ペーパーレス時代に組み立て・保全担当者に求められるスキルとはなんでしょうか。今回は、3次元設計を実現している金型メーカーの組み立てや保全担当者の作業方法についての解説です。
2次元設計を行っている金型メーカーでは、組み立て担当者に、集まってきた部品を組み立てるための組み立て図面や部品図などが渡されます。では、3次元設計を行っている金型メーカーでも同じように、組み立て担当者のために、2次元の組み立て図面を作図して渡すべきでしょうか。
この点について私のクライアント企業は、以下の3つのうち、いずれかの方法をとっています。
- 3次元設計データから三角法の2次元組み立て用図面を作図し、組み立て担当者に渡している。
- 組み立て図面は作成せず、組み立てや保全担当者は、3次元設計データをビューワーソフトで閲覧し、必要な寸法はそのビューワーソフトで確認している。
- 組み立て図面は作成せず、組み立てや保全担当者は、3次元CADからデータを閲覧し、必要があれば3次元データの編集まで行う。
1.のやり方は、3次元設計を行っている多くの金型メーカーでとられている方法ですが、2.や3.の方法と比べると、2次元図面を作図する時間とコストが余分にかかります。ただし、最初から2次元設計する方法とは異なり、3次元モデルから自動で投影図を作成する機能を使ったりしますが、寸法は手作業で入れるケースが多いです。
また、2.の方法に比べると、3.の方法は組み立てや保全の担当者に、3次元CADを扱うスキルが必要になりますが、組み立て工程に入ってからは迅速な対応がとれ、またトライ後の調整のための部品モデル修正の際、一番最初の工程を担う金型設計者に負担を強いることがありません。
昨今、厳しくなった金型費や金型納期のことを考えると、3次元設計を行うメーカーとしては、最低限、2.の方法をとりたいところですが、さらにリードタイムで他社よりも一歩先をいくためには、3.の方法をとれる体制をとるべきだと思っています。
実際に、3.の方法をとっている金型メーカーでは、設計 → 加工 → 組み立て → トライの工程において、2次元設計に比べると作業負担の重い3次元設計を行う設計者から少しでも余分な負担を取り除くことで、1.や2.の方法をとっている金型メーカーよりも、設計工程のリードタイムは短くなっています。
また人事の面でも、設計やCAMデータの担当者、工作機械オペレーターは、新しい機械やソフトウェア、それに付随する機能を習得するというスイッチングコストの負担が定期的にありますが、組み立てやトライの担当者は比較的少ない傾向にあります。
会社で働くうえで、...