最適な生産スピード 儲かるメーカー改善の急所101項(その70)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ 最適な生産スピード

 「モノづくりは速く作るより、ゆっくり作るほうが生産性はよくなる」と言ったら皆さんはどう思われるでしょうか? 

 「そんなバカな!速いほうが生産性は高いに決まっているじゃないか」と思われた方はいらっしゃいませんか。

 

 しかし、スピードを速めると、手作業であれば不良が増え、設備だと停止回数が増えると思います。そして全体でスピードを速めると、工程間のつなぎが難しくなるので、そこに在庫や運搬が必要となり、さらに余分な管理まで必要になってきます。

 一番大切なことは、お客様の要求に応えることです。

 出荷にさえ間に合うのであれば、急ぐ必要は何もありません。急ごうとするから人手が増えてしまうのだともいえます。間に合うギリギリのスピードで作ればいいのです。組み立てであっても機械加工であっても、それだけの数を時間内で作るのに必要な人員配置をしてゆっくり作りましょう。そうすればムダのない生産ができることになります。

 

 スピードを上げると人は機械の監視者になってしまいますが、ゆっくり作業することでと一緒に働くことができます。「高い設備なのだから、スピードを上げなければならない」と思い込んでいる人も見掛けますが、作る量は決まっているのですから、速く作れば作るほど結局、不要な在庫ができてしまうだけです。

 もちろん、このゆっくり作るという作業状況を行うためには、日ごろから機械の故障が起きないように、きめの細かい整備ができていることが求められますし、担当者が休んでも、必ず代わりの人が役割を果たせるような多能工化ができていることが前提になります。

 

・・・・・・・・・・・・

 人も設備も無理なくゆっくりと動いて、お客様にタイムリーに製品を届けることが最もエコなモノづくりとい...

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ 最適な生産スピード

 「モノづくりは速く作るより、ゆっくり作るほうが生産性はよくなる」と言ったら皆さんはどう思われるでしょうか? 

 「そんなバカな!速いほうが生産性は高いに決まっているじゃないか」と思われた方はいらっしゃいませんか。

 

 しかし、スピードを速めると、手作業であれば不良が増え、設備だと停止回数が増えると思います。そして全体でスピードを速めると、工程間のつなぎが難しくなるので、そこに在庫や運搬が必要となり、さらに余分な管理まで必要になってきます。

 一番大切なことは、お客様の要求に応えることです。

 出荷にさえ間に合うのであれば、急ぐ必要は何もありません。急ごうとするから人手が増えてしまうのだともいえます。間に合うギリギリのスピードで作ればいいのです。組み立てであっても機械加工であっても、それだけの数を時間内で作るのに必要な人員配置をしてゆっくり作りましょう。そうすればムダのない生産ができることになります。

 

 スピードを上げると人は機械の監視者になってしまいますが、ゆっくり作業することでと一緒に働くことができます。「高い設備なのだから、スピードを上げなければならない」と思い込んでいる人も見掛けますが、作る量は決まっているのですから、速く作れば作るほど結局、不要な在庫ができてしまうだけです。

 もちろん、このゆっくり作るという作業状況を行うためには、日ごろから機械の故障が起きないように、きめの細かい整備ができていることが求められますし、担当者が休んでも、必ず代わりの人が役割を果たせるような多能工化ができていることが前提になります。

 

・・・・・・・・・・・・

 人も設備も無理なくゆっくりと動いて、お客様にタイムリーに製品を届けることが最もエコなモノづくりといえるのではないでしょうか。

今回の言葉   

************************
 出荷に間に合う、最もゆっくりなスピードで作れ。
************************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

 日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
「C型PDPC」とは(6) 【快年童子の豆鉄砲】(その88)

  3.「C型PDPC」の使い方 3)各ステップの進め方:【快年童子の豆鉄砲】(その87)からのつづき 【この連載の前回:【快年童子の...

  3.「C型PDPC」の使い方 3)各ステップの進め方:【快年童子の豆鉄砲】(その87)からのつづき 【この連載の前回:【快年童子の...


モノを素早く動かそう レイアウトと物流(その2)

  1.モノには足がないので自ら動けない 在庫は諸悪の根源などと良く言われますが、その在庫や仕掛りになっているモノが動かないのは何故でし...

  1.モノには足がないので自ら動けない 在庫は諸悪の根源などと良く言われますが、その在庫や仕掛りになっているモノが動かないのは何故でし...


過剰在庫とは

 企業経営にとって「過剰在庫の増加」は頭の痛い問題です。ところで何が過剰な在庫で、何が過剰でないかはどうやって判断すればいいのでしょうか。当社では在庫分析...

 企業経営にとって「過剰在庫の増加」は頭の痛い問題です。ところで何が過剰な在庫で、何が過剰でないかはどうやって判断すればいいのでしょうか。当社では在庫分析...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
人材マネジメント 伸びる金型メーカーの秘訣 (その6)

 伸びる金型メーカーの秘訣 (その6)で取り上げるメーカーは、愛知県にあるD社です。同社は、旋盤加工を中心にマシニングによるフライス加工や放電加工まで幅広...

 伸びる金型メーカーの秘訣 (その6)で取り上げるメーカーは、愛知県にあるD社です。同社は、旋盤加工を中心にマシニングによるフライス加工や放電加工まで幅広...


金型加工用NCデータ作成における省力化のポイントと実例 (その1)

   今回は金型製作における機械加工用NCデータ作成の省力化をテーマに執筆させていただいた。NCデータとは主に、NCフライス、マシニングセンタ...

   今回は金型製作における機械加工用NCデータ作成の省力化をテーマに執筆させていただいた。NCデータとは主に、NCフライス、マシニングセンタ...


プレス金型設計におけるサーフェースモデリング教育 伸びる金型メーカーの秘訣 (その41)

 今回紹介する金型メーカーは、U精機株式会社です。筆者は毎年、同社で採用される新卒社員の技術教育を担当させていただいており、今回は同社の若手社員2名に...

 今回紹介する金型メーカーは、U精機株式会社です。筆者は毎年、同社で採用される新卒社員の技術教育を担当させていただいており、今回は同社の若手社員2名に...