1. ベンチマーキングの背景
みなさんは、このデフレ不況を脱出するために、どう他社と差別化を図るかに苦労をしておられるのではないでしょうか。そういう時こそ基本に帰り、ベンチマーキング( Benchmarking )を実施することを薦めます。ベンチマーキングの本質的目的は、ベストプラクティスのプロセスからヒントを得ること、気づきを得ることなのです。発想法は、ベンチマーキングと相反すると思われがちですが、例えば、NM法は、アナロジー(類比)技法と呼ばれ、動物、植物、宇宙などの特徴や仕組みをプロセス・ベンチマーキングしていることとほぼ同様なのです。
筆者は、ベンチマーキングの仕組みや適用事例を基に、発祥元である米国ゼロックス社の資料から直接学び、実務で新しい技術開発やプロセス改革テーマを始めるときに、何回も仮説検証しながらその効果を確認しました。ここでは、そのエッセンスを要約します。
ベンチマーキングの起こりは、米国ゼロックス社が、日本の複写機メーカの攻勢によりシェアダウンに直面し、それを乗り切るために1979年に創出された手法です。最初は、わずかな部門がこれを利用していましたが、1981年までにはこのプロセスは全社的な試みとなり、その後、世界的に普及していきました。
2. ベンチマーキングとは
まずは、ベンチマーキングの定義です。 「ベンチマーキングとは、自社の商品、サービス、活動の企業改革を実践する際に、競合、他業種を問わず、会社・ 部門単位で類似業務を行っている最も優秀な他社の力を表す『値』を基に設定される自社・ 自部門の測定可能な特定の目標値を決め、達成するための継続的な活動である。」あぶくが動く測量の水準器が語源で、“敵を知り、己を知れば百戦危うからず”( 孫子) と同義語でもあります。図1に、ベンチマーキングの考え方を示します。
図1 ベンチマーキングの考え方
3. ベンチマーキングの実施手順
ベンチマーキングのプロセスは次のような手順で行います。
(1) 計画
1.1 ベンチマークの対象を決定する。
1.2 最も優秀な競合を見極める。
1.3 どういう観点から調査するか、社内状況から比較する基準を設定する。
(2) 情報収集・ 分析
2.1 社内、社外の情報収集結果より、現状のギャップを抽出する。
2.2 ギャップの原因を分析し、明確にする。
(3) 統合・ 目標設定
3.1 分析結果を伝える。
3.2 対象範囲を設定し、誰にもわかる特定の目標を掲げる。
(4) 実施
4.1 アクションプランを展開する。
4.2 計画実行と定期的にどの程度実行されたかを評価する。
4.3 ベンチマーク値を測定する。
4. ベンチマーキング対象テーマの例
ベンチマーキングの具体的な対象項目は、次のようになります。ここで、くれぐれも勘違いしないでいただきたいことは、みなさんがやらなければいけない...