今回は、L12直交表の交互作用の評価について解説します。
1.「L12直交表では交互作用を評価できない」となっていますが、AとBの交互作用に関して、A1に対するB1、B2の値、A2に対するB1、B2の値を比較することで評価できないか。
こういう基本的な疑問は、よくあることでしょう。ただ結論からいえば、残念ながらこのような計算では、交互作用の計算はできません。同じような疑念をもって、また、他の直交表(たとえばL8)との比較をしたいため、一度チェックしたことがあります。
実験計画法のような実学は、数学がベースでも数学ではないので、厳密な証明でなくても、簡単にできます。理論式を適当に作って、そのパラメータを各列に割り付ければ簡単です。理論式は非線形式にしておかないといけませんが、線形式でも試しにやりました。(線形式では交互作用がないので、ないことの確認にはなります。)納得しやすい方法なので、「数学のおあそび」でなく、実学を身に着けたい場合にはいい方法です。
L12は交互作用を評価できない、のではなく、交互作用を分離できないということです。評価できないというのと分離できないのとはちがいます。ご質問の意味からすると、後者の方だと思います。ご存知のように、L12は各列に均等にきれいに他列間の交互作用が入っていくので、分離できません。見た目にB1,B2としても、そこにはCやDの効果も入っています。
しかし、この入り方が均等であれば、交互作用の評価にはなりうるわけです。L8やL9、L16 では列間交互作用が特定列にはいるから分離計算できますが、特定列を無視して割り付けてしまうと、交互作用の入り方は不均一になります。
L12はどんなわりつけでも交互作用は均一に入るので、主効果は各列で比較すれば、ベースの交互作用が一定のため、単純に相対的な主効果の大きさはわかります。そういう意味では、交互作用が入ってきた場合の主効果の大きさを評価しているので、この意味で、交互作用含みの主効果の評価をしているといえます。この考え方は従来実験計画法(原因追究)と違い、頑健性を主眼とする品質工学の考え方に通じていると思います。
2. 交互作用を確認する方法とは
交互作用を確認する方法ですが、品質工学の基本として行うならば、利得の再現性を確認実験で確認するという方法が一般的です。確認したい因子のみを取り上げて再テストするのは、確認したい因子のみという点で、ある意味問題があります。
本来、実験で取り上げている因子で交互作用があるのなら、ほかにもいっぱい交互作用がある、考える必要があるということですから、確認したい因子がそれらをすべて満たせばいいですが、例えば因子AとBのみで交互作用があると考えられる場合、因子AとBのみでの再テストでは不十分なことがあります。
ただ、交互作用の大きさを評価したいという目的であるのなら、交互作用が解析できるような実験計画を組んで「考えられる全因子」を確認したい因子のみを取り上げて再テストするのであれば、(その意味において)ふさわしい方法です。
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