暗黙知の可視化の考え方 技術伝承とは(その5)
2019-01-29
前回のその4に続いて解説します。
暗黙知とは、判断を伴う作業や感性による作業などを含む複数の技術と技能で構成され、創造性や人間の意思決定を含んでいます。また暗黙知状態の作業は、インプットとアウトプットは見える化できているが、その作業内容やプロセスがブラックボックスになっているケースが多いのです。従って、そのブラックボックス状態から技術者が、何を見て (知覚)、どのように解釈 (判断) 、そして決断したかを制約条件や環境などと共に見える化する必要があります。
このような暗黙知を可視化するには、技術者が頭の中で考えている思考プロセスとその要件を整理していくことが必要です。技術者が頭の中で行なっている思考プロセスは、通常単位作業と要素作業から構成されています。単位作業とはひとつの目的を遂行する作業区分であり、思考工程ともいえます。また要素作業とは単位作業を構成する要素で動作または作業のことです。
図3 暗黙知の可視化の考え方
そこでまず、図3のように暗黙知作業から思考工程である単位作業を抽出したうえで、各単位作業を構成する要素作業を抽出します。そのうえで抽出した要素作業を、形式知が比較的容易な作業なのか、あるいは形式知化が難しい熟練作業 (属人的要素が強い作業) に識別していき、定量化や言語化などによる形式知化を進めます。
形式知化が難しい要素作業をさらに可視化していくには、要素作業を構成する作業動作へ分解し、さらに動作を構成する動作要素へと分解し形式知化していくことです。しかし自動化するような場合でも、要素作業レベルで...
定量化しておけば、ほとんどの作業は自動化を進めることができると考えています。作業動作や動作要素まで分解する必要はなく、伝えられるレベルまで分解すれば十分なのです。
次回に続きます。