中国工場の実状を知る 中国工場の品質改善(その39)

 前回のその38に続いて解説します。

【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方

 
 

【3.6 中国工場での人材マネジメント】

◆ 従業員のモチベーションや管理者の育成、実践事例

 ここで、中国人従業員のモチベーションや管理者の育成について、中国工場の総経理をしていた吉村さん(仮名)が実践した事例紹介します。

・従業員のモチベーションを高めるために必要なこと

 一番大切な基本は、明確な工場規則・給与体系・昇給体系を作り、それを皆に分かりやすく確実に説明することです。今の中国では、労働組合が必要ですから労使でWIN - WINになるように、規則を公開し平等な関係を作ることが大切です。そして、定期的な労使会の実施と従業員の要求に対して確実な回答を出していくことです。労使の信頼関係がなければ、何も進まないので非常に重要視していました。

 具体的にはまず、責任者(工場トップ)が先頭に立ち5S運動を引っ張り、工場を変化させること。問題解決法を教育し、その発表会を度々行うことで工場と人の意識を変えます。また、これと並行して工場全体の演芸会を行い、業務外でも個人・グループで協力し合うように仕向けるとともに従業員皆を楽しませ、人前できちんと発表できるようにしていきます。

 この様な事を順次、作戦を良く練り、3年計画で実行しました。大は業務の中だけでは判断できない物で、こういった全体の活動の中で人の本質が見えてきますから、その中から中核に立てる大を選定し教育をしていくことになります。決して焦ってはいけません。

・管理者育成時に注意すること

 管理者を育てるには、単に仕事ができるだけではだめです。理論立てた文章が書け、きちんとした発表も行え、さらに人事・労務管理が任せられる上、人間としても魅力があること。そして、会社の経営理念・方向がしっかりと理解できる人でないと後で苦労します。

 これはもう他人任せではなく、工場責任者がやる他ありません。そして、...

互いに尊重しあい、中国に貢献する哲学がないと簡単に見透かされてしまいます。これも教育内容・方針を良く準備し、焦らず対応していくことが重要かと思います。これらは、工場責任者の考え方次第でいくらでも変わります。

 次回は、3.7 問題点を分かっていない。から解説を続けます。

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載 

◆関連解説『生産マネジメントとは』

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