6、強いモノづくり
◆ 付加価値が付かない運搬や停滞に注目
工場は付加価値を付ける場所です。原材料を加工して部品にし、部品を組み立てて製品にします。それぞれの工程で、最初の状態に付加価値を付けて次の状態にすることを繰り返します。このようにして工場では、たくさんの部品や製品が作られますが、付加価値が付く時間は意外に短いものです。
例えばペンの本体にキャップをはめる組み立て作業では、キャップがはまる「カチン」という音がする瞬間だけで、それ以外は運搬または停滞ということになります。もし付加価値が付く作業だけでモノづくりができたら、すごい生産性向上になります。
工程全体を見て、もし部品や中間品が多い場合は注意が必要です。
自分たちは一生懸命にモノづくりをしているつもりであっても、付加価値が付いている作業時間は極めて短く、モノを移動させたり、使われるのを待っている時間に多くが割かれているかもしれません。
付加価値が付かない運搬や停滞を、なしで済ますことができれば生産性は上がるし、仕事がとても楽になります。例えば運搬は重量や距離によっては、大変な仕事であることが多いので改善したいものです。置き場所や設備位置変更などの改善で運搬を減らすことができませんか?このことは、儲かるメーカー改善の急所101項(その60)物の動かし方でも述べました。
停滞については、箱の大きさによっても発生します。例えば、もし部品箱が20個入りであれば、現在使われている1個目の部品以外の19個の部品は停滞中ということになります。そのようにみると、停滞は工場内に蔓延(まんえん)している可能性があります。
もし1個ずつ製品を完成させる1個作りができれば、停滞は材料と完成品に集約することができます。そして、これができている状態を「流れている」状態といいます。
工場を歩いてモノの様子を見てみてください。これまでは何気なく見過ごしていたとしても、運搬と停滞という言葉を使って改めて現場を見てみると、付加価値が付いていない状態が次々と見つかることでしょう。気付くことができれば、どうすればそれを改善できるかを考えて実行する次のステップが自動的に始まるのではないでしょうか。どう...
今回の言葉
********************************
モノづくりは、付加価値が付く瞬間以外は、運搬または停滞である。
********************************
「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」
日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫