サプライチェーンマネジメントにおけるベンチマーキング

 ベンチマーキングは、米国において1980年代に日本の製造業を研究するプロセスのなかでモデル化された手法です。

 日本の多くの会社は自社と同じ成功事例にこだわり、横並びの護送船団方式で業界の水準に遅れまいとする習慣があり、これが自動車・テレビなどで世界最高のものを作り上げてきました。しかしこの日本的な習慣が、ベンチマーキングなどと称して欧米で体系化されマルコムボルドリッジ賞などの審査項目に取り上げられている今、逆に日本の優位性が無くなってきています。

 現代産業では、新しいモデルが一般化された瞬間にベストプラクテスとして全世界に広まってしまいます。トヨタのカンバンシステムもその方式を他の日本企業がマネする前に、一般化されたモデルがGMやフォードで情報システムを駆使して利用されていました。世界に誇ったJITのトヨタさえ、次世紀の自動車産業の存在基盤を模索しています。サプライチェーンマネジメントを電子カンバンシステムと呼び、ベンチマーキングは日本の真似と言って軽視する日本企業はグローバルなビジネス戦争の実態を知らずして大きく遅れてしまいました。

 ベンチマーキングで卓越したベストプラクテスを取り入れる継続的な行動ルールを持ったグローバル企業は、ハングリー精神で一生懸命にやって成功しましたが、次世代に行動ルールが引き継げないグローバル日本企業を負かすことは簡単です。日本では官民での協力体制が弱くなる一方で、アメリカやEUでは政府や学会の協力体制が強くなって来ているからです。

 ベンチマーキングの意味合いは、企業間の格差が国境を超えて短時間で減少することであり、ベンチマーキングを無視しているとたちまち井の中の蛙になってしま...

います。むしろプライチェーンマネジメント最低限の指標である在庫回転率、リードタイム、在庫欠品率など収益性の元データ、キャッシュフローなどを徹底的にベンチマーキングし、その格差の原因を追求し、プラクティスの開発まで継続的に実行するルール作りが不可欠でしょう。

図 サプライチェーンマネジメントのベンチマーキング例

◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』

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