5Sにおける躾とは 儲かるメーカー改善の急所101項(その94)

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5S

 

7、これからのモノづくり経営

 前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その93)技術者による商品開発法に続いて、解説します。

◆ 5Sにおける躾(しつけ)とは

 5Sとは整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の5つであり、すべてがサ行のSの音で始まるので5Sと呼ばれるといったことは皆さんご存知だと思います。どちらかというと製造業で使われる言葉でありますが、街中の工事現場に掲示されていたりもしますから一般の方でも目にしたことがある言葉であるかもしれません。

 私も社会人になって50年近く、ずっと5Sを実行してきていますが、実は今日初めて知ったことがありました。5SはJIS(JIS Z 8141-5603)で定義されているのです。

 

  •  整理:必要なものと不必要なものを区別し、不必要なものを片付けること。
  •  整頓:必要なものを必要なときにすぐ使用できるように、決められた場所に準備しておくこと。
  •  清掃 : 必要なものに付いた異物を除去すること。
  •  清潔 : 整理・整頓・清掃が繰り返され、汚れのない状態を維持していること。
  •  躾    : 決めたことを必ず守ること。

 

 多くの工場で5Sを実行しておられますが、最初の3つのSは実際に体を使って行う行動ですので分かりやすいですが、次の2つのSは少し分かりにくいですね。そしてとても重要なこととして、会社経営における「躾」とは、人に対する躾の前に、まず企業に対して行う必要があるということです。決めたことを必ず守ることとありますが、何をどう決めているかが原点です。

 企業の理念や方針が躾けられていないと、どんなに社員の皆さんが5Sを実行しても形だけとなってしまう恐れがあります。何のためにするのかが分からないからです。事故の多発や様々な倫理問題、法令違反などが起きるとしたら企業が躾けられていない証拠となるのではないでしょうか。これを人の躾の問題としてだけ考えるのは間違いだと思います。

 5Sの実行は製造業の基本中の基本でありますが、その中の躾とは、企業に対しての言葉であって企業が躾けられているということを前提とすると考えてはいかがでしょうか。...

5S

 

7、これからのモノづくり経営

 前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その93)技術者による商品開発法に続いて、解説します。

◆ 5Sにおける躾(しつけ)とは

 5Sとは整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の5つであり、すべてがサ行のSの音で始まるので5Sと呼ばれるといったことは皆さんご存知だと思います。どちらかというと製造業で使われる言葉でありますが、街中の工事現場に掲示されていたりもしますから一般の方でも目にしたことがある言葉であるかもしれません。

 私も社会人になって50年近く、ずっと5Sを実行してきていますが、実は今日初めて知ったことがありました。5SはJIS(JIS Z 8141-5603)で定義されているのです。

 

  •  整理:必要なものと不必要なものを区別し、不必要なものを片付けること。
  •  整頓:必要なものを必要なときにすぐ使用できるように、決められた場所に準備しておくこと。
  •  清掃 : 必要なものに付いた異物を除去すること。
  •  清潔 : 整理・整頓・清掃が繰り返され、汚れのない状態を維持していること。
  •  躾    : 決めたことを必ず守ること。

 

 多くの工場で5Sを実行しておられますが、最初の3つのSは実際に体を使って行う行動ですので分かりやすいですが、次の2つのSは少し分かりにくいですね。そしてとても重要なこととして、会社経営における「躾」とは、人に対する躾の前に、まず企業に対して行う必要があるということです。決めたことを必ず守ることとありますが、何をどう決めているかが原点です。

 企業の理念や方針が躾けられていないと、どんなに社員の皆さんが5Sを実行しても形だけとなってしまう恐れがあります。何のためにするのかが分からないからです。事故の多発や様々な倫理問題、法令違反などが起きるとしたら企業が躾けられていない証拠となるのではないでしょうか。これを人の躾の問題としてだけ考えるのは間違いだと思います。

 5Sの実行は製造業の基本中の基本でありますが、その中の躾とは、企業に対しての言葉であって企業が躾けられているということを前提とすると考えてはいかがでしょうか。その結果、5Sは商品と社員の品質の証として活用されるのです。

今回の言葉   

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人を躾けるのではなく、企業を躾けよ。

******************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」 

日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

 

 

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この記事の著者

柿内 幸夫

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