1.情報共有とチームワークによる同期化
危機感や目標の共有が、キャッシュの回転スピードを上げます。 サプライチェーンの同期化とは、車の運転でいえば、速度をそろえることを意味し、大きく広がる車間距離や渋滞などが起きない流れを作ることになります。道路を走行する車の速度が速かったり遅かったりまちまちだと、車間距離が広がったり渋滞が起きるように、サプライチェーン上で連鎖業務に異なる速度が混在していると、在庫を増やしたり減らしたりすることになり、機会損失や過剰在庫がいたるところで発生し、キャッシュフローが悪化します。
自動車数台で連なってドライブする時に、先頭から最後尾の車までの車間距離を広げず、渋滞に巻き込まれないためには、チームワークによってお互いの速度・位置(車間距離)を無線で情報共有し、速度をそろえます。サプライチェーンでも同様に、連鎖する業務の処理速度と、業務間の在庫情報の共有は同期化を促進します。サプライチェーンをデザインする際に、同期化は考慮しなければならない必須項目なのです。
2.大きなロットは損
タクシーは一人で乗るより3人揃って乗った方が、一人あたりの支払いは3分の1と安くなります。一個ずつ処理するよりも、手持ち在庫を貯めて一気に処理する方が楽でしょう。主婦としては1週間分の食材をまとめ買いする方が楽かもしれません。
「効率化のスケールメリットを図る方法」は時間をコストと見なしてまとめることにより、コストダウンとなります。しかし一方で、在庫を増やし、リードタイムを長くし、鮮度を落とします。コストは下がるかもしれませんが、在庫を増やし運転資金を増やします。集団の旅行よりも一人旅の方が、座席を取りやすくなり集合のための待ち時間は少なくてすみます。
大きなバッチサイズで順次処理するよりも小口のバッチサイズで小分けにして次の業務に渡すことは、サプライチェーン上の連鎖業務全体で別々のバッチを併行処理することになります。このことで総処理時間は短縮されます。一個流しは、滞留する在庫を限りなく小さくしてリードタイムを短縮します。
3.業務統合によるストックポイント減少
東京で地下鉄・JR・私鉄のネットワークを乗りかえるとすると、目的地までのルートは無数にあります。乗車と乗りかえの合計時間が到達時間となります。これは、サプライチェー...