◆ CCT曲線
TTT曲線はA1変態点以下の温度にて保持する状態を表します。
しかし、実際の熱処理では温度を保持することよりも連続的に冷却する方が一般的です。そこで、オーステナイト温度から冷却速度を表示して、マルテンサイト変態(記事:パーライト変態・マルテンサイト変態:金属材料基礎講座(その95)にて解説)を起こすのに必要な冷却速度を表したのがCCT曲線(Continuous Cooling Transformation curve 連続冷却変態曲線)です。CCT曲線を図1に示します。
図1.CCT曲線
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CCT曲線にもTTT曲線と同様にMs、Mfなどの表記が見られます。
冷却速度が早ければマルテンサイト組織になりますが、冷却速度が遅くなるとパーライト組織が増えていき、最終的には全てパーライトになります。また、TTT曲線[1]では温度が高いほど組織が粗く強度が低くなりましたが、CCT曲線では冷却速度が遅いほど組織が粗く強度が低くなります。
冷却速度として、組織全体がマルテンサイトとパーライトが表れはじめる境目の冷却速度のことを上部臨界冷却速度(赤いライン)、組織全体がパーライトとマルテンサイトが表れはじめる境目の冷却速度のことを下部臨界冷却速度(青いライン)と呼びます。
次回に続きます。
【用語解説】
[1]TTT図: (TTTず、time-temperature-transformation, TTT diagrams)とは、縦軸に線形目盛で温度を、横軸に対数目盛で時間をとることで、温度と時間による鋼の組織の変化を示した図である。共析鋼の炭素含有率で示されたものが一般的である。S曲線、恒温変態曲線 (isothermal-transformation-diagram) などの呼び方がある。(引用:Wikipediaから、https://ja.wikipedia.org/、最終更新 2020年1月27日 (月) )。