1. モノづくり〈基本の基本〉
◆ 改善は誰のために行うか
「改善は誰のために行うか?」というシンプルな質問ですが、これにはいくつかの答があると思います。一緒に考えてみませんか?
自分のため・・・そうですね、いいと思います。自分で仕事をしていてすごく面倒くさかったりきつかったりということってありますね。そんなときに、いいアイデアを思いついて改善を実行したら楽に良いものができるようになったとしたら、それは嬉しいです。さらにその改善を上司の方がほめてくださったりすればなおさら嬉しいですよね。
そして改善を実行する過程で方法を考えたり材料を選定したりといろいろ考えなければなりませんし、試行錯誤を繰り返すこともあるでしょう。これらは非常にいい経験になり、自分自身の能力を向上させてくれます。改善は明らかに自分のためになっています。
会社のため・・・それもその通りです。改善をした結果、楽に良いモノができるようになれば、それは生産性向上であり品質向上ですから、会社経営に対して大いなる貢献ができることになります。改善は会社のためにもなっています。
この二つはとても分かりやすい答です。多くの方がまずはこの答をされたのではないでしょうか。しかし私はもう一つとても大切な答があると思います。それは「お客様からのご要望に応えるため」という答です。
お客様からのご要望に応えるため・・・これは意外と忘れがちなのですが、私たちが毎日工場で生産している製品はすべてお客様の要望にお応えするために作られています。品質向上もコストダウンもリードタイム短縮もすべてお客様に良いものを適切な価格でタイムリーにお届けするために行っているともいえるでしょう。
工場はお客様からのご注文がなければ全く動きません。つねにお客様のご要望を意識して改善して、より高いレベルのご満足を頂くことが必要です。そう考えた時に私たちはどれだけお客様のことを考えているかというと必ずしも十分とは言えないことがありそうです。
お客様は私たちに何を一番に望んでおられるのか。品質、納期、価格、あるいはもっと別のことでしょうか。ご注文いただいた製品を、自分たちができることを総動員してご満足いただけるようにお届けすること、これこそが仕事であり、チームプレー失くして達成することはできません。改善とは、その総合力を引き上げる全社的な活動なのです。
『儲かるメーカー改善の急所<101項>』として下記のように出版しました。本連載はこれらの概要を紹介していきます。次回に続きます。
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