コスト削減案の5ステップ育成法

投稿日

 コスト削減案は柔らかい段階(煮詰まっていない、思いつきレベル)から実施可能レベルまで段階を踏んで育てることで、実現に結び付く可能性が高まると考えています。一般的に柔らかい改善案を強引に実行まで持って行こうとするからモノにならない、つまり落ちる確率が高くなるのです。

 柔らかい改善案を叩いて生き残りを実行するより、計画的に育てていく方が生き残る可能性が高まります。そこで、組織全体で改善案を育ていく風土が大切であり、それには改善案のレベルを組織の中で定義して、共有化しなければなりません。 

 今回は、私のコスト削減案レベルの定義を紹介します。

(1)気づき

 第一は、日常業務の中で感じる疑問点や要調査事項を、気づきとして一覧表にすることから始めます。より多くの気づきを得るには、プラントの現状を正しく理解する、本質を追及する現状実態分析をすることです。 省エネルギーの視点からも気づきが得られます。

(2)テーマ素材

 気づきから、その損失を無くしたり、減らしたり、他に変えることが可能と予想される手段を考えます。つまり、テーマ素材とは「こんな損失があるから、こう対処しよう」という手段があることです。

 この段階では、思いつきレベル(ジャストアイデア)を文章化する程度でかまいません。効果金額、投資額はまだ計算しません。あわてないことです。

(3)テーマ

 テーマは「本当にロスあって、削減のための論理的裏付けができ、改善手段が明確にされた案」です。テーマ内容の精度は粗いものの、テーマ素材よりは具体化します。効果金額は概算で、投資見積はエンジニアの感覚程度で良いでしょう。 

(4)構想案 

 構想案とは「基本的な問題点が解決され、具体的な仕様が設定された案」です。内容は基本設計で、見積を取れるレベルまで具体化します。 

 効果金額の精度は予算申請レベル、投資額はメーカー見積、実績額から導き出され、採算性を満足する案です。

(5)実施可能案

 実施可能案は「関係部門、所属長の...

 コスト削減案は柔らかい段階(煮詰まっていない、思いつきレベル)から実施可能レベルまで段階を踏んで育てることで、実現に結び付く可能性が高まると考えています。一般的に柔らかい改善案を強引に実行まで持って行こうとするからモノにならない、つまり落ちる確率が高くなるのです。

 柔らかい改善案を叩いて生き残りを実行するより、計画的に育てていく方が生き残る可能性が高まります。そこで、組織全体で改善案を育ていく風土が大切であり、それには改善案のレベルを組織の中で定義して、共有化しなければなりません。 

 今回は、私のコスト削減案レベルの定義を紹介します。

(1)気づき

 第一は、日常業務の中で感じる疑問点や要調査事項を、気づきとして一覧表にすることから始めます。より多くの気づきを得るには、プラントの現状を正しく理解する、本質を追及する現状実態分析をすることです。 省エネルギーの視点からも気づきが得られます。

(2)テーマ素材

 気づきから、その損失を無くしたり、減らしたり、他に変えることが可能と予想される手段を考えます。つまり、テーマ素材とは「こんな損失があるから、こう対処しよう」という手段があることです。

 この段階では、思いつきレベル(ジャストアイデア)を文章化する程度でかまいません。効果金額、投資額はまだ計算しません。あわてないことです。

(3)テーマ

 テーマは「本当にロスあって、削減のための論理的裏付けができ、改善手段が明確にされた案」です。テーマ内容の精度は粗いものの、テーマ素材よりは具体化します。効果金額は概算で、投資見積はエンジニアの感覚程度で良いでしょう。 

(4)構想案 

 構想案とは「基本的な問題点が解決され、具体的な仕様が設定された案」です。内容は基本設計で、見積を取れるレベルまで具体化します。 

 効果金額の精度は予算申請レベル、投資額はメーカー見積、実績額から導き出され、採算性を満足する案です。

(5)実施可能案

 実施可能案は「関係部門、所属長の承認を受けた構想案」です。ベースは構想案ですが、関係者から盲点やモレを指摘してもらい、実現可能と承認をもらうまで詰めていきます。一般的には「設備投資のための稟議書レベル」になります。

 

 定義はここまでです。1つの気づきに対して、1つずつ順番に進めていく方法もありますが(1本釣り)、組織的にまず気づきを多く抽出して、一斉にレベルを上げていくこと(底引き網的)をお勧めします。それをマネジメントできるのは工場長、製造部長のはずです。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

羽根田 修

日本一の工場コスト削減コンサルタント/装置産業に特化して、直近10年で105億円削減の実績

日本一の工場コスト削減コンサルタント/装置産業に特化して、直近10年で105億円削減の実績


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
段取り8割の仕事術(自工程完結)

 日々進む国際化の中で、仕事は益々複雑化、多様化が進み、職場には外国出身者も含め多様な方々が増えてきています。従来の仕事の進め方、考え方、つまり仕事が個人...

 日々進む国際化の中で、仕事は益々複雑化、多様化が進み、職場には外国出身者も含め多様な方々が増えてきています。従来の仕事の進め方、考え方、つまり仕事が個人...


工場内を誰にも分かりやすくする方法 儲かるメーカー改善の急所101項(その28)

3.仕組みを改善する基本 ◆ 工場内を誰にも分かりやすくする方法  例えば、私が友人の「川上さん」に連絡を取りたいと思ったとします。スマホの電話番...

3.仕組みを改善する基本 ◆ 工場内を誰にも分かりやすくする方法  例えば、私が友人の「川上さん」に連絡を取りたいと思ったとします。スマホの電話番...


習熟曲線効果からみるコストダウンの着眼点(その2)

  【習熟曲線効果からみるコストダウンの着眼点 連載記事】 1.習熟曲線効果は効果的なコストダウンツールか 2.習熟曲線効果とコス...

  【習熟曲線効果からみるコストダウンの着眼点 連載記事】 1.習熟曲線効果は効果的なコストダウンツールか 2.習熟曲線効果とコス...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
汎用機械とNC機械(前編) 伸びる金型メーカーの秘訣 (その8)

 今回、紹介する機械加工メーカーは、愛知県にあるK工業です。従業員は7名。主な事業は、産業機械設備の部品などのフライスや旋盤等、各種機械加工を行うことです...

 今回、紹介する機械加工メーカーは、愛知県にあるK工業です。従業員は7名。主な事業は、産業機械設備の部品などのフライスや旋盤等、各種機械加工を行うことです...


金属切削加工業界への新規参入 伸びる金型メーカーの秘訣 (その19)

 前回に引き続き、Y工業における、金属切削加工業界への新規参入の取り組みを紹介します。最近の金属加工業界は、エンドユーザーからの要求品質の高まり国内外含め...

 前回に引き続き、Y工業における、金属切削加工業界への新規参入の取り組みを紹介します。最近の金属加工業界は、エンドユーザーからの要求品質の高まり国内外含め...


効率が上がる冶具づくりとは

   私が金型メーカーや機械加工業で働く若手の皆さんに感じることの一つが、「冶具づくりを会得しよう」です。    今でこそ、多く...

   私が金型メーカーや機械加工業で働く若手の皆さんに感じることの一つが、「冶具づくりを会得しよう」です。    今でこそ、多く...