前回のその69に続いて解説します。
現在、収集した知識・経験をイノベーションに向けて整理するフレームワークを解説していますが、今回も前回に引き続き「知識・経験を物理量で整理する」に当たっての「整理の為に考える要素」からさらに、その中の物理量の選択について解説をします。
1. 物理量を選ぶ補助線:二字熟語
世の中には数多くの物理量がありますが、それらの中から適切な物理量を選ぶ上でヒントとなる視点に、二字熟語があります。日本語には幸い二次熟語があり、その中で対局を表す二字熟語があり、それらは物理量を見つける補助線として役に立ちます。
二字熟語の中で、大小、高低、長短、軽重、強弱、多少、前後、上下、左右、表裏などは誰でも考え、二字熟語などのフレームでなくても思い付くものですが、その他にいろいろな二字熟語があります。
思い付くところを以下にあげます。
遠近、深浅、老若、男女、濃淡、凸凹、緩急、内外、貧富、着脱、東西、南北、紅白、白黒、
細太、冷熱、集散、同異、粗密、主客、本末、陰陽、欧亜、勝負、天地、硬軟、愛憎、明暗、
朝夕、有無、寒暖、晴雨、親子、甘辛、木石、兄弟、姉妹、昇降、昼夜、得失、彼我、自他、
泣笑、官民、山谷、師弟、心技、生死、加減、禍福、栄枯、盛衰、動静、固液、虚実、内外、
伸縮、苦楽、公私、雌雄、主従、新旧、清濁、出入、正邪、美醜、干満、難易、和洋、開閉、
後先、貴賤、難易、吉凶、喜怒、和戦、正誤、象具、起臥、文理、賞罰、開閉、攻守、躁鬱、
今昔、厚薄、古今、終始、善悪、単複、賛否、正逆、長幼、取捨、暑寒、真偽、真贋、進退、
君臣、信疑、貸借、直環、商工、気水、死活、将卒、乾湿、人馬など。
二字熟語があれば四字熟語も可能性があるのですが、四字となると対立概念にはなりにくいことがあります。中には物理量の選択にヒントになるものもありますが(鶏口牛後、東西南北、栄枯盛衰など)、二字熟語程は数は多くないようです。
2. 新たな二次熟語を創作する
これら以外にも、現実には二字熟語としては存在しないのですが、あってもよさそうなもので、自分で容易に創作できるものもあります。
例えば、鋭鈍、賢愚、広狭、直曲、心縁、悪良、油水、薬毒、乱静、角丸、嫌好などが思い付きます。
3. 二字熟語の意味を広く捉えてみる
上の一番最後に挙げた「嫌好」ですが、細菌には嫌気性細菌と好気性細菌があります。嫌気性細菌とは、生育に酸素を必要としない細菌で、好気性細菌とは逆に酸素を必要とする細菌です。
「嫌好」は基本的に人間が主語となって使う言葉ですが、他の動植物(更には他の物質や環境)にも適用できるということです。現実に嫌気性細菌と好気性細菌の発見に「嫌好」という二字熟語が役に立...
したがって、もとの意味だけではなく、その二字熟語の意味を広く捉えてみることが、大変重要と思います。
4.二字熟語をどう利用するか?
すぐにはイノベーションに結び付くとは限らず、常に物理量を考える場は多くはありませんので、迂遠(うえん)に思えるかもしれませんが、この様な二字熟語(四字熟語)を常に考えてリストにしてみましょう。また、そのリストを時々眺め、上述したように広く考えてみるということは意味があることだと思います。
次回に続きます。