会社を変える改善 儲かるメーカー改善の急所101項(その24)

更新日

投稿日

生産マネジメント

2.モノづくり〈現場改善の基本〉

◆ 会社を変える改善

 よくある改善の仕組みで「改善提案制度」というものがあります。

 仕事をやり易くしたり、経営を良くしたりすることができそうなアイデアが出た時に、それを提案する制度です。ところがこの制度があまり活発に運用されていないことが多いのです。

 どうしてだろう?と思って聞いてみると、その会社の制度で評価を受けるにはとても高いハードルがあるようなのです。

 提案する内容が、その人が自分で考えたユニークなものであることや、実行した時の効果が金額で表れることが必要といったことです。

 そうだとすると、「既に一部で実行されているすごく良い改善を、自分たちはまだ実行していなかったのでマネして実行した」ということはユニークでなくマネなので、この会社の「改善提案制度」では不採用になります。「この改善をすることで、皆が楽しくなりました」ということがあったとしても、金額効果で表せなければやはり不採用になるということです。

 しかし、例にあげた二つは確実に会社の経営に貢献します。やっても意味がないということではなく、意味があるからドンドン実行して会社を良くするべきだと思います。それでも会社の制度で評価されないとなると、実行される確率は下がると思います。

 改善において大切なことは「実際に行われること」です。

 どんな簡単な改善でもいいしモノマネでもOKです。むしろモノマネを奨励して実行した人をドンドンほめてあげる仕組みにした方がいいと思っています。良いモノマネを皆が実行することができれば、あっと言う間に改善が広まり、同時に従業員全員に会社変革の役割と方向性が明確になるからです。

 改善は技術などの一部の人がやるのではなく、全員でやることが重要です。

 全員が達成感を持つことで、現場のすべての人に居場所が生れ、その結果、会社が大きく変わるのです。改善をするからには効果が出なければ意味がないとか、改善として認められるためには独創的でなければならないなどといって、改善を難しく考えたり社員の皆さんに感じさせているとしたら、まずその考えを改善すべきでしょう。

今回の言葉  

*************************...

生産マネジメント

2.モノづくり〈現場改善の基本〉

◆ 会社を変える改善

 よくある改善の仕組みで「改善提案制度」というものがあります。

 仕事をやり易くしたり、経営を良くしたりすることができそうなアイデアが出た時に、それを提案する制度です。ところがこの制度があまり活発に運用されていないことが多いのです。

 どうしてだろう?と思って聞いてみると、その会社の制度で評価を受けるにはとても高いハードルがあるようなのです。

 提案する内容が、その人が自分で考えたユニークなものであることや、実行した時の効果が金額で表れることが必要といったことです。

 そうだとすると、「既に一部で実行されているすごく良い改善を、自分たちはまだ実行していなかったのでマネして実行した」ということはユニークでなくマネなので、この会社の「改善提案制度」では不採用になります。「この改善をすることで、皆が楽しくなりました」ということがあったとしても、金額効果で表せなければやはり不採用になるということです。

 しかし、例にあげた二つは確実に会社の経営に貢献します。やっても意味がないということではなく、意味があるからドンドン実行して会社を良くするべきだと思います。それでも会社の制度で評価されないとなると、実行される確率は下がると思います。

 改善において大切なことは「実際に行われること」です。

 どんな簡単な改善でもいいしモノマネでもOKです。むしろモノマネを奨励して実行した人をドンドンほめてあげる仕組みにした方がいいと思っています。良いモノマネを皆が実行することができれば、あっと言う間に改善が広まり、同時に従業員全員に会社変革の役割と方向性が明確になるからです。

 改善は技術などの一部の人がやるのではなく、全員でやることが重要です。

 全員が達成感を持つことで、現場のすべての人に居場所が生れ、その結果、会社が大きく変わるのです。改善をするからには効果が出なければ意味がないとか、改善として認められるためには独創的でなければならないなどといって、改善を難しく考えたり社員の皆さんに感じさせているとしたら、まずその考えを改善すべきでしょう。

今回の言葉  

***************************************************
 会社を変えるのは立派な改善ではない。誰でも実行できる、簡単な改善やモノマネ改善こそが、会社を変える。
***************************************************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」
日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫  

【参考資料】『 ちょこっと改善が企業を変える 』柿内幸夫 著 経団連出版

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
中国と日本企業の違いとは 中国工場の品質改善(その63)

 前回のその62に続いて解説します。 【第4章】中国新規取引先選定のポイント ◆ 新規取引先を選ぶときのポイント 3、どのような顧客を持っている...

 前回のその62に続いて解説します。 【第4章】中国新規取引先選定のポイント ◆ 新規取引先を選ぶときのポイント 3、どのような顧客を持っている...


デュアルシステムとは(3) 【快年童子の豆鉄砲】(その92)

    5. 日本版デュアルシステムを導入するには 1)文科省の対応 文科省に問い合わせしたところ「日本版デュア ルシステ...

    5. 日本版デュアルシステムを導入するには 1)文科省の対応 文科省に問い合わせしたところ「日本版デュア ルシステ...


生産性の高め方 儲かるメーカー改善の急所101項(その8)

  1.モノづくり〈基本の基本〉 ◆ 生産性の高め方  私は1974年に日産自動車に就職して18年間勤務しました。そしてその間ずっと改...

  1.モノづくり〈基本の基本〉 ◆ 生産性の高め方  私は1974年に日産自動車に就職して18年間勤務しました。そしてその間ずっと改...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
新規調達先および資材の認定について

        今回は、新規調達先を選定する場合の注意点について解説します。特に、精密樹脂部品の発注先で計測限界に近い高い加工精度が要求される場合を...

        今回は、新規調達先を選定する場合の注意点について解説します。特に、精密樹脂部品の発注先で計測限界に近い高い加工精度が要求される場合を...


地域によって差がある作業者レベル 中国企業の壁(その13)

1. 地域によって差がある作業者レベル  品質管理を支援していた厦門の中国企業には、天津に分工場がありました。本工場はアルミ製品、天津工場は鉄の加工...

1. 地域によって差がある作業者レベル  品質管理を支援していた厦門の中国企業には、天津に分工場がありました。本工場はアルミ製品、天津工場は鉄の加工...


品質管理 中国工場管理の基本事例(その24)不良発生の可能性を見極める

【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「生産マネジメント」に関するセミナーはこちら! 1. 不良発生の可能性を見極める 鉄製の支柱(長...

【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「生産マネジメント」に関するセミナーはこちら! 1. 不良発生の可能性を見極める 鉄製の支柱(長...