SQC(統計的品質管理)とは何か?その手法、効果、学習方法を紹介
1. SQC(統計的品質管理)とは
SQC(Statistical Quality Control:統計的品質管理)とは、QC七つ道具、実験計画法、回帰分析、多変量解析などの統計的方法や抜取検査、サンプリングなどを使った品質管理です。 戦後の日本製造業を強くしたのは、デミング博士がこれらを持ち込み、教育指導したためです。経験や勘に頼るのではなく、事実とデータに基づいた管理を重視する点が特徴です。
(1)SQCの目的・役割
①目的
- ・品質の維持と向上: 製品やサービスの品質を一定に保ち、向上させることを目的としています。
- ・不良品の削減: 不良品の発生を早期に発見し、削減することを目指します。
- ・プロセスの最適化: 生産プロセスを分析し、効率的な運用を実現するためのデータを提供します。
②役割
- ・データ収集と分析: 生産過程で得られるデータを収集し、統計的手法を用いて分析します。
- ・品質基準の設定: 製品やサービスの品質基準を設定し、それに基づいて評価を行います。
- ・改善活動の支援: 品質改善のための具体的なアクションプランを策定し、実行を支援します。
(2)SQCの効果
効果(メリット)
- ・コスト削減: 不良品の発生を減らすことで、再作業や返品にかかるコストを削減できます。
- ・顧客満足度の向上: 高品質な製品やサービスを提供することで、顧客の信頼を得やすくなります。
- ・競争力の強化: 品質管理がしっかりしている企業は、他社に対して優位性を持つことができます。
(3)SQCの始まり
SQCの起源は、20世紀初頭にさかのぼります。特に、アメリカの統計学者であるウォルター・A・シューハート(Walter A. Shewhart)が1930年代に開発した「管理図」が重要な役割を果たしました。シューハートは、製造プロセスの変動を理解し、管理するための方法を提案しました。
その後、第二次世界大戦中に、品質管理の重要性が高まり、アメリカの品質管理の専門家たちが日本に技術を伝えました。特に、W.エドワーズ・デミング(W. Edwards Deming)やジョセフ・ジュラン(Joseph Juran)などが日本の製造業に大きな影響を与え、SQCの手法が広まりました。
日本では、これらの手法が「日本の品質革命」と呼ばれる現象を引き起こし、トヨタやソニーなどの企業が国際的に成功を収める要因となりました。このように、SQCは統計学の原理を基にした品質管理の手法であり、歴史的には多くの専門家の貢献によって発展してきたものです。
2.SQCおもな手法
(1)管理図(Control Chart)
品質特性の変動を時間の経過とともに監視するための図です。上限と下限を設定し、データがその範囲内に収まっているかを確認します。
(2)ヒストグラム(Histogram)
データの分布を視覚的に表現するための棒グラフです。データのばらつきや中心傾向を把握するのに役立ちます。
(3)パレート図(Pareto Chart)
問題の原因や不良品の発生頻度を示すための棒グラフで、重要な要因を特定するのに役立ちます。80/20の法則に基づいて、少数の原因が大部分の問題を引き起こすことを示します。
(4)散布図(Scatter Diagram)
2つの変数の関係を視覚的に示すためのグラフです。相関関係やトレンドを把握するのに役立ちます。
(5)チェックシート(Check Sheet)
データ収集のためのシンプルな表で、特定の情報を整理して記録するのに使います。問題の発生頻度やパターンを把握するのに役立ちます。
(6)フィッシュボーン図(Ishikawa Diagram)
問題の原因を特定するための図で、魚の骨のような形をしています。主な原因をカテゴリー分けして視覚化することで、問題解決に役立ちます。
(7)サンプリング検査(Sampling Inspection)
全体の品質を評価するために、サンプルを抽出して検査する手法です。コストを抑えつつ、品質を確保するために用いられます。
3.SQCの学習・習得方法
(1) 実践的な演習を行う
実際のデータを使って統計的手法を適用することで、理論を実践に結びつけることができます。ケーススタディやプロジェクトを通じて、問題解決能力を高めましょう。
(2)専門書やオンラインコースを活用する
SQCに関する専門書やオンラインコースを利用して、基礎知識をしっかりと身につけることが重要です。特に、視覚的な教材や動画は理解を深めるのに役立ちます。
(3)グループディスカッションや勉強会に参加する
他の学習者や専門家と意見交換をすることで、新しい視点や知識を得ることができます。定期的な勉強会やセミナーに参加するのも良い方法です。
4. まとめ
統計的品質管理で大切なのはコントロールリミットの設定で厳しく管理する事では無く、ばらつきそのものを抑制する条件を見出し、継続的改善に努める事です。検査で不適合を検知する機能も重要ではありますが、これは流出防止に過ぎません。当面は検知システムの利用で流出リスクを下げたとしても、ばらつきが小さく安定したプロセスへ改善する事が本来の対策であり結果的には低コストで運用出来ます。廃棄やリサイクルも少なくて済むので生産計画や在庫調整の負担も軽減します
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