工場での個人目標管理制度とは

更新日

投稿日

 
  目標管理
 
 工場での個人目標管理を徹底したところ、極端な状況では、社員が自分のことしか考えなくなり、結果だけを求めプロセスを気にかけなくなるなど、職場での制度の運用に問題がある状況をよく聞きます。今回は、工場での個人目標管理制度を理想とする方向に向けるためにどうすべきかを解説します。
 
 目標管理制度の弊害とは、個人業績に注力するあまり、個人で情報を抱え、他の同僚と情報を共有しなくなることです。また自分に有利なように物事を考え、仕事を進めることになることです。ただし、このような弊害を克服し効果的に推進している会社もあります。それらの事例から解決に向けた方向性を示します。
 

1. グループ評価に変更

 
 個人ではなく、グループで評価する制度です。分業が進み個人で作業することも多いと思いますが、それを見直しチームで仕事を任せるのです。チーム内で仕事を推進していくために、チーム内でコミュニケーションをとりつつ目標達成に向けた活動を行わせるのです。昔の小集団活動のように、チーム全員が同じ目的に向かってベクトルを合わせて活動する仕組みを目指すのです。
 

2. 評価期間と方法を変更

 
 個人目標管理制度は通常、1年や半年の期間での達成状況を評価しますが、中間ではほとんど評価されていないのが現実です。そこで評価期間を半年や1年ではなく、日々の活動が反映されるような目標指標に変更した上で月次や週次・月次で評価していくのです。評価も単なる評価ではなく、日々や週次・月次の活動目標と実績が分かるように変更し、その実績をみながら社員と管理職が対話し、個人を励まし社員のやる気とやりがいを醸成するような制度にするのです。
 
 管理職も上位の管理職と同様に対話を行います。一見、面倒なように感じられるかもしれませんが、実際に行っている作業をベースに目標指標を設定しますので、通常管理職が管理すべき内容を指標にしたまでですので、逆に効率的ともいえます。但し、現状の管理制度を一部見直す必要があるかもしれません。
 

3. 経営トップによる工場巡回で評価

 
 経営トップが工場を定期的(例えば、週1回)に巡回し、掲示板に貼ってある個人目標管理シートをみながら社員から説明を受け、評価やアドバスイを行う制度です。これが最も効果があると思います。
 
 そして社員は、評価を受けた内容を見直し、次回の工場巡回までに解...
 
  目標管理
 
 工場での個人目標管理を徹底したところ、極端な状況では、社員が自分のことしか考えなくなり、結果だけを求めプロセスを気にかけなくなるなど、職場での制度の運用に問題がある状況をよく聞きます。今回は、工場での個人目標管理制度を理想とする方向に向けるためにどうすべきかを解説します。
 
 目標管理制度の弊害とは、個人業績に注力するあまり、個人で情報を抱え、他の同僚と情報を共有しなくなることです。また自分に有利なように物事を考え、仕事を進めることになることです。ただし、このような弊害を克服し効果的に推進している会社もあります。それらの事例から解決に向けた方向性を示します。
 

1. グループ評価に変更

 
 個人ではなく、グループで評価する制度です。分業が進み個人で作業することも多いと思いますが、それを見直しチームで仕事を任せるのです。チーム内で仕事を推進していくために、チーム内でコミュニケーションをとりつつ目標達成に向けた活動を行わせるのです。昔の小集団活動のように、チーム全員が同じ目的に向かってベクトルを合わせて活動する仕組みを目指すのです。
 

2. 評価期間と方法を変更

 
 個人目標管理制度は通常、1年や半年の期間での達成状況を評価しますが、中間ではほとんど評価されていないのが現実です。そこで評価期間を半年や1年ではなく、日々の活動が反映されるような目標指標に変更した上で月次や週次・月次で評価していくのです。評価も単なる評価ではなく、日々や週次・月次の活動目標と実績が分かるように変更し、その実績をみながら社員と管理職が対話し、個人を励まし社員のやる気とやりがいを醸成するような制度にするのです。
 
 管理職も上位の管理職と同様に対話を行います。一見、面倒なように感じられるかもしれませんが、実際に行っている作業をベースに目標指標を設定しますので、通常管理職が管理すべき内容を指標にしたまでですので、逆に効率的ともいえます。但し、現状の管理制度を一部見直す必要があるかもしれません。
 

3. 経営トップによる工場巡回で評価

 
 経営トップが工場を定期的(例えば、週1回)に巡回し、掲示板に貼ってある個人目標管理シートをみながら社員から説明を受け、評価やアドバスイを行う制度です。これが最も効果があると思います。
 
 そして社員は、評価を受けた内容を見直し、次回の工場巡回までに解決する内容などを追記し活動するとともに、修正版の目標管理シートを掲示板に貼り付けておくのです。
 
 毎週工場巡回することは経営トップには負担と思いますが、全社員に対して定期的(通常3ケ月に1回程度)評価することにより、社員のモチベーションは格段に向上します。このように経営トップの参画と励ましが特に重要と考えております。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

野中 帝二

労働人口が減少する中、生産性を維持・向上しつつ、収益性を向上するための支援を行います。特に自律的な改善活動の醸成や少子高齢化での経営など労働環境変化に対応した解決策をサポート致します。

労働人口が減少する中、生産性を維持・向上しつつ、収益性を向上するための支援を行います。特に自律的な改善活動の醸成や少子高齢化での経営など労働環境変化に対応...


「人的資源マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
技術企業の高収益化: 伝えたつもりの経営者

◆ 高収益経営者は、モノゴトをどの程度徹底して実施するのか  「今度、私がビシッと言いますから」。A社社長(以下、A社長)の数年前の発言です。コンサ...

◆ 高収益経営者は、モノゴトをどの程度徹底して実施するのか  「今度、私がビシッと言いますから」。A社社長(以下、A社長)の数年前の発言です。コンサ...


中国工場の実状を知る 中国工場の品質改善(その8)

  【第2章 中国工場の実状を知る】   【作業者について】  中国工場で働いている作業者とは、いったいどんな人だちなので...

  【第2章 中国工場の実状を知る】   【作業者について】  中国工場で働いている作業者とは、いったいどんな人だちなので...


“技術士”という資格の知名度を考える

  1. “技術士”という資格の知名度    「ものづくり.com」の専門家に登録されている方の中で&l...

  1. “技術士”という資格の知名度    「ものづくり.com」の専門家に登録されている方の中で&l...


「人的資源マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
人的資源マネジメント:逆境に強い人は人とのつながりを大切にする(その1)

 この連載では、途中何度か別テーマもはさんでいますが、主に逆境力、回復力、復元力などと訳されている「レジリエンス(Resilience)」を高める方法を紹...

 この連載では、途中何度か別テーマもはさんでいますが、主に逆境力、回復力、復元力などと訳されている「レジリエンス(Resilience)」を高める方法を紹...


人的資源マネジメント:リーダーを育てる製品開発(その1)

   前回は製品群(ラインナップ)を一括して開発する方法について紹介しましたが、今回は、テーマを技術者育成に戻したいと思います。  ...

   前回は製品群(ラインナップ)を一括して開発する方法について紹介しましたが、今回は、テーマを技術者育成に戻したいと思います。  ...


人的資源マネジメント:ビジョン、ゴール、シナリオで作る計画(その2)

 今回は、計画を作成する意義や重要性を考慮した計画作成の方法を解説したいと思います。様々な取り組みに対して計画を作成する機会は多いのではないでしょうか。 ...

 今回は、計画を作成する意義や重要性を考慮した計画作成の方法を解説したいと思います。様々な取り組みに対して計画を作成する機会は多いのではないでしょうか。 ...