社がこの二つの要素を「作業者に任せている」のです。

 この重要な二つの要素について、製造業では当然のように管理監督者が定め、それを作業者に「遵守させて」います。もしそれが守られていなければ守るように指導します。不思議とこういった習慣のない物流業では、ほとんどの会社がこのような行為を実施しておらず、またそれに気づくこともありません。

 もしこれに気...

SCM

 

◆ 倉庫内労務費コストを削減する

 前回のドライバーの人件費改善では、輸送行為の内のロス時間削減として、現場での「待ち時間」を考えました。今回は、倉庫における労務費です。物流業にとって、ドライバーの人件費改善と並んでロスを削減しながら下げていくべきコストは労務費です。

 比較的簡単な作業につきましては、正社員からパート労働者に置き換えることで賃金コストを削減しているものと思われます。この方法も一つのやり方だとは思いますが、同一労働同一賃金であることを考えると、今までの正社員の賃金が高すぎたと考えられないこともありません。労働契約上の単価差ではなく、むしろ作業の中に含まれるロスを削減することで、労務費を下げることを考えるべきではないでしょうか。

 筆者からみると、このロスは各社に共通していえる「大きな削減余地」であると思われるのです。しかも意外と物流業者はその点に気づいていません。それだけにここを責めることによって、物流業における原価を低減させ、他社に対するアドバンテージを得ることが可能になると思われます。

 ではその「大きな削減余地」はどこに隠れているのでしょうか。また各社の管理者はなぜそれに気づいていないのでしょうか。その点についてお教えしましょう。それは「作業の速度」と「作業のペース」です。物流業の場合、大抵の会社がこの二つの要素を「作業者に任せている」のです。

 この重要な二つの要素について、製造業では当然のように管理監督者が定め、それを作業者に「遵守させて」います。もしそれが守られていなければ守るように指導します。不思議とこういった習慣のない物流業では、ほとんどの会社がこのような行為を実施しておらず、またそれに気づくこともありません。

 もしこれに気づき、製造会社並みの活動をすれば、倉庫内労務費コストを大幅に削減することができるのです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 世界でトップクラスの労働生産性を誇る製造業は、それなりの工夫と努力をしてきているわけです。その良い点を学ばない手はありません。ここでいう「大幅に」とはどれくらいをイメージしますでしょうか。これにつきましては別の記事で連載します。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
中国企業改善指導のポイント 中国工場の品質改善(その79)

 前回のその78に続いて解説します。 【第5章】中国企業改善指導のポイント 3、二つの視点で考える ~短期視点~  (1)はその78に記載してい...

 前回のその78に続いて解説します。 【第5章】中国企業改善指導のポイント 3、二つの視点で考える ~短期視点~  (1)はその78に記載してい...


QCDの意義と限界 儲かるメーカー改善の急所101項(その86)

  7、これからのモノづくり経営 ◆ 顧客 >QCD : 要求に沿った開発を  時代の変化がとても速いので、私にとってはほんの少し前の...

  7、これからのモノづくり経営 ◆ 顧客 >QCD : 要求に沿った開発を  時代の変化がとても速いので、私にとってはほんの少し前の...


中小製造業の課題と解決への道筋 【連載記事紹介】

  中小製造業の課題と解決への道筋 連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆中小製造業の課題と解決への道筋 製造業の置...

  中小製造業の課題と解決への道筋 連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆中小製造業の課題と解決への道筋 製造業の置...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
業者の規模による評価の違いとは 中国企業の壁(その51)

        日本品質を目指している中国企業A社では、前年の製品品質データをまとめたところ、大きな損失を出した3件の顧客クレームの主要因が外部から...

        日本品質を目指している中国企業A社では、前年の製品品質データをまとめたところ、大きな損失を出した3件の顧客クレームの主要因が外部から...


ゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その13)

     前回のゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その12)に続けて解説します。   ◆...

     前回のゼロ・ベース経営のすすめ、7ゼロ生産実現マニュアル(その12)に続けて解説します。   ◆...


人的資源マネジメント:インダストリー4.0 を追いかけるその前に(その3)

 前回のその2に続いて解説します。   5. 標準原価の運用    これまで設計サイド中心の活用例を紹介しましたが、製造サイド...

 前回のその2に続いて解説します。   5. 標準原価の運用    これまで設計サイド中心の活用例を紹介しましたが、製造サイド...