品質管理 中国工場管理の基本事例(その22)メッキ厚不具合が発見できなかった理由

投稿日

 品質管理 中国工場管理の基本事例(その22)メッキ厚不具合が発見できなかった理由
【目次】

    ▼さらに深く学ぶなら!
    「生産マネジメント」に関するセミナーはこちら!

    1. メッキ厚マイナス不良の発生、出荷検査は抜取りで、抜取数は中国国家標準

    メッキが終わった製品は、1度加工業者の工場に戻り、メッキ外観のチェックと修正をした後に梱包します。その後、加工寸法とメッキ厚の出荷検査を実施します。

     

    先ず、出荷検査を実施するタイミングも再検討する必要があります。製品を梱包した後の出荷検査では、梱包をばらすことはできないので、外側にある製品しか検査をすることは出来ません。

     

    検査方法は、次のようになっていました。

    出荷検査は抜取りで、抜取数は中国国家標準に基づいて決めています。数量が10pcs以下の場合は、全数検査をすることになっています。問題となったメッキ厚マイナス不良が発生したときの抜取...

     品質管理 中国工場管理の基本事例(その22)メッキ厚不具合が発見できなかった理由
    【目次】

      ▼さらに深く学ぶなら!
      「生産マネジメント」に関するセミナーはこちら!

      1. メッキ厚マイナス不良の発生、出荷検査は抜取りで、抜取数は中国国家標準

      メッキが終わった製品は、1度加工業者の工場に戻り、メッキ外観のチェックと修正をした後に梱包します。その後、加工寸法とメッキ厚の出荷検査を実施します。

       

      先ず、出荷検査を実施するタイミングも再検討する必要があります。製品を梱包した後の出荷検査では、梱包をばらすことはできないので、外側にある製品しか検査をすることは出来ません。

       

      検査方法は、次のようになっていました。

      出荷検査は抜取りで、抜取数は中国国家標準に基づいて決めています。数量が10pcs以下の場合は、全数検査をすることになっています。問題となったメッキ厚マイナス不良が発生したときの抜取り数量は312pcsでした。しかし、出荷検査表の検査記録は、寸法もメッキ厚も抜取数量によらず10pcs分の記載のみとなっていました。書式がそのようになっていました。

       

      2. 加工メーカーで不良を発見できなかった理由

      加工メーカーで発見できなかった理由を考えてみます。

      最初にこの検査を担当したのが、入社して2ヶ月の新人検査員だったこと、そして顧客クレームとなった製品の出荷検査をその新人検査員1人に任せていたことが考えられます。当然担当させる前には測定方法について教育し、品管責任者による出荷検査のOJTを受けていましたが、検査記録が10pcs分しかないので、検査員が本当に312pcs検査したのか?確認のしようがありません。

       

      顧客対応をしている窓口部門のリーダーなどは「絶対に検査していない」とまで言い切る始末です。品管責任者自らか、又は、他の検査員にも検査させることも必要だったと言えます。別の原因として検査はしていても、検査結果を確認していなかったことも考えられます。メッキ厚は測定器のプローブを製品にあててその数値を読み取りますが、1つの製品で15箇所測定するので、次々にプローブのあてる場所を変えて検査します。その一つひとつの結果に注意を払っていなかったのではないかということです。

       

      1つの製品で15箇所測定し、その平均値が85µm以上であることが必要です。平均値は、測定器に演算機能が付いており所定のボタンを押せばすぐに算出してくれます。しかし、問題は平均値算出をせず、単に個々の測定箇所の値が65µm以上あればよいと考えていたと思われることです。

       

      担当した検査員が退職して今となっては確認できませんので、上記の原因は推測ということになりますが、可能性として低くはないと思います。一番の問題は、このような問題が起きる可能性のある検査体制であったということではないでしょうか。

       

      次回に続きます。

       

         続きを読むには・・・


      この記事の著者

      根本 隆吉

      中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

      中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


      「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

      もっと見る
      繰り返しの作業の事前準備 儲かるメーカー改善の急所101項(その10)

        1.モノづくり〈基本の基本〉 ◆ 繰り返しの作業の事前準備  先回に引き続き「繰り返し」についてお話しします。  繰り返す、とい...

        1.モノづくり〈基本の基本〉 ◆ 繰り返しの作業の事前準備  先回に引き続き「繰り返し」についてお話しします。  繰り返す、とい...


      MRO(副資材)管理の実務とは

          【目次】 1. MRO(副資材)マスターリスト 2. MRO(副資材)マトリックス品番   1. MRO...

          【目次】 1. MRO(副資材)マスターリスト 2. MRO(副資材)マトリックス品番   1. MRO...


      技術者による商品開発法 儲かるメーカー改善の急所101項(その93)

        7、これからのモノづくり経営  前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その92)新しい分業スタイルに続いて、解説します。 ◆ 技...

        7、これからのモノづくり経営  前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その92)新しい分業スタイルに続いて、解説します。 ◆ 技...


      「生産マネジメント総合」の活用事例

      もっと見る
      マシニング加工:リーマの下穴加工について

              普段当たり前に加工されているリーマの下穴加工ですが、いろんな会社さんを回っておりますと、実は...

              普段当たり前に加工されているリーマの下穴加工ですが、いろんな会社さんを回っておりますと、実は...


      生産性向上は生産平準化でめざせ

       前回の『業務効率化による生産性革命の危険性』で解説した生産性を高めるにはどうすれば良いかですが、前回も書きましたようにこの「生産性」は、いかにたくさんの...

       前回の『業務効率化による生産性革命の危険性』で解説した生産性を高めるにはどうすれば良いかですが、前回も書きましたようにこの「生産性」は、いかにたくさんの...


      製品開発と金型の設計製作を社内で一貫体制 伸びる金型メーカーの秘訣 (その33)

             今回紹介する金型メーカーは、株式会社Wの本社に所属する製造部 工作課です。同社は、国内及びアジア地域をは...

             今回紹介する金型メーカーは、株式会社Wの本社に所属する製造部 工作課です。同社は、国内及びアジア地域をは...