技術力をアピールするヒント 儲かるメーカー改善の急所101項(その89)

更新日

投稿日

モノづくり経営

 

7、これからのモノづくり経営

 前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その88)付加価値を付けるヒントに続いて、解説します。

◆ プロダクトアウト的なアプローチを見直す時期に

 日本のメーカー企業は、生産性を上げることや技術力を磨くことにはとても熱心ですが、売りモノのアピールになると、不熱心になるところが多いように思えます。それは製品のデザインを見比べることによっても分かります。

 購入する人にとっては、デザインも立派な品質の一部です。いくら性能が良くても、ものすごく古臭い形をしていたら性能を疑ってしまうし、新型と言われても旧モデルとほとんど同じ形であれば、性能も変わっていないと思うのが人情ではないでしょうか。

 部品だから、加工業だから関係ないという意見もあるかと思いますが、その部品の色や形を一目で他社のモノと区別できるようにデザインしたり、納入時のケースを斬新なモノにするなど、アピールできるところは山ほどあると思います。生産財や設備でも、世界の一流のモノは必ず美しくデザインされています。

 ここに参考となる資料があります。

 米J.D.パワーが毎年発表する米国自動車初期品質調査ですが、2011年のベスト3は1位:レクサス、2位:ホンダ、3位:アキュラ(ホンダの米国ブランド)と日本企業が独占したほか、日本企業がベスト10に6社も入っていました。この時の評価の中心は、「走る・止まる・曲がる」の機能品質で、日本車の機能品質は断トツであったことから、この結果が生まれたようです。

 ところが2020年のベスト10には、6位に三菱自動車1社が入っているだけという残念な結果です。同じくJ.D.パワーが出している米国自動車耐久品質調査という機能品質の調査結果では、2021年の総合1位はレクサスでしたので、日本車の機能品質は今でもトップといっていいようです。しかし他国の自動車も機能品質で1位ではありませんが、昔ほどの違いはないくらいにレベルアップがされているため、機能品質での差は付かないということです。では、どこで差がついたのかというとカーナビ、音楽、音声通話の機能を組み合わせた車載インフォテインメント・システム...

モノづくり経営

 

7、これからのモノづくり経営

 前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その88)付加価値を付けるヒントに続いて、解説します。

◆ プロダクトアウト的なアプローチを見直す時期に

 日本のメーカー企業は、生産性を上げることや技術力を磨くことにはとても熱心ですが、売りモノのアピールになると、不熱心になるところが多いように思えます。それは製品のデザインを見比べることによっても分かります。

 購入する人にとっては、デザインも立派な品質の一部です。いくら性能が良くても、ものすごく古臭い形をしていたら性能を疑ってしまうし、新型と言われても旧モデルとほとんど同じ形であれば、性能も変わっていないと思うのが人情ではないでしょうか。

 部品だから、加工業だから関係ないという意見もあるかと思いますが、その部品の色や形を一目で他社のモノと区別できるようにデザインしたり、納入時のケースを斬新なモノにするなど、アピールできるところは山ほどあると思います。生産財や設備でも、世界の一流のモノは必ず美しくデザインされています。

 ここに参考となる資料があります。

 米J.D.パワーが毎年発表する米国自動車初期品質調査ですが、2011年のベスト3は1位:レクサス、2位:ホンダ、3位:アキュラ(ホンダの米国ブランド)と日本企業が独占したほか、日本企業がベスト10に6社も入っていました。この時の評価の中心は、「走る・止まる・曲がる」の機能品質で、日本車の機能品質は断トツであったことから、この結果が生まれたようです。

 ところが2020年のベスト10には、6位に三菱自動車1社が入っているだけという残念な結果です。同じくJ.D.パワーが出している米国自動車耐久品質調査という機能品質の調査結果では、2021年の総合1位はレクサスでしたので、日本車の機能品質は今でもトップといっていいようです。しかし他国の自動車も機能品質で1位ではありませんが、昔ほどの違いはないくらいにレベルアップがされているため、機能品質での差は付かないということです。では、どこで差がついたのかというとカーナビ、音楽、音声通話の機能を組み合わせた車載インフォテインメント・システムなど、これまででいうと本質的でなく、付随(ふずい)的と思われていた魅力品質の部分で差が付いたということです。

 マーケットをみないプロダクトアウト的なアプローチを見直す時期が来ていると思います。

今回の言葉   

**************

デザインは品質の現れである。

**************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」 

日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
特注品・受注生産に適した生産方式とは

        今回は、次のような、家具工場を想定して、特注品・受注生産に適した生産方式について解説します。   1. 想定する特注品・受注生産...

        今回は、次のような、家具工場を想定して、特注品・受注生産に適した生産方式について解説します。   1. 想定する特注品・受注生産...


商売繁盛に向けた「ものづくり改善」 【連載記事紹介】

  商売繁盛に向けた「ものづくり改善」の連載記事が、無料でお読みいただけます!   ◆商売繁盛に向けた「ものづくり改善」 ...

  商売繁盛に向けた「ものづくり改善」の連載記事が、無料でお読みいただけます!   ◆商売繁盛に向けた「ものづくり改善」 ...


中国と日本企業の違いとは 中国工場の品質改善(その59)

 前回のその58に続いて解説します。 【第4章】中国新規取引先選定のポイント ◆ 中国企業と生じる意識のずれ (4)4M変動管理  これは、4...

 前回のその58に続いて解説します。 【第4章】中国新規取引先選定のポイント ◆ 中国企業と生じる意識のずれ (4)4M変動管理  これは、4...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
金型メーカーにおける「多能工化」の真の目的とは

   今回は、私が金型メーカーでよくお話しをさせていただく「多能工化」の本当の目的についてまとめてみたいと思います。まず前提として、金型メーカ...

   今回は、私が金型メーカーでよくお話しをさせていただく「多能工化」の本当の目的についてまとめてみたいと思います。まず前提として、金型メーカ...


中国製設備購入時のチェックポイントとは 中国企業の壁(その53)

        中国工場・品質管理関連のセミナーを継続して実施していますが、受講者の方からの質問で最近多いと感じるのが、「中国メーカーの設備を購入す...

        中国工場・品質管理関連のセミナーを継続して実施していますが、受講者の方からの質問で最近多いと感じるのが、「中国メーカーの設備を購入す...


金型構造設計の3次元化 伸びる金型メーカーの秘訣 (その32)

        今回、紹介するプレス金型メーカーは、以前にも登場したことのあるS金型です。同社は、自動車のシ...

        今回、紹介するプレス金型メーカーは、以前にも登場したことのあるS金型です。同社は、自動車のシ...