4. クレームを宝物に変えてしまう「奥の手」
前回のその34に続いて、解説します。
【クレーム対応心得】
・クレーム解決は期限を切って、成果を出そう。だが、一歩やり方を間違うと逆効果となり、顧客不満を引き起こす
NTTドコモの新潟支店が中心になってドコモショップで実践されている、クレームを宝物に変えてしまう素晴らしい取り組みを紹介します。
このドコモショップでは、お客さまから寄せられる質問や不満、クレームなどを課題別に分類し、一つひとつの課題に対する「解決期限」を設定して、チームで取り組んでいます。基本的には、1テーマに対して三か月から四か月の期限が設定されます。そして、解決した結果を分析することで多くの「成果」を事業にフィードバックしていくのです。
こうした期限付きの課題解決方法は、一見なんでもないように思えるかもしれませんが、「クレーム対応から顧客満足創造までの流れ」を把握するためには、極めて有効な実践方法といえます。
ただし、一歩やり方を間違えるとかえって逆効果となり、顧客不満足度を上昇させかねないので注意して下さい。問題解決至上主義に走るあまり、解決までの期限を絞り込みすぎるのは、非常に危ないやり方です。なぜでしょうか。
その理由は、課題解決までの期限を絞り込みすぎてしまうと、スタッフ心理として、「何が何でも期限内に解決しなければまずい」という、強迫観念にとらわれてしまうからです。極度のプレッシャーが高じると、「期限内に解決することだけを最優先し、解決のための解決を繰り返す」ことになりかねません。
解決のための解決では、顧客心理や顧客の立場を忘れ、「期限内になんとか解決の帳じりを合わせよう」とする自分勝手な都合がむき出しになっていきます。
これでは、何のための解決期限設定なのかわかりません。企業主体のクレーム解決から、顧客満足が創造されることはありません。
課題解決の期限を設定して成果を確実にモノにするためには、課題のカテゴリーに幅を持たせながら、中期の期限設定(数か月単位)を目標に楽しい取り組みを実践していくことが大切です。楽...
しみながら顧客に喜びをもたらす工夫を凝らすのです。
相談室の目先の成績ばかりを気にして、とにかく短期間で強引に形だけの問題解決を図る姿勢は、絶対に避けるべきです。一定の幅を持たせた期限内にしっかり解決して、成果を確実につかみ取りましょう。たかが期限設定と侮る前に、まず実践して行動を起こしましょう。
次回に続きます。
【出典】武田哲男 著 クレーム対応、ここがポイント ダイヤモンド社発行
筆者のご承諾により、抜粋を連載