生産性向上の急所 儲かるメーカー改善の急所101項(その56)

更新日

投稿日

5、設備改善の基本

◆ 生産性向上の急所

 工場で改善をする時、目の前にある工程の改善に集中することはもちろん大切なことです。しかし、もう一つ大切なこととして、この工程の改善が全体のものづくりの流れに対して、どのような影響を与えるかを考えることです。

 生産性を上げるために、各工程の担当者が苦労して日夜改善を行っておられると思います。しかし、本当に向上させるのであれば、全工程の中で最も生産速度が遅い工程に集中して、まさに全社員で知恵を絞って改善することも必要です。ものづくりは、最も生産スピードが遅い工程の速さでしか生産できないという理由からです。

 もし一日に50個しか造れない工程があれば、ほかの工程で一日に1000個造れる能力があっても機械を止めておくしかなくなります。ペットボトルの水流を仕事に例えてみましょう。工程を4つに分けてみると、写真でお分かりのように、一番径が小さい4工程の量しか流れません。この場合、1工程から3工程までの径は広げても意味がないのです。最も遅くて渋滞の原因になっている部分を解消しない限り、全体の生産性は決して向上しないということになります。ボトルネックという言葉の意味がよく分かりますね。

 この問題の発見のためには、部分だけを見ていないで、全工程を歩いてみて回り、実際の生産数を正しく把握することです。どうぞ現場でものづくりの流れを意識してボトルネックを探してみてください。改善の優先順位が見えてくることでしょう。

今回の言葉   

***************...

5、設備改善の基本

◆ 生産性向上の急所

 工場で改善をする時、目の前にある工程の改善に集中することはもちろん大切なことです。しかし、もう一つ大切なこととして、この工程の改善が全体のものづくりの流れに対して、どのような影響を与えるかを考えることです。

 生産性を上げるために、各工程の担当者が苦労して日夜改善を行っておられると思います。しかし、本当に向上させるのであれば、全工程の中で最も生産速度が遅い工程に集中して、まさに全社員で知恵を絞って改善することも必要です。ものづくりは、最も生産スピードが遅い工程の速さでしか生産できないという理由からです。

 もし一日に50個しか造れない工程があれば、ほかの工程で一日に1000個造れる能力があっても機械を止めておくしかなくなります。ペットボトルの水流を仕事に例えてみましょう。工程を4つに分けてみると、写真でお分かりのように、一番径が小さい4工程の量しか流れません。この場合、1工程から3工程までの径は広げても意味がないのです。最も遅くて渋滞の原因になっている部分を解消しない限り、全体の生産性は決して向上しないということになります。ボトルネックという言葉の意味がよく分かりますね。

 この問題の発見のためには、部分だけを見ていないで、全工程を歩いてみて回り、実際の生産数を正しく把握することです。どうぞ現場でものづくりの流れを意識してボトルネックを探してみてください。改善の優先順位が見えてくることでしょう。

今回の言葉   

********************************
 全工程の中で、最も遅い工程の速さでしかものづくりはできない。
********************************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

    日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
最も注意すべきムダ 儲かるメーカー改善の急所101項(その12)

  1.モノづくり〈基本の基本〉 ◆ 最も注意すべきムダ  カイゼンにはいくつかのアプローチがあります。その中のひとつがムダ取りです。...

  1.モノづくり〈基本の基本〉 ◆ 最も注意すべきムダ  カイゼンにはいくつかのアプローチがあります。その中のひとつがムダ取りです。...


動作経済の四原則: 距離 儲かるメーカー改善の急所101項 (その3)

   1. モノづくり〈基本の基本〉   ◆ 動作経済の四原則その1: 距離  これから4回にわたって「動作経済の四...

   1. モノづくり〈基本の基本〉   ◆ 動作経済の四原則その1: 距離  これから4回にわたって「動作経済の四...


設備も風呂に入ってきれいになろう 作業環境:5S、ムダ(その4)

   工場の経営者から現場の従業員の方を対象として「作業環境:5S、ムダ」をテーマに連載で解説します。固定観念を打ち崩しながら現場改善に留...

   工場の経営者から現場の従業員の方を対象として「作業環境:5S、ムダ」をテーマに連載で解説します。固定観念を打ち崩しながら現場改善に留...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
【ものづくりの現場から】多品種少量の生産管理(飛騨産業)(その2)

  【特集】ものづくりの現場から一覧へ戻る ものづくりを現場視点で理解する「シリーズ『ものづくりの現場から』」では、現場の課題や課題解消に向...

  【特集】ものづくりの現場から一覧へ戻る ものづくりを現場視点で理解する「シリーズ『ものづくりの現場から』」では、現場の課題や課題解消に向...


信号を守らない-これも色管理ひとつ 中国企業の壁(その42)

        前回、色を識別表示の手段として工場内で統一して使うことが出来ていなかった中国工場を例に挙げ、色の意味の理解を深めるために信号の色の意...

        前回、色を識別表示の手段として工場内で統一して使うことが出来ていなかった中国工場を例に挙げ、色の意味の理解を深めるために信号の色の意...


理由教育とは(その1) 中国企業の壁(その45)

        以前訪問した日系中国工場では、工程で定期的にチェックしなければならない項目のチェックが出来ていないという問題がありました。   ...

        以前訪問した日系中国工場では、工程で定期的にチェックしなければならない項目のチェックが出来ていないという問題がありました。   ...