取り組むテーマを経験・勘・度胸で決定 データ分析講座(その161)

 

◆ KKDををめぐる摩訶不思議な現象

 KKD(経験・勘・度胸)を悪の根源とみなし、データ分析・活用で排除すると意気込む風景を何度か目にしました。「データ分析・活用」のところを「データサイエンス」や「データマイニング」、「マシーンラーニング」、「AI(人工知能)」と置き換えることはありますが本当に、KKDは悪なのでしょうか。今回は「KKDをデータ分析・活用で排除するといいながら、取り組むテーマをKKDで決定している」というお話をします。

◆関連解説『情報マネジメントとは』

【目次】

1. KKDは悪ではない

2. 取り組むテーマを決めるとき、KKDどっぷりな摩訶不思議な現象

3. テーマ設定がギャンブルになっている

4. インパクトが大きく実現の容易なテーマ

 

1. KKDは悪ではない

 KKD(経験・勘・度胸)だけでは困りますが、データ分析・活用といえども、KKDが必要な場面は出てきます。データ分析を活用した意思決定をしたとしても、最終的な意思決定は「人」がするケースが多いわけです。データ分析の結果やモデルのサポートを得ながら、KKDで意思決定することでしょう。そもそも、予測モデルや異常検知モデルなどのモデル構築には、それなりの経験が必要ですし、データ分析そのものも勘働きの良し悪しがクオリティに大きく効いてきます。

 どこまで行っても、KKDは付いて回りますが確実にいえることもあります。それは、データ分析を活用し意思決定する時、KKDに依存する要素をできるだけ排除し、意思決定の精度を高めるといことです。具体例を挙げるときりがないので、ここではお話しませんが、データ分析を活用することで、リスクをできるだけ抑えてリターンをより大きくすることが可能になります。データを使って、石橋を叩きながら安全を確認し、物事を進めていく感じです。

 

2. テーマ決定時、KKDにどっぷりな現象

 KKDに依存する要素をできるだけ排除し、意思決定の精度を高めようというデータ分析・活用ですが、摩訶(まか)不思議な現象があります。その現象とは、データ分析・活用の「テーマ」を考える時、KKDに大きく依存して決めているということです。KKDに依存する要素をできるだけ排除しなければならないのに、テーマ設定はKKDに依存する、という摩訶不思議な現象です。

 正直、意味が分かりません。しかしながら、実際のデータ分析・活用のテーマはそのように決められていることも少なくありません。声の大きい人の意見や、エライ人の思い付きで、テーマが決められるのです。もはやKKDともいえないかもしれませんが……。

 

3. テーマ設定がギャンブルになっている

 データ分析・活用の「テーマ」を考える時、KKDに大きく依存して決めていると、何が問題なのでしょうか?KKDに大きく依存して決めたテーマは、ギャンブルに近いわけです。たまたま上手くいくこともあるし、そうでない場合もある。

 データ分析・活用で、リスクをできるだけ抑えてリターンをより大きくしようとし、さらにギャンブル性を減らそ...

うと頑張っているのに、そもそものテーマ設定でギャンブル性が高い、という感じになっています。

 

4. インパクトが大きく実現が容易なテーマ

 KKDに大きく依存しないテーマ設定が必要になります。何かしらKKDの要素が残りますが、少なくとも以下の2つの視点で、テーマを評価しましょう。

  • インパクトの大きさ(例:売上アップ額、コストダウン額、利益率アップ額、など)
  • 実現の容易さ(例:データ収集の容易さ、データ分析の容易さ、活用時の容易さ、など)

 理想は、インパクトが大きく実現の容易なテーマです。少なくともテーマ設定時のギャンブル性がぐんと減ります。

 

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