今回は、IoTの広がりと外とのつながりについて、IoTの背景と目指すもの、IoTが注目される理由を整理して解説します。
1. IoTの背景と目指すもの
IoT (Internet of Things)は直訳すると、「モノのインターネット」となります。ここで言うところの"モノ"とは、「現在、インターネット接続されていないモノ全般」というニュアンスです。IoTの概要を次に示します。(図1)
図1. IoTの概要
例えば、炊飯器や冷蔵庫といった家電から、ゴミ箱やサッカーボール、ビジネス靴に至るまで、本当に思いつくものならば何でもアリです。この対象範囲の広さが、IoTの定義を曖昧にしている原因です。
IoTという概念が勃興してきた背景は、センサ技術や通信技術の発展によるところが大きいでしょう。特に、センサや通信デバイスの小型化とコストダウンが進み、今まで搭載不可だったモノに組み込むことが可能になってきます。
IoTの目指すものは、少々乱暴な言い方ですが、下記のとおりとなります。
- IoT対応デバイスを大量生産し、とにかく、世界の至る所に大量のセンサをばらまきたい。
- ばらいまいたセンサで収集した計測データを、インターネットのクラウド上に吸い上げたい。
- インターネットのクラウドに吸い上げたデータを統計的に分析したい。 (いわゆる、Big DataやData Miningの考え方)
- クラウド上からIoTデバイスを遠隔で操作したい。
2. IoTが注目される理由
現在、この世界に存在するデバイスの大部分がインターネットに未接続と言われています。
これらの未接続デバイスの全てがインターネットに接続すると仮定すると、センサや通信デバイス、組込型マイコンなどのハードウェア製品の需要が増大し、更には、今まで未収集だった(ブラックボックスであった)データを活用したサービスを提供可能となります。
IoTのマーケットは、日本の国家予算を超える規模になるという予測も出ています。極論すれば、「インターネット経由で、森羅万象を計測し、遠隔で分析や管理を行う」ことができる時代になってきています。
IoTを実現する技術が整いつつあるので、次は、IoTのビジネスモデル(IoTでどうやって稼ぐか?...
)を考えるのが課題となるでしょう。
IoTの基本は、「センサで計測したデータを収集し、統計分析や遠隔管理を行うことで価値を生み出す」ことに尽きます。この基本の段階で手探り状態のところが多いようですが、IoTの応用範囲は広い故に、画期的なアイデア1つで大当たりする可能性を秘めているとも言えます。