品質管理 中国工場管理の基本事例(その24)不良発生の可能性を見極める

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品質管理 中国工場管理の基本事例(その24)不良発生の可能性を見極める

【目次】

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    1. 不良発生の可能性を見極める

    鉄製の支柱(長さ2000~4000mm)を生産している中国企業があり、その工場では支柱の加工のひとつとしてプレスで穴あけをしていました。この穴はお客さんが他の部品と組み立てるときに使うためのもので、穴位置の寸法精度が重要でした。

     

    穴あけ加工をする時の支柱の位置決め方法は支柱を下型にセットします。当然クリアランスがあるので位置は正確には固定されていません。この工場では、金型の外側にガイドピンを立て、そこに支柱を押し当てることで所定の位置になるようにしていました。

     

    支柱がガイドピンにきちんと当たっていれば問題ないのですが、当たらなければ穴位置がずれることになります。しかし、ガイドピンは1本だけなので、プレスにセットしたときに支柱が自動的にピンに当たる構造にはなっていません。

     

    案の定、穴位置がずれてお客さんから組立が出来ないというクレームが発生していました。

     

    こうした作業方法や位置決め方法に対して、品質管理リーダーや生産の班長は「作業者が手で押さえることになっている」「手で押さえる決まりになっている」だから問題ないと言うのです。

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    品質管理 中国工場管理の基本事例(その24)不良発生の可能性を見極める

    【目次】

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      1. 不良発生の可能性を見極める

      鉄製の支柱(長さ2000~4000mm)を生産している中国企業があり、その工場では支柱の加工のひとつとしてプレスで穴あけをしていました。この穴はお客さんが他の部品と組み立てるときに使うためのもので、穴位置の寸法精度が重要でした。

       

      穴あけ加工をする時の支柱の位置決め方法は支柱を下型にセットします。当然クリアランスがあるので位置は正確には固定されていません。この工場では、金型の外側にガイドピンを立て、そこに支柱を押し当てることで所定の位置になるようにしていました。

       

      支柱がガイドピンにきちんと当たっていれば問題ないのですが、当たらなければ穴位置がずれることになります。しかし、ガイドピンは1本だけなので、プレスにセットしたときに支柱が自動的にピンに当たる構造にはなっていません。

       

      案の定、穴位置がずれてお客さんから組立が出来ないというクレームが発生していました。

       

      こうした作業方法や位置決め方法に対して、品質管理リーダーや生産の班長は「作業者が手で押さえることになっている」「手で押さえる決まりになっている」だから問題ないと言うのです。

       

      作業を見た範囲では作業者は手で支柱を押えてガイドピンに当てていましたが、いつ何らかの拍子で押えたつもりでも押えが不十分だったりして、押えていないものが発生する可能性があります。(現に不良が発生している)

       

      この作業は品質を作業者に委ねていることになります。作業者がちゃんとやっていれば品質は確保できますが、そうでなければ品質は確保されません。このような作業方法は、品質的に非常に危険であると認識しなければなりません。

       

      しかしながら、中国人の品質管理リーダーや生産班長は、この作業での不良発生の可能性に気が付かず、品質保証が不十分であるという認識は持っていなかったのです。穴位置ずれクレームが発生したことへの対策は、作業者に手で押さえるというルールを徹底させる、品管部の抜取り検査数量を増やすというものでした。

       

      このような作業方法は、抜取検査では品質が保証できないことは読者のみなさんお気づきだと思います。なぜなら、この不良はいつ発生するかわからないからです。

       

      2. 基準は図面ではなく生産現場作業者の作り易さ

      環境関連装置を作っている工場で、図面指示と違うものを作ることが常態化していた事例を紹介します。この工場は同じ製品をたくさん生産するのに対して、環境関連装置は一品ものであり同じものをいくつも生産することはありません。環境装置の生産現場では、図面よりも自分たちの作り易さを優先するので、図面指示とは違う加工をすることがまかり通っていました。

       

      部品と部品をつなげるために穴をあけるものがあったときも、現場としてやり易い位置に穴をあけ、結果として図面指示とは違っていました。一品ものですから図面と違う位置に穴をあけて部品をつなげても、装置の性能や外観寸法に影響がなければよいという考えです。

       

      日本の顧客に販売したこの装置ですが設置後3年が経った頃、つなげた部品が破損したので、顧客からその部品の製作依頼があり工場で製作して顧客に納品しました。部品を受け取った顧客で取り付けようとしたところ、穴の位置が違っていて取付けが出来ないという事態が発生しました。なぜこのようなことが起きたのでしょうか?

       

      再製作した部品は、図面通りの位置に穴をあけたのです。当初納入した部品は現場が勝手に穴位置を変えて製作していたため、図面通りに作った部品とは穴位置が違ったので取付けが出来なかったという訳です。現場で穴位置を変えるときに設計部に確認を取ることをしていればよい訳ですが、現場にそんな意識なく、また、今回のように部品だけを後から再製作して納めるということまで考えが及んでいなかったということです。

       

      このような事例があったので、また別の中国工場の生産部責任者が言っていた次の言葉が強く印象に残りました。「生産部は図面通りにものを作る、それで不良になっても生産部の責任ではない」と。

       

      次回に続きます。

       

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      この記事の著者

      根本 隆吉

      中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

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