後工程はお客様の実行 儲かるメーカー改善の急所101項(その37)

3.仕組みを改善する基本

◆ 後工程はお客様の実行

 「お客様第一」とか「後工程はお客様」といった言葉をいたるところで耳にします。ところが実際にはそれをきちんと実行している工場となると極めて少ないのです。

 「今あなたが作って容器に入れた部品ですが、次の工程の方がどのように容器から取り出して、どんな仕事をしているのかを見たことがありますか?」といった質問をしても、しっかりとした答えが返ってくることは少ししかありません。

 「出退勤時に後工程の前を通るので、その時に見ているくらい…」では見たことにはなりません。時間中に仕事の手を休め、わざわざ確認に行ったことがあるかということです。

 以前、プレス工程の方と一緒に次工程の溶接現場に行ってみました。するとプレス工程で付いた表面のわずかな油分を一生懸命拭いていました。

 次に溶接の人と次の塗装工程に行くと一生懸命に溶接工程で付いた目に見えないような小さなスパッタ―を取っていました。

 最後に塗装の方と組み立て工程に足を運ぶと塗装工程でのネジ面に少しだけ取り残した塗料を苦労して剥がしていました。

 この後工程見学ツアーに参加したすべての人が自分の責任で後工程がいかに苦労しているかをその時に初めて知り、全工程がカイゼンされました。それも極めて大きな効果が出たのです。

 「後工程はお客様」を100回唱えるより、まずは後工程が自分たちの仕事をどのように引き継いでいくかを実際に見てみることです。次の工程、その先、さらにその先と続け、最終が本当のお客様です。すべてがそこにつながります。そしてその第一ステップが後工程のお客様なのです。

今回の言葉   

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 「後工程はお客様」を100回唱えるより、実際に次の工程を見よ。
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「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

    日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫

 

◆関連解説『生産マネジメントとは』

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